この条約を実施するためにと 締約国は、締約国会議が決定する一定の間隔で、 った措置及びこの条約の目的を達成する上での当該措置の効果に関する報告書を 締約国会議に提出する。 第二十七条紛争の解決 この条約の解釈又は適用に関して締約国間で紛争が生じた場合には、紛争当 事国は、交渉により紛争の解決に努める。 2 紛争当事国は、交渉により合意に達することができなかった場合には、第三 者によるあっせん又は仲介を共同して求めることができる。 3 いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、 1 又は 2 の規定により解 決することができなかった紛争について、次の紛争解決手段の一方又は双方を 義務的なものとして受け入れることをこの条約の批准、受諾若しくは承認若し くはこれへの加人の際に又はその後いつでも、寄託者に対し書面により宣言す ることができる。 ( a ) 附属書Ⅱ第一部に規定する手続による仲裁 ( b ) 国際司法裁判所への紛争の付託 4 紛争は、紛争当事国が 3 の規定に従って同一の紛争解決手段を受け人れてい る場合を除くほか、当該紛争当事国が別段の合意をしない限り、附属書 II 第二 部の規定により調停に付する。 この条の規定は、別段の定めがある議定書を除くほか、すべての議定書につ いて準用する。 1 5 1 2 3 1 締約国は、 議定書は、 第二十八条議定書の採択 この条約の議定書の作成及び採択において協力する。 締約国会議の会合において採択する。 議定書案は、 2 の会合の少なくとも六箇月前に事務局が締約国に通報する。 第二十九条 この条約及び議定書の改正 この条約の改正を提案することができる。議定書の締約国は、当 締約国は、 該議定書の改正を提案することができる。 この条約の改正は、締約国会議の会合において採択する。議定書の改正は、 この条約又は議定書の改正案は、 当該議定書の締約国の会合において採択する。 当該議定書に別段の定めがある場合を除くほか、その採択が提案される会合の 少なくとも六箇月前に事務局がそれぞれこの条約又は当該議定書の締約国に通 報する。事務局は、改正案をこの条約の署名国にも参考のために通報する。 この条約及び議定書の改正案につき、コンセンサス方式により合 3 締約国は、 意に達するようあらゆる努力を払う。コンセンサスのためのあらゆる努力にも 2 ー 76 ー
ずる時まで効力を生じない。 この条約又は議定書の各締約国は、 有する。 2 地域的な経済統合のための機関は、 1 2 に規定する場合を除くほか、 第三十一条投票権 ーの票を その権限の範囲内の事項について、 権を行使してはならない。その逆の場合も、同様とする。 行使する。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使する場合には、投票 条約又は関連議定書の締約国であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を 第三十二条 この条約と議定書との関係 1 いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、この条約の締約国である 場合又は同時にこの条約の締約国となる場合を除くほか、議定書の締約国とな ることができない。 2 議定書に基づく決定は、当該議定書の締約国のみが行う。当該議定書の批准、 受諾又は承認を行わなかったこの条約の締約国は、当該議定書の締約国の会合 にオブザーパーとして参加することができる。 第三十三条署名 この条約は、下・九百九ト : 年六月五日から同年六月十四日まではリオ・デ・ジ ャネイロにおいて、同年六月ト五日から千九百九十三年六月四日まではニュー ョ、一クにある国際連合本部において、すべての国及び地域的な経済統合のための 機関による署名のために開放しておく。 第三十四条批准、受諾又は承認 この条約及び議定書は、国家及び地域的な経済統合のための機関により批准 され、受諾され又は承認されなければならない。批准書、受諾書又は承認書は、 寄託者に寄託する。 この条約又は議定書の締約国となる 1 の機関で当該機関のいずれの構成国も 締約国となっていないものは、この条約又は当該議定書に基づくすべての義務 を負う。当該機関及びその一又は二以上の構成国がこの条約又は同一の議定書 の締約国である場合には、当該機関及びその構成国は、 この条約又は当該議定 書に基づく義務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合において、 当該機関及びその構成国は、この条約又は当該議定書に基づく権利を同時に行 使することができない。 1 の機関は、 この条約又は議定書の規律する事項に関する当該機関の権限の 1 2 3 ー 78 ー
第四条適用範囲 この条約が適用される区域は、 この条約に別段の明文の規定がある場合を除く ほか、他国の権利を害さないことを条件として、各締約国との関係において、次 のとおりとする。 ( a ) 生物の多様性の構成要素については、自国の管轄の下にある区域 自国の管轄又は管理の下で行われる作用及び活動 ( それらの影響が生 ) については、自国の管轄の下にある区 ずる場所のいかんを問わない。 域及びいずれの国の管轄にも属さない区域 第五条協力 締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のため、可能な限り、かっ、 適当な場合には、直接に又は適当なときは能力を有する国際機関を通じ、いずれ の国の管轄にも属さない区域その他相互に関心を有する事項について他の締約国 と協力する。 第六条保全及び持続可能な利用のための一般的な措置 締約国は、その個々の状況及び能力に応じ、次のことを行う。 ( a ) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家的な戦略 若しくは計画を作成し、又は当該目的のため、既存の戦略若しくは計 画を調整し、特にこの条約に規定する措置で当該締約国に関連するも のを考慮したものとなるようにすること。 ( b ) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用について、可能な限り、か つ、適当な場合には、関連のある部門別の又は部門にまたがる計画及 び政策にこれを組み人れること。 第七条特定及び監視 締約国は、可能な限り、かっ、適当な場合には、特に次条から第十条までの規 定を実施するため、次のことを行う。 ( a ) 附属書 I に列記する区分を考慮して、生物の多様性の構成要素であっ て、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のために重要なものを特定 すること。 ( b ) 生物の多様性の構成要素であって、緊急な保全措置を必要とするもの 及び持続可能な利用に最大の可能性を有するものに特別の考慮を払いっ ( a ) の規定に従って特定される生 つ、標本抽出その他の方法により、 物の多様性の構成要素を監視すること。 ー 65 ー
かかわらず合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段として、当該 会合に出席しかっ投票する締約国の三分の二以上の多数による議決で採択する ものとし、寄託者は、これをすべての締約国に対し批准、受諾又は承認のため に送付する。 4 改正の批准、受諾又は承認は、寄託者に対して書面により通告する。 3 の規 定に従って採択された改正は、 3 の議定書に別段の定めがある場合を除くほか、 この条約の締約国又は当該議定書の締約国の少なくとも三分の二が批准書、受 諾書又は承認書を寄託した後九十日目の日に、当該改正を批准し、受諾し又は 承認した締約国の間で効力を生ずる。その後は、改正は、他の締約国が当該改 正の批准書、受諾書又は承認書を寄託した後九十日目の日に当該他の締約国に ついて効力を生ずる。 この条の規定の適用上、「出席しかっ投票する締約国」とは、出席しかっ賛 成票又は反対票を投ずる締約国をいう。 5 第三十条附属書の採択及び改正 この条約の附属書又は議定書の附属書は、それぞれ、この条約又は当該議定 書の不可分の一部を成すものとし、「この条約」又は「議定書」というときは、 別段の明示の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。附属書は、手 続的、科学的、技術的及び事務的な事項に限定される。 この条約の追加附属書又は議定書の附属書の提案、採択及び効力発生につい ては、次の手続を適用する。ただし、議定書に当該議定書の附属書に関して別 段の定めがある場合を除く。 この条約の追加附属書又は議定書の附属書は、前条に定める手続を準 用して提案され及び採択される。 この条約の追加附属書又は自国が締約国である議定書の附 ( b ) 締約国は、 属書を承認することができない場合には、その旨を、寄託者が採択を通 報した日から一年以内に寄託者に対して書面により通告する。寄託者は、 受領した通告をすべての締約国に遅滞なく通報する。締約国は、いつで この場合 も、先に行った異議の宣言を撤回することができるものとし、 において、附属書は、 ( c ) の規定に従うことを条件として、当該締約 国について効力を生ずる。 ( c ) 附属書は、寄託者による採択の通報の日から一年を経過した時に 1 2 3 b ) の規定に基づく通告を行わなかったこの条約又は関連議定書のすべ ての締約国について効力を生ずる。 この条約の附属書及び議定書の附属書の改正の提案、採択及び効力発生は、 この条約の附属書及び議定書の附属書の提案、採択及び効力発生と同一の手続 に従う。 4 附属書の追加又は改正がこの条約又は議定書の改正に関連している場合には、 追加され又は改正された附属書は、この条約又は当該議定書の改正が効力を生 ー 77 ー
1 この条約の目的のため、贈与又は緩和された条件により開発途上締約国に資 金を供与するための制度を設けるものとし、その制度の基本的な事項は、 条に定める。この条約の目的のため、当該制度は、締約国会議の管理及び指導 の下に機能し、締約国会議に対して責任を負う。当該制度は、締約国会議がそ の第一回会合において決定する制度的組織によって運営する。この条約の目的 のため、締約国会議は、第一文の資金の利用 ( その機会の提供を含む。 ) につ いての政策、戦略、計画の優先度及び適格性の基準を決定する。拠出について は、締約国会議が定期的に決定する必要な資金の額に基づき、前条に規定する 資金の予測可能性、妥当性及び即応性が必要であること並びに同条 2 に規定す る一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要であることを考慮に人れる。 先進締約国その他の国及び資金源から任意の拠出を行うこともできる。当該制 度は、民主的で透明な管理の仕組みの下で運営する。 2 締約国会議は、この条約の目的を達成するため、その第一回会合において、 資金の利用 ( その機会の提供を含む。 ) についての政策、戦略及び計画の優先 度並びに適格性の詳細な基準及び指針に関する決定 ( 資金の利用を定期的に監 視し及び評価することについてのものを含む。 ) を行う。締約国会議は、資金 供与の制度の運営を委託された制度的組織との協議の後、 1 の規定を実施する ための取決めを決定する。 この条約の効力発生の日から少なくとも二年を経過した日及 3 締約国会議は、 この条の規定に基づいて設けられる制度の有効性 ( 2 の びその後は定期的に 基準及び指針の有効性を含む。 ) について検討するものとし、その検討に基づ き、必要に応じ、当該制度の有効性を高めるために適当な措置をとる。 4 締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用のための資金を供与する ため、既存の資金供与の制度を強化することについて検討する。 第二十二条他の国際条約との関係 この条約の規定は、現行の国際協定に基づく締約国の権利及び義務に影響を 及ぼすものではない。ただし、当該締約国の権利の行使及び義務の履行が生物 の多様性に重大な損害又は脅威を与える場合は、 この限りでない。 2 締約国は、海洋環境に関しては、海洋法に基づく国家の権利及び義務に適合 するようこの条約を実施する。 1 第二十三条締約国会議 この条約により締約国会議を設置する。締約国会議の第一回会合は、国際連 合環境計画事務局長がこの条約の効力発生の後一年以内に招集する。その後は、 締約国会議の通常会合は、第一回会合において決定する一定の間隔で開催する。 2 締約国会議の特別会合は、締約国会議が必要と認めるとき又はいずれかの締 約国から書面による要請のある場合において事務局がその要請を締約国に通報 1 ー 73 ー
さします。例えば、薬や産業製品、食物な どです。次にこれらがいかに重要であるか について示したいと思います。 まず、経済的な価値ですが、野生の資源 はわが国の G D P の 4 . 5 パーセントを占め ています。これは 1 9 7 0 年代末の数字で すが、 8 7 0 億ドルの価値をもっています。 世界全体では、魚類の貿易が 1 9 8 8 年に 3 2 0 億ドルでした。またマレーシアのサ ラワクでは 1 億ドル相当の地元通貨が野生 のプタ、イノシシ関係で補われています。 そして、アフリカのガーナ人の 4 分の 3 が たんばく源として野生動物の肉に頼ってい ます。これらは野生の種に限っていますが 例えば人間が数百年、数千年のあいだ管理 した種では、貧しい国の G D P の 3 2 パー セント、高所得国の G D P の 1 2 パーセン トとなり、 1 9 8 9 年はトータルで 3 兆ド ルにものぼっています。これらは人間が利 用している種が関係する、さまざまな交易 や貿易の相対的な数字です。 これらの野生種には未知の部分がたくさ んあり、保全は大変難しいのですが、必要 不可欠なものです。未知の遺伝学的な種や 生態系の特性を利用して、投人分が低くて も収穫できる農法が可能になります。例え ば、殺虫剤とか除草剤を少なくすることも 可能です。こういう物を減らすと、河川の 汚染も少なくてすみます。これには野生の 種の良好な特性を生かしていくわけです。 また、病害に抵抗力のあるものをつくると いう点でも大変重要です。特に環境上の条 件、例えば気候が変化している昨今、大変 重要になってくると思います。 また、人間の健康の面では、開発途上国 の 8 0 パーセントにあたる 3 0 億人が伝統 的な医薬品に頼っています。これらの医薬 品は薬局からではなく、森林や海から取っ てきます。中国だけでも、 5 1 0 0 種が伝 統的な医薬品として使われています。北西 アマゾン地域だけでも 2 0 0 0 種が伝統的 な医薬品としてつかわれています。これは 現在、 WHO ( 世界保健機構 ) によって促 進されています。 W H 0 では現在、自然か ら適切な医薬品をとろうというプロジェク トが進行中です。私たちのほとんどは近代 的な医薬品に依存しています。アメリカ合 衆国の場合、処方箋薬の 4 分の 1 は自然か らとってきた活性のある成分を含んでいま す。そして 3 0 0 0 の化合物が微生物から とったものでペニシリンやテトラサイクリ ンがそうです。また土中の菌からとったサ イクロスポリンが免疫抑制のため、臟器移 植に使われるようになってきています。 生物資源はレジャーの面でも鍵となって います。例えばカナダの場合、国民の 8 4 パーセントが魚を釣ったり、野生動物の写 真を撮ったり、カヌーに乗ったりと野外活 動をしています。それにより年間 8 億ドル の収入が国にもたらされています。世界の 地域によって違いますが、カナダは年間の 観光収人が 2 0 億から 1 2 0 億ドルになっ ています。日本の場合、国立公園および自 然保護区に 1 0 億人が訪れているというこ とですから、経済に相当な影響を及ぼして いるだろうと考えられます。 最後に、「環境サービス」があげられま す。これは自然に発生するもので、一般的 にこれに対して代償を払うものではありま せん。その結果、状況を破壊したり変えて しまいます。生命の多様性は生態系が自己 保存する能力に関連しています。その能力 がどのくらいかということは明らかにされ ていません。しかし、生態系のある要素を 取り出した場合に、なにが起こるのか観察 することによって計ることができます。例 えばアフリカゾウの場合をあげてみましょ う。ゾウがサバンナ地域のいくっかの国に おいて生態系から失われてしまう傾向とし て、例えば、森林などの後退があげられま
円滑にする。 1 に規定する情報の交換には、技術的、科学的及び社会経済的な研究の成果 の交換を含むものとし、また、訓練計画、調査計画、専門知識、原住民が有す る知識及び伝統的な知識に関する情報並びに前条 1 の技術と結び付いたこれら の情報の交換を含む。また、実行可能な場合には、情報の還元も含む。 第十八条技術上及び科学上の協力 1 締約国は、必要な場合には適当な国際機関及び国内の機関を通じ、生物の多 様性の保全及び持続可能な利用の分野における国際的な技術上及び科学上の協 力を促進する。 2 締約国は、この条約の実施に当り、特に自国の政策の立案及び実施を通じ、 他の締約国 ( 特に開発途上国 ) との技術上及び科学上の協力を促進する。 協力の促進に当っては、人的資源の開発及び組織の整備という手段によって、 各国の能力を開発し及び強化することに特別の考慮を払うべきである。 3 締約国会議は、その第一回会合において、技術上及び科学上の協力を促進し 及び円滑にするために情報の交換の仕組みを確立する方法について決定する。 4 締約国は、この条約の目的を達成するため、自国の法令及び政策に従い、技 術 ( 原住民が有する技術及び伝統的な技術を含む。 ) の開発及び利用について の協力の方法を開発し並びにそのような協力を奨励する。このため、締約国は、 また、人材の養成及び専門家の交流についての協力を促進する。 この条約の目的に関連のある技術の開 5 締約国は、相互の合意を条件として、 発のための共同研究計画の作成及び合弁事業の設立を促進する。 2 第ト九条パイオテクノロジーの取扱い及び利益の配分 ー締約国は、バイオテクノロジーの研究のために遺伝資源を提供する締約国 ( 特に開発途上国 ) の当該研究の活動への効果的な参加 ( 実行可能な場合には当 該遺伝資源を提供する締約国における参加 ) を促進するため、適宜、立法上、 行政上又は政策上の措置をとる。 2 締約国は、他の締約国 ( 特に開発途上国 ) が提供する遺伝資源を基礎とする パイオテクノロジーから生ずる成果及び利益について、当該他の締約国が公正 かっ衡平な条件で優先的に取得する機会を与えられることを促進し及び推進す るため、あらゆる実行可能な措置をとる。その取得の機会は、相互に合意する 条件で与えられる。 3 締約国は、パイオテクノロジーにより改変された生物であって、生物の多様 性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のあるものについて、そ の安全な移送、取扱い及び利用の分野における適当な手続き ( 特に事前の情報 に基づく合意についての規定を含むもの ) を定める議定書の必要性及び態様に ついて検討する。
( c ) 適宜、二国間の、地域的な又は多数国間の取極を締結することについ て、これを促進することにより、自国の管轄又は管理の下における活動 であって、他国における又はいずれの国の管轄にも属さない区域におけ る生物の多様性に著しい悪影響を及ぼすおそれのあるものに関し、相互 主義の原則に基づき、通報、情報の交換及び協議を行うことを促進する 自国の管轄又は管理の下で生ずる急迫した又は重大な危険又は損害が 他国の管轄の下にある区域又はいずれの国の管轄にも属さない区域にお ける生物の多様性に及ぶ場合には、 このような危険又は損害を受ける可 能性のある国に直ちに通報すること及びこのような危険又は損害を防止 し又は最小にするための行動を開始すること。 ( e ) 生物の多様性に重大なかっ急迫した危険を及ぼす活動又は事象 ( 自然 に発生したものであるかないかを問わない。 ) に対し緊急に対応するた めの国内的な措置を促進し及びそのような国内的な努力を補うための国 際協力 ( 適当であり、かっ、関連する国又は地域的な経済統合のための 機関の同意が得られる場合には、共同の緊急時計画を作成するための国 際協力を含む。 ) を促進すること。 2 締約国会議は、今後実施される研究を基礎として、生物の多様性の損害に対 する責任及び救済 ( 原状回復及び補償を含む。 ) についての問題を検討する。た だし、当該責任が純粋に国内問題である場合を除く。 ( d ) 第十五条遺伝資源の取得の機会 ー各国は、自国の天然資源に対してキ権的権利を有するものと認められ、遺伝 資源の取得の機会につき定める権限は、当該遺伝資源が存する国の政府に属し、 その国の国内法令に従う。 2 締約国は、他の締約国が遺伝資源を環境上適正に利用するために取得するこ とを容易にするような条件を整えるよう努力し、また、 この条約の目的に反す るような制限を課さないよう努力する。 この条約の適用上、締約国が提供する遺伝資源でこの条、次条及び第十九条 に規定するものは、当該遺伝資源の原産国である締約国又はこの条約の規定に 従って当該遺伝資源を獲得した締約国が提供するものに限る。 4 取得の機会を提供する場合には、相互に合意する条件で、かっ、 この条の規 定に従ってこれを提供する。 5 遺伝資源の取得の機会が与えられるためには、当該遺伝資源の提供国である 締約国が別段の決定を行う場合を除くほか、事前の情報に基づく当該締約国の 同意を必要とする。 6 締約国は、他の締約国が提供する遺伝資源を基礎とする科学的研究について、 当該他の締約国の十分な参加を得て及び可能な場合には当該他の締約国におい て、これを準備し及び実施するよう努力する。 3 ー 69 ー
第十六条 仲哉判断は、紛争当事国を拘束する。紛争当事国が上訴の手続について事前に 合意する場合を除くほか、上訴を許さない。 第十七条 最終決定の解釈又は履行の方法に関し紛争当事国間で生ずる紛争については、 いずれの紛争当事国も、当該最終決定を行った仲裁裁判所に対し、その決定を求 めるため付託することができる。 第二部調停 第一条 いずれかの紛争当事国の要請があったときは、調停委員会が設置される。同委 員会は、紛争当事国が別段の合意をしない限り、五人の委員で構成する。各紛争 当事国は、それぞれ二人の委員を任命し、これらの委員は、共同で委員長を選任 する。 第二条 を超ズる当国間の紛については、同・の利害関係を有する紛争当事国が 合意により共同で調停委員会の委員を任命する。 ー以上の紛争当事国が別個の利 害関係を有し又は同一の利害関係を有するか有しないかについて意見の相違があ る場合には、これらの紛争当事国は、別個に委員を任命する。 第三条 調停委員会の設置の要請が行われた日の後二箇月以内に紛争当事国によるいず れかの任命が行われなかった場合において、当該要請を行った紛争当事国の求め があるときは、国際連合事務総長は、引き続く二箇月の期間内に当該任命を行う。 第四条 調停委員会の最後の委員が任命された後二箇月以内に同委員会の委員長が選任 されない場合において、いずれかの紛争当事国の求めがあるときは、国際連合事 務総長は、引き続く二箇月の期間内に委員長を指名する。
1 この条約により事務局を設置する。事務局は、次の任務を遂行する。 ( a ) 前条に規定する締約国会議の会合を準備し及びその会合のための役務 を提供すること。 ( b ) 議定書により課された任務を遂行すること。 この条約に基づく任務の遂行に関する報告書を作成し及びその報告書 を締約国会議に提出すること。 ( d ) 他の関係国際機関との調整を行うこと。特に、その任務の効果的な遂 行のために必要な事務的な及び契約上の取決めを行うこと。 ( e ) その他締約国会議が決定する任務を遂行すること。 2 締約国会議は、その第一回通常会合において、 この条約に基づく事務局の任 務を遂行する意思を表明した能力を有する既存の国際機関の中から事務局を指 定する。 1 第二十五条科学上及び技術上の助言に関する補助機関 この条約により科学上及び技術上の助言に関する補助機関を設置する。補助 この条約の実施 機関は、締約国会議及び適当な場合には他の補助機関に対し、 に関連する時宜を得た助言を提供する。補助機関は、すべての締約国による参 加のために開放するものとし、学際的な性格を有する。補助機関は、関連する 専門分野に関する知識を十分に有している政府の代表者により構成する。。補 助機関は、その活動のすべての側面に関して、締約国会議に対し定期的に報告 を行う。 ーの補助機関は、締約国会議の管理のトに、その指針に従い及びその要請に より、次のことを行う。 ( a ) 生物の多様性の状況に関する科学的及び技術的な評価を行うこと。 ( b ) この条約の規定に従ってとられる各種の措置の影響に関する科学的及び ( c ) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連のある革新的な、効率的 な及び最新の技術及びノウハウを特定すること並びにこれらの技術の開発 又は移転を促進する方法及び手段に関する助言を行うこと。 ( d ) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての科学的な計画並びに 研究及び開発における国際協力に関する助言を行うこと。 ( e ) 締約国会議及びその補助機関からの科学、技術及び方法論に関する質問 に回答すること。 2 技術的な評価のための準備を行うこと。 1 の補助機関の任務、権限、組織及び運営については、締約国会議が更に定 3 めることができる。 第二十六条 ー 75 ー 報告