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検索対象: 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし
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1. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

3 章民俗資料館と地域づくりプラン が生じており、これは同時に個と個が同じ地域に生活していくためのルールともなる。 個々が住居の延長である生活領域をできるだけ身近に確保し、自己の欲求が反映され、 そのなかに自己の定着を認知し、しかも外に向かって開放された小さな空間単位を築 き、それを地域全体にまで広げていく。これを共用的な空間と呼ぶ。従来の地域施策 にはこの考えが欠落し、公共の名のもとに画一的、権力的な論理が先行した。地域の 状況は地域住民が最も精通している。誰もが地域活動に参加でき、主体となれる共用 の考え方の具体化がまたれる。 複合的・連続的な空間利用の確立 地域の土地は自然生態系のなかで連続的な関連をもち、しかも各々の利用が複合的 におこなわれていた。農地は農産物を産し、緑地として景観を縁どり、雨水を溜めて 洪水を緩和する。森林は林産物を供給し水源を涵養し、レクリエーションの場を提供 する。これらは人間の活動を介し相互に連関し、維持、管理されていた。自然的循環四

2. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

4 章生活環境博物館をめざして ※ ( ) は商家の家号を示す。 それでは、これらの演目が、実際にどのような形態で展開されているのか、商家の 実施状況から述べてみよう。 商家群は、十六棟より構成されており、施設としてはすべてが完成している。めし 屋、そば屋、お茶の店、菓子の店、小間物の店、呉服の店、本・瓦版の店、紙の店、 酒・燃料の店、薬の店、細工の店は、二階建ての土蔵づくり、あるいは町屋づくりの 建物である。そのうち、そば屋、めし屋、お茶の店は、食体験の部屋として使用され、 その他は展示室として利用されている。 鍛 実冶実 鍬演屋下演 万夷 ムヒ 隅曲 月匕 屋げ 物 桶 729

3. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

を基礎にした地域文化、技術により地表の恵みを最大限にいかし、災害を回避する空田 間利用が見られる。人々は身分や職業による住み分けという制約をうけつつも、これ らのとり決めを守り自然的資源を巧みに利用して生活を展開した。 一方、工業用地、住宅地等、現在の土地利用は地価に示されるように資本再生産価 値に規定され、施設相互の距離、位置、規模など狭義の空間経済的条件により、職場 と住居との分離、大規模な工業団地の開発など、単一的、分断的な利用に改造されて いる。宅地造成は山崩れ、浸水をおこし、生産と生活の場の隔りは人気のない集落、 住宅地をもたらす。大規模工場のなかでは何がおこなわれているか地域住民が知らな いといった状況である。 現在、生活廃棄物を堆肥や用水としてこのサイクルを回復し、地域の自然的な資源 を生態系をそこなわずに制御維持することや、繊維工場の騒音問題が工業団地化の動 機のひとっとなっているが、三〇〇余の工場の市街地内での点在は米沢なりの特長に なっており、職住近接の空間利用の面からも、住居との調和のとれた混在をはかるこ となどが課題として考えられる。

4. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

町は人が集まり住む集住を基本とし、これに対応して居住空間のシステムも協同的 な構造をもっている。道路、学校、公民館、仕事場等がひとつの住居のまわりにあっ てはじめて生活が成り立つ。こうした協同性がどの価値尺度ではかられるかが問題と なり、町の大小が個々の生活に与える鍵となる。学問的にいえば心的には連体、物的 には歩行スケールが町の性格を決定づける。米沢は歩行の限界距離 ( 半径一篇 ) に大 部分がおさまり、職場のまとまり、町内会、各種のサークルが網の目状に市街地を覆っ ている。また、菜園づくり、うこぎの生垣等、上杉期からの共通した生活習慣も生き ている。こうした米沢のよさを最大限に評価し、米沢なりの「住みよさ」を求めたい。 2 共用的な管理・利用の確立 生活圏の広域化に伴い、公共的な組織は拡大し、権限が集中するのに対し、個々は 身近なまとまりからきり離されバラバラになっている。ゴミ、道路、上下水道、産業 施策等に生じた矛盾を見ると、肥大化した公共と個の間に共通のルールをつくる必要

5. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

8 章「ふるさと村」の創設による地域の活性化 美ダムの岸辺にそって菖蒲園、紫陽花園、落書石庭、紅葉散歩道などがあって山村の 四季を楽しめる施設が整備されている。「ふるさと村」の利用者数は一九七七年から 一九八〇年までが毎年約一一万人前後、それ以降一九八五年までが三万人弱とかなり多 「ふるさと村」の行事としては、摂津信用金庫高原学校・雪の学校・老人ツアー ふるさと村祭・夏期キャンプ・特別村民制度等があげられる。このなかで特異なのは 大阪の茨木市に本店をおく摂津信用金庫と提携した高原学校・雪の学校であろう。こ れは信用金庫側が預金者の子供たちを対象に、のびのびと自然のなかで遊びながら体 験学習し、それによって自主性を育てることを目的としてはじめられたものである。 およそ一一泊三日の予定で藁細工・農園での野菜収穫などを体験する。小学校の上級生 を班長として、八ー十人のグループに分かれて民宿に分宿する。この間、摂津信用金 庫の職員と看護婦が常駐する。このように高原学校・雪の学校は摂津信用金庫が計画 から実行の段階まですべてを主催している。信用金庫の顧客に対するサービス、文化 9 的活動によるイメージづくりと、それによる預金者の獲得、提携先の地域振興に寄与 ) 0

6. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

は、そのおかれている環境や将来の見通しが異なっている。特に、近くには年間約一 四万人の参詣客や観光客の訪れる成田山新勝寺、昭和五十三年に開港し、日本の表玄 関としての地位を確保している成田空港をひかえているなど、その発展性はかなり高 い位置にあると考えられる。 このような状況のなかで「房総のむら」のおかれている立地条件や、特色について まとめると次のような点が掲げられる。 一、自然環境に恵まれた広大な敷地を有し、単一目的 ( 施設見学 ) だけではなく、 スポーツやレクリエーションなど多目的に利用できるコミュニティ施設である こと 一、展示内容の異なる、考古専門の博物館が隣接しており、複合した知的利用がで きること 一、従来の博物館の展示方法や、考え方の枠にとらわれない、新しい展示 ( 演目 ) 展開をおこなっていること

7. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

このような都市人の故郷志向に対応するかたちで、故郷の側から提示された施策の ひとつが、他ならぬこの「ふるさと村」の創設なのである。例えば「ふるさと村」は、 その設置目的を「郷土の優れた風物を次代に継承するとともに、ふるさとを偲ぶ一方 法としてこれを利用し、人間性の回復、有効な余暇利用の促進を図り、併せて郷土の 適正な発展を図るもの」としている。岡山県はいち早くこの「ふるさと村」創設を手 がけた自治体として知られているが、同県では一九七四年から五年間の再整備事業を 開始し、この事業によって七地区が指定された。次いで一九八一年から再整備事業を 実施しているが、その具体的な事業は次の通りである。 ・民俗資料館の建設 ・民俗資料館 ( 民家を活用する場合 ) の買収、移転、復元 ・民家の改修 ・水車小屋の整備 240

8. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

3 章民俗資料館と地域づくりプラン 4 地域固有の資源・環境の利用 地域振興のひとっとして企業誘致が試みられるが、企業は何らかの地域の既存の集 積を利用して進出する。また、企業は地域全体の発展よりも企業体の利潤の確保を目 的とする。所得格差の是正、雇用機会の増大、都市的集積の拡大、自治体財政の改善 等々、企業導入は公的な想定のもとに決定されるが、実際はこれらの公準が満足され ないばかりか公害により環境が破壊され、その社会的損失を既存住民、自治体が負担 するという皮肉な結果をまねいている。 かって、人々は固有の生活基盤の上に築いた自立性の上に、他の世界との交流をた も 0 た。これを一様の規格で押しすすめることから、過疎・過密がおこり、地域の混 乱、衰退、広域での序列化がすすむ。他とは違うという意識が小地域をそれぞれ世界 の中心におき他地域との交流を相互的な関係にかえる。地域の文化、生活様式のなか には外界からの移入を域内で熟成させたものが多い。置賜にはこの可能性がある。こ れは実際の運動にまつべき点が多いと思う。運動があ 0 てさまざまな分野からの知恵引

9. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

3 章民俗資料館と地域づくりプラン として、人々に農文研の理念を訴え、惹きつけるエネルギーをもっていなければなら ないと田 5 、つ。 両案は、周囲の山々や鬼面川、人々の導線に対する景観上の配慮をおこなうこと、 「囲炉裏」を団欒の場の中心におくこと、敷地の中学校側を閉じた形態にし、高床式 にして積雪の害を防ぐこと、活動拡大化に対応できるように漸進的に増改築可能な構 造にすること等の、共通した考え方にそって計画されている。さらに案では、木造 で会員の自力建設を可能にすること、農村コミュニティの象徴として彫塑的な草ぶき の屋根をもっ展示館を中心とすること、農具や民具をはぐくんだ「土」の意味を考え る場をつくること、地下利用等が、案では、盆地の閉鎖性をつき破ることを象徴し た塔を中心とし、空地を広くとり、紅花を栽培してその利用を通じ農文研の活動活性 化をはかろ、つとしたこと等が特徴となっている。 両案の形姿のもっ雰囲気の違いは、十年後、さらに五十年後の置賜の農村、農文研 の姿をいかに考えるか、その差があらわれたものと思っている。この特集が「もの」と してのエネルギーをもっ建築ができる端緒になれば、と願ってやまない。 ( 村田真 )

10. 日本列島活性化シリーズ 博物館づくりと地域おこし

8 章 「ふるさと村」の創設による地域の活性化 岡山県下の「ふるさと村」一覧表 ( 1 ) 大高下ふるさと村 ( 阿波村 ) ( 2 ) 越畑ふるさと村 ( 鏡野町 ) ( 3 ) 八塔寺ふるさと村 ( 吉永町 ) ( 4 ) 石火矢町ふるさと村 ( 高梁市 ) ( 5 ) 吹屋ふるさと村 ( 成羽町 ) ( 6 ) 真鍋島ふるさと村 ( 笠岡市 ) ( 7 ) 円城ふるさと村 ( 加茂川町 ) 245 1974 年 4 月指定 1974 年 4 月指定 1974 年 4 月指定 1974 年 12 月指定 1974 年 12 月指定 1978 年 5 月指定 1980 年 3 月指定 特徴 落合渓谷を利用して渓流釣 りが盛んな地。古くからの 茅ぶきの民家、土蔵、水車 小屋が数多く残っている。 かっては砂鉄精製が盛んで あった地で、たたら跡が数 多く残っている。 備前の高峰、八塔寺山の麓 にひらけた高台。 かって山 岳仏教のメッカとして栄え た地。 城下町の町割がそのまま残 っており、武家屋敷が昔の 面影をとどめている。 かって銅山と弁柄生産の町 として栄えた地。当時の町 並みがよく保存されており、 伝統的建造物群の指定をう けている。 県の西南端に位置し、昔は 海上交通の要衝であったと ころ。島の周囲は内海潮流 が交差し、漁業が栄え、漁 村特有の集落を形成してい る。また、あたたかい気候 を利用して花づくりも盛ん で、冬の間は島が花で覆わ れている。 県の中央部に広がり、吉備 高原の典型的な景観を有す る地帯で、純農村風景がそ の魅力をみせている。