サンティアゴ - みる会図書館


検索対象: 交流文化 volume 14
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1. 交流文化 volume 14

[ 特集 ] 巡礼はこれまで聖地を巡るという宗教的行為ともつばらとらえられてきた。しかし、今日、「パワース ポット」や「ア一一メ聖地」の巡礼といった現象が話題となり、また信仰と深く結びつけられてき国 遍路やスペインのサンティアゴ・デ・コンホステラ〈の巡礼などが多くの一般観光者たちに注目てし る。伝統的、宗教的とされてきた巡礼は、現代の社会において観光とのかかわりをこれまで以上に深 めて」る。本特集では、 = の巡礼と観光とのさまざまな結び 0 きを近年の内外の動のに探 0 ) 、みた。

2. 交流文化 volume 14

代 0 物一一 = こ、 0 去 000 、 - 十 伽 lc 1 2 ホーチミン廟に詣でる人の行列。ベトナムの人にとってはこれも一種の巡礼である 3 恋愛成就の神様として若い女性に人気のある箱根九 頭龍神社。パワースポットプームに押されて知名度を上げた 4 ハンプルクの教会前に新たに作られた巡礼者用の立て札。ドイツでは古い巡礼 路を復興する取り組みがみられる。サンティアゴまで 2500km とある 5 沖縄の聖地、斎場御嶽 ( せーふあうたき ) 。親族集団「門中」の巡礼地 であったが、世界遺産指定後は全国から観光客が急増している 67 ミャンマー内陸部、インレイ湖畔にあるファンドーウー・パゴダ。お祭りの 日とあって巡礼者でごったがえしている

3. 交流文化 volume 14

父流文化 14 立教大学観光学部編集表紙写真 / 門田岳久、内藤順子 特集 巡礼 観光と巡礼 聖地サンティアゴ・テ・ コンホステラの現在 ー一巡礼と観光をめぐる素描 内藤順子 「交流文化」フィールドノートの 工コツーリズムによる 宮古市の震災復興支援 ーー 1 OOO 年の絆を紡ぐ宝探し調査一一 橋本研究室 キリシタンと 現代の教会巡礼 ーー長崎の文化層序と観光商品化 佐藤大祐 C 0 N T E N T S 02 04 門田岳久 34 読書案内 『聖地巡礼ツーリズム』 『巡礼ツーリズムの民族誌』 最近の講演会から 日韓における「海女観光」の現状 中山大学旅遊学院 ( 観光学部 ) の教育 42 44

4. 交流文化 volume 14

巡礼はまさにポスト世俗化の好例である。 に、みんな「無信仰」を標榜しているのである。葉がもつインパクトの強さゆえに、多少の語 つまり世界各地で伝統的な巡礼地が再び盛り ここでいう「無信仰」とは修行や供養、弘法弊を承知で敢えて付けたものである。「伝統 上がっているのである。例えばスペイン北西大師信仰といった四国遍路伝統の宗教的裏付宗教がツーリズムの中で消費されている」と 部のカトリックの聖地、サンティアゴ・デ・ けを持たないという意味であるが、バスにせ言うと、多くの人は残念さを覚えたり、 場合 コンホステラでは、 1993 年の世界文化遺よ、自家用車や徒歩にせよ、現代巡礼に参加 によってはけしからんと考えたりする。なぜ 産登録を契機に巡礼者数が増加し始め、 6 年する多くの人はかってと同じような意味で信 なら消費という言葉は「資源を使い尽くし後 とい , つよ , つなニュアンスを に一度の聖ヤコプ年という年を経るごとにま仰を有しているとよ、 に何も残らない さに右肩上がりとなっている。 伴っているからである。だから巡礼ツアーで 消費される宗教 ~ だからといって、かっての聖人信仰がその 宗教経験が消費されるというと、巡礼者は信 まま復活したというわけではない。宗教社会近年の新たな巡礼プームでは、旅行会社が 仰を積み重ねることなく、刹那的な観光ばか 学者の岡本亮輔によれば、現在同地を訪れる商品化したりメディアを通じてイメージが広りを楽しむ観光客に堕してしまったのではな かったり・と、 巡礼者の多くは決して伝統的な意味でのカト いか、というイメージを生み出す。 一見通常の観光旅行と同じよう リック信者ではないという。つまり、毎週教な展開が見られる。そして参加者も自分の意しかし実際には必すしもそうではない。例 せんだっ 会に通い正しい信仰のありかたを磨いてきた識としては「無信仰」であるという人が少な えばバスで行われるツアーには「先達」と呼 敬虔なクリスチャンではなく、むしろ日頃は この点をとると、確かに巡礼は宗教ばれる、霊場会 ( 寺院の合同組織 ) 公認の先導 あまり宗教に興味のない、 ヨーロッパを中心性を完全になくし、観光一辺倒になったので役が同行し、巡礼者を案内する。私はそう ッ - に世界から集まった「ごく普通の若者」である。はないかという疑念を持ってしまう。ポスト したツアーに何度か同行して取材したが、 彼らは発展しきった都市での日常生活に嫌気世俗化時代の宗教研究では、このように一見アー参加者は先達を手本に、実に熱心にお参 がさし、徒歩で聖地を目指しながら他の巡礼 したところ宗教ではなくなりつつある現象が りをしようとする。それは先達の同行しない 者や沿道の人々との交流を行い、歩 くという果たして本当に宗教性を抜きに成り立ってい 自家用車や徒歩での巡礼者も同様で、ほとん 前近代的な交通手段をあえて採ることで非日る現象なのかと問いかけてきた。 どの巡礼者がたどたどしいながらも読経をき 常性を感じ取っているのである。 その一環として、最近私は現代巡礼に関すちんと行い、宿坊 ( 寺院付設の宿泊所 ) では早 おもしろいのは、現代の四国遍路を行ってるエスノグラフィー ( 民族誌 ) を出版する機朝に起きて「お勤め」をする。また徒歩巡礼 いる人の多くがサンティアゴ巡礼の巡礼者と会を持ったのだが、その本の副題に「消費さ者は困難な道のりを延々歩くことを厭わす、 同じような考えを持っている点だ。要するれる宗教経験」と人れた。「消費」という言金剛杖と呼ばれる細い木の杖を頼りに、体力 0

5. 交流文化 volume 14

Book Review 聖地巡礼 ツーリズム 一寒「聖地巡礼ツーリズム 一譬 ' ~ 星野英紀・山中弘・岡本亮輔編三 9 = ) 観光と不可分な巡礼 現代の巡礼の最も特徴的な点は、ツーリズム ( 観光 ) と不可分になっていることである。人 を集める巡礼地では、ホテルや鉄道が整備さ れているのはもちろん、そこにいくためのパッ ケージツアーが旅行会社によって多数用意され ている。また一見素朴にみえる巡礼者も、交通 機関や宿泊業を利用しない人はなく、旅行雑誌 やメディアをフル活用して巡礼を行っている。 しかし巡礼研究と言われる分野では、これま でもっぱら宗教的な側面を研究するばかりで、 ツーリズムと結びついた側面についてはきちん と研究されてこなかった。現代的にアレンジさ れることで、巡礼のどこが変化し、何が持続し ているのか。そうした観点から、私は最近ニっ 光は今世紀を代表する一大産業にな コンポステラやルルドは年々巡礼者を増やしての著作の出版に携わった。 、世界をますます多くの人が旅すおり、日本でも四国遍路や熊野古道がプームと 四国遍路の現在 るようになっている。それにつれて、 なった。近年ではパワースポットやアニメ聖地 最も伝統的な旅のかたちである巡礼もまた盛ん巡礼といった現象がさかんに雑誌やネットで取まず私の単著である『巡礼ツーリズムの になっている。ヨーロッパのサンティアゴ・デ・ り上げられている。 民族誌ーー消費される宗教経験』 ( 森話社、 巡礼ツーリスムの民族誌 4 巡礼ツーリズムの民族誌 ーー消費される宗教経験 門田岳久著 ( ニ〇一 = l) 森話社 ( 本体五六〇〇円十税 ) 、・ ( 今回の読書案内は、〈 巡礼研究に携わる