森林科学 - みる会図書館


検索対象: アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験
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1. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

ら、前述のように、九五年に森林科学修士課程を卒業した学生数は、九三年に森林科学修士課程に入学した 学生数よりもかなり増えている。 この「森林」という名称にはあまり深い意味はない。森林科学修士は、私がとることになった学位だが、 私は林学関係の授業にはあまり興味がなく、結局一つもとらなかった。環境学修士に移ることを試みたこと もあったが、「天然資源経済学・政策という専攻課程がこの森林科学修士課程のなかにあるのだから」とい うアドバイザーの指示で、結局は移らなかった ( 4 ・ 4 節参照 ) 。 伝統ある林学修士 (Maste 「 of F 。「 2 「 y ) 林学修士課程は、森林の運営・管理を行う林学の実務家 (practitioners) を養成するための職業教育 ( p 「。「。 2 。 n 三 4 = d 一ワ ) を行う課程である。この修士課程は、欧米諸国においてもっとも歴史のある林学課程 で、一九〇〇年以来、森林管理の専門家の養成を続けてきたとされる。 & の学校案内には、誇らしげ に「早期の北米の林業従事者のほとんどすべてが、そのルーツをエールに持っている」と書かれている。最 初の一一一人のアメリカ農務省林業局 (USDA F 。「 2 service) 局長のうち、九人が当校の出身だという。 カリキュラムは森林資源管理と政策決定の最先端で働きたい人たちのために組み立てられており、 「生態 系の生物学的な基礎に根差した真に学際的なアプローチをとることによって、資源管理教育を新しいレベル へと高めている」 ( 学校案内 ) という。本課程の卒業生のほとんどは、森林関連の一般的な実務家や管理担 当者からスタートし、管理職を経て、政策決定者などになっていくそうである。具体的な就職先としては、 ①政府・公共機関 ( 環境保護庁、農務省林業局など ) 、②国際的な開発機関や環境保護団体、③企業および 2

2. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

1 ・ 3 三度目の挑戦で奨学金を獲得 七面倒くさい出願作業 1 ・ 5 んだ末に行き先を選択 2 章一三つの環境スク 1 ル 2 ・ 1 よく似た三つの環境スクール りん・つ乙 エール大学の林学環境学スクール 実務教育重視の環境学修士 / 「自由自在」な森林科学修士 / 伝統ある林学修士 / 一石二鳥の合同学位課程 2 ・ 3 ミシガン大学の天然資源・環境スクール 2 ・ 4 デューク大学のニコラス環境スクール 3 章一「森の訓練」を三週間 3 ・ 1 まず森に人るべし 渡米 3 ・ 3 森を測量して地図づくりーー「地形計測と地図作成」 草の根分けてサンショウウオを数えるーーー「生態系の計測 木の葉を見て植物を見分けるーーー「植物種の識別ー 2

3. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

スク 1 ル長 (Dean) であるクリステンセン氏によれば、「当校の特徴は、水と大気に関する環境問題で あり、医療センタ 1 、海浜の環境管理、企業との協力などの分野の強化にも努めている」という。 九四 / 九五年度において、約一七五人が環境スクールに所属している。ちなみにデューク大学には別に学 術系大学院 (g 「 aduateschool) の環境学部 (Depa 「 tment ofthe Envi 「 onment) があり、約四〇人が学んでい た。環境学部の学生は、普通は博士号 (Ph. D しを取得して学者・研究者としての進路をめざす。 九四年に、環境スクールは、学内に新設された先端技術を駆使した学際的施設、レビン科学研究センター (Levine ScienceResea 「 chCente 「 ) 内に引っ越した。この研究センターの光ファイバー網システムによって、 学生たちはデュ 1 ク大学および国内の大学の高度なコンピュータ設備にアクセスすることができる。また、 デューク大学、ノースカロライナ州立大学およびノースカロライナ大学チャベル・ヒル校の図書館を結ぶオ ンライン検索ネットワークを使うこともできる。 デュ 1 ク大学は、教育などに使う森林も保有している。ダーラム市とオレンジ県にまたがって存在していク るデューク・フォレストは、面積が七七〇〇エーカー ( 約三一〇〇ヘクタール ) あり、デューク大学のキャ境 環 ンハスから一〇分も歩くと、その一部に到達することができる。その起源は、一九二〇年代にさかのばる。 の っ デューク大学は、キャンパス中心部と周辺地域との緩衝地帯および将来への投資のために、多くの小さな農 場や散在する森林を購人したという。一九三〇年代にはデューク・フォレストの目的は、木材管理技術のデ 章 モンストレーション、育林に関連するさまざまな科学分野の研究のための実験林開発、および林学の学生の 屋外実験室の開発の三つに定められたが、その後用途が広げられた。動物学、造園学、そして生態学などを 9 専攻するデュ 1 ク大学や周辺の大学に在籍する教員や学生たちのこの森林に対する利用希望が拡大したから

4. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

ル教授に報告に行くと「卒業した時の成績証明書に『天然資源経済学』と明記してほしいなら、森林科学修 士にするしかないということだね」ということになった。 私が立てた森林科学修士課程に基づいた当初の履修計画は、学生便覧に基づいて、植林法 (Silviculture) 、 土壌科学 (SoiI Science) 、陸上生態系のパターンとプロセス (patte 「ラ and P 「 oce ワ in Te 「 estrial Eco ・ stem しを入れていたが、その後、講義の選択履修にあたって指導を受けたのは、「陸上生態系のパタ 1 ン とプロセスーと毒物学・疫学の履修だけだった ( 9 ・ 1 節、 9 ・ 3 節参照 ) 。結果的にはそのうち疫学のみを 履習するたけで済み、これ以外は、幸か不幸か私は自由にとりたい講義を選んで履修することができた。大 学院でなく大学レベルの講義をとっても全く問題にされなかった。 65 4 章講義開始前の不安

5. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

学修士だった。森林科学修士課程には、今回の改革では、環境学修士のような新たな履修規定は打ち出され なかった。 & に出願した時に、名称が自分の興味に合っている環境学修士にしようか、「天然資源経済学・政 策、を専攻するプログラムのある森林科学修士にしようかと、私は迷った。アドミッション・オフィスに電 話して尋ねたが、「どちらでも大した違いはありませんよ。後から変えることもできますしね」という話だ った。今回の改革で二つの修士課程には履修の条件について大きな差が出てきたが、私は林学をやりたいわ けではなかった。環境学修士課程でも環境経済学が学べるとすれば環境学修士をとったほうがいいかもしれ ないと考え、環境学修士課程への転換を検討しはじめた。 こういう問題を担当するスクール長補佐のゴードン。。ジボール ()o 「 don T. Geballe) 教授に相談に行 ったところ、「この森林科学修士という学位はべつに林学専攻以外の学生しか対象としていないわけではな 学位の名前を環境科学修士としてほしいという要望も多いがね」とのこと。「どうしても取得学位が森 林科学修士ではいやなら、アドバイザーのメンデルソン教授に相談してみなさい と言われた。アドバイザ ーの先生は、学位課程ごとに分かれているわけではないから、学位を変えてもアドバイザーを変えなければ ならないということはない。 そこで、森林科学修士課程と環境学修士課程の一一種類の履修計画を作ってメンデルソン教授に相談に行っ たところ、「課程の変更はやめなさい」と言われてしまった。「天然資源経済学・政策を専攻したいなら、森 林科学修士課程の中にしかないわけたから、変える理由はない。しかも、この課程は自由が効くしね」との こと。どうやら、アドバイザーがすれば、どのような講義も選択できるということらしかった。ジボー 6

6. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

Policy) 、企業の環境管理を扱う産業環境管理プログラム (lndustrial Envi 「 onmental Management [— Prog 「 (m) ( 8 章参照 ) 、廃棄物管理の講義・廃棄物政策の研究・論文の刊行などを行う廃棄物政策プログラ ム (p 「 og 「 am in solid waste policy) ( 9 ・ 1 節参照 ) 、熱帯生態系の研究を行う熱帯資源研究所 (T 「 opical Resou 「 ces lnstitute=ex—) 、地域社会との交流のなかで環境保護に取り組む都市資源イニシアテイプ (The Urban Resources lnitiative Ⅱ— ) などである。 表 2 ・に明らかなように、修士課程に学ぶ学生数は、九〇年から九二年の間に急増している。その直 接の原因は出願者の増加だが、その背景には国家レベルで環境問題に大きく関心が高まったことがあるとみ られる。なお、表の注にあるパートタイム ()a 「 ttime) は別に職業を持つなどの理由で普通より長い期間を かけて少しすっ単位をとっていく学生で、特別生 (special student) は学位取得を目的とせず一年以内の期 間に自由に講義をとる学生である。いずれもかなり例外的であり、年間人学者は合わせて数名程度である。 修士課程で取得できる学位には三種類ある。主に環境問題解決の実務家をめざす学生のための環境学修士 (Maste 「 of Envi 「 onmental studies =äQ(-n) 、より自由に科目をとりたい学生や研究者志望の学生のための 森林科学修士 (Maste 「 of F 。「 2 science =äc.æoo) 、そして林業分野の実務家をめざす学生のための林学修 士 (Maste 「 of Forestry =ä=) である。七年以上の十分な実務経験があれば、環境学修士と林学修士につ いては一年で取得できる特別課程もあるが、これはかなり例外的だ。 また、近年は環境学修士志望者が入学者の大半を占めており、他の二つの学位はかなり少ない ( 表 2 ・ 2 ただ、入学後の学位の変更も可能であり、九五年の卒業生の一〇〇人のうち環境学修士が六三人、残 りは二七人が森林科学修士で、林学修士は一〇人であり、九三年の入学時の各人数と比べると、在学中に環 8 2

7. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

口一四万人弱の都市で、米国大西洋岸の平野とアパラチア山脈との間の高原であるピードモント地区の中心 部にある。以下、学校案内などを参考にデュ 1 ク大学の環境スクールの概要を紹介する。この環境スクール は、「環境分野の科学、政策、および管理に関する大学院レベルの教育と研究の前例のない発展」の結果と 位置づけられており、林学、環境学、および海洋科学に関する私立の専門職系大学院として誕生した。 デューク大学では、一九三二年に林学 ( 「。「 2 「もの教育が始まり、一九三八年に林学スク 1 ル (the school 。「 F 。「 2 「 y ) が設立された。その後、植林法 (silvicultu 「 e) 、病理学、生理学、生態学および生物気 象学 (biometeo 「 ology) といった分野を専攻する教授陣を加えて視点を広げた。七〇年代に入り、アメリカ 生態学に基礎を 国内で資源問題や公害問題に対する懸念が広がるなかで、教育・研究の重点を変えていく。 置いた土地利用計画を研究する天然資源生態学課程が、従来からの森林科学と森林管理の課程に加えられ、 七四年には、校名は林学環境学スクール (school of Fo 「ワ ( 「 y and Envi 「 onmental Studies) に変わった。 さらに、九一年には、デューク大学海洋研究所 (Duke University Marine Labo 「 atory) と合体して環境ス クール (SchooI of the Environment) という名称となったが、九五年にピーター日Ⅱニコラス (peter M. Nicholas) 氏の家族から受けた多額の寄付にちなんで、名称をニコラス環境スクール (Nich01as Sch001 of the Environment) とした。 「デューク大学の環境スクールの課程はほとんどがエールのものをモデルにしている。数年前に変えるま では、名前も同じだった」 ( ミシガン大学 & のプル 1 ワー・スク 1 ル長 ) という見方もあるが、名 称変更や林学重視のカリキュラムからの転換などの変革が早くから行われ、整った教育制度ができあがって いるというのが私の印象だ。 8

8. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

ーホン (Jared L. cohon) 氏は、在任した一九九二年—九七年の間、 & をよりまとまりのとれた機構 に改革することに尽力した。環境学修士の「選択必修科目 (core courses)_ や「上級研究分野 (advanced studya 「 (a) 」 ( 表 2 ・ ) を定めたことがコーホン氏が行った改革の主眼である ( 4 ・ 2 節、Ⅱ・ 3 節参照 ) 。 選択必修科目とは、数量的方法・自然科学・社会科学の三つの分野の講義群から決められた科目数を選択し て履修することが義務づけられる制度だ。また学生は五つの上級研究分野から一つを選び、その分野に関連 する四つの講義を選択し、一つ以上の独立した研究プロジェクト (lndependent p 「。」 ect Ⅱ講義の一つと位置 づけられている ) を選択する必要がある。 「自由自在」な森林科学修士 (Master of Forest science) 森林科学修士課程は、特定の専門分野に集中的に取り組む学生のためのもので、博士課程に進むための準 備として使われることが最も多いとされている。前述の 020 の進路調査では、進路が決まった九四年の森ク 林科学修士課程の卒業生一八人のうち、博士課程に進んだのは六人とかなりの割合だ。専攻分野は生態系の境 ダイナミクス ( 動態 ) ・構造・機能、生物学的多様性の保全、森林生態系の管理、海浜・集水域システム、 の 財産・組織と環境、価値評価・リスクと環境意思決定、天然資源経済学・政策が挙げられている。この課程っ には一年コースという例外はなく、必す二年の期間が必要とされている。 章 この課程には、環境学修士の選択必修科目のような、各分野の必修講義群から必ず一つずつ講義を選ばね ばならないという厳格なルールはなかった。実際私の学年では、「自由さーに魅力を感じて & の環境 学修士課程に人学したクラスメートの多くが前節で紹介した改革を嫌って森林科学修士課程に移った。だか

9. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

ちなみに私は 280 点しかなかった。ただ , 数学に当たる quantitative と理論 思考を間う analytical の両セクションは「 600 点を超えた方が有利」だとい ◆エッセイ : 「私には環境スクールで〇〇〇〇という有意義なテーマを研究 する能力・経験があり , 卒業後はそれを活かして〇〇〇を行いたい」といっ た , 個性ある 1 ~ 2 ページの工ッセイ ( 志望動機 ) を書けること ( 英語は慣 れた人に直してもらうこと ) 。語学学校で執筆の指導を行っているところも ある。 ◆大学での履修分野 : 近年 , 理科系分野の経験・知識をより明確に要求する ようになってきたようである。 93 年 9 月に F&ES のカリキュラムの改革が 示された時に発表された「入学の条件 (Admission Requirement) 」には自 然科学 , 社会科学 , および数学の一定の知識を求めるとされていた ( 4.2 節 ) 。 「今や私たちは , F&ES でもっと効率的 (productive) に学んでもらうよう に求めている」と , キャリア開発ディレクターのピーター = オーティス氏 ( 11.2 節 ) は「最近の F & ES ではより焦点をしばった人学者選考を行うよう になった」ことを指摘している。スミス・副スクール長によると「理科系の 専攻である必要はないが , 入門レベルの生物学と化学を学んでいることが望 ましい。社会学 , 経済学や統計学も F&ES に人学するための重要な準備課 目だ」という。 【資料 3 】 F&ES 入学者に想定されるアメリカの大学での 講義履修例 F&ES のキャリア開発ディレクターであるピーター = オーティス氏 ( 11. 2 節 ) の説明によると , アメリカの大学を卒業した F&ES への入学者は , 大 学 (undergraduate) で以下のような教育を受けていることを前提とされて いるという。外国人もこうした教育を受けている必要があるというわけでは ないが , アメリカの大学院教育の前提となっている大学教育の例として紹介 しておく。 ( ) 内の数字は科目数。 ◆主専攻 (major) ( 15 ) 〔例 : 歴史学〕 ◆副専攻 (minor) ( 10 ) 〔例 : 生物学〕 ◆必修一般教育 (core general education classes) ( 10 ) 〔例 : 数学 , 英語 , 外 国語 , 芸術 , 哲学 , 社会科学 , 自然科学など。この例でいえば , このうち , 社会科学の講義が主専攻の , 自然科学の講義が副専攻の要求単位をそれぞれ 満たせる場合がある。〕 ◆選択科目 (electives) ( 5 ) 通常は、以上の 40 科目 ( 約 125 単位 ) 程度を取得すれば , 文学士 (BacheIor of Arts =B. A. ) または理学士 (BacheIor of Science =B. S. ) が与えられる。 より多くの講義をとったり , 科目の重複計算をうまく行えば , 主専攻を二つ 以上取得することも可能だ。 219 〔巻末 6 〕 資料

10. アメリカの環境スクール : 開かれた教育システムの体験

学に留学するためのフルプライト・ (FuIbright Latin Ame 「 ican Scholarship fo 「 American 0 Universities) 奨学金を得て、に来た。他には、フロリダ大学 (University of Flo 「 ida) とウイスコ 1 ンシン大学 (Unive 「 sity of Wisconsin) を考えたが、エール大学の & が単なる科学 (Science) だけで なく社会・経済的側面も含めたカリキュラムとなっていることを考えて、 & に来ることにしたという。 修士プロジェクトでは二人のアドバイザーについた。森林の価値の分析は、私のアドバイザーでもあるメ ンデルソン教授に、また生態学的なフィージビリティについては植林法 (silviculture) の教授であるマーク Ⅱ日アシュトン (MarkS. Ashton) 教授に、それぞれ指導してもらった。環境の価値の分析では、価値の評 価かいかに難しいかを知ったという 講義は「とても良かった」という。図書館は学内に多数あるが、特に & のものがすばらしく、「必 要な文献はすべて見つかった」という。「クラスメートたちもすばらしかった」。またメンデルソン教授など 何人かの教授が先端的研究を行っているのも良かったという。不満だったのは、非常に忙しく面会が難しい 教授がいたこと、 いくつかの講義は人数が多すぎたこと ( 環境経済学や植林法の講義は七〇人を超えてい リコは卒業後、プラジルに戻って世界銀行のコンサルタントとして働いている。熱帯雨林関連の知識に磨 きをかけ、書籍に掲載する論文の執筆活動なども行っている。 「学生はお客」に好感ーーーヘンリック ( デンマーク ) ヨハン日へンリック日ジェッセン (Johann Heinrich Jessen) さん ( ヘンリック ) は高校卒業後にデンマー