意味 - みる会図書館


検索対象: 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ
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1. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

ていましたが、議論を通じて「残す / 遺す」と併記する形に この「選ぶ、残す、伝える、使う」という言葉、これすべて しました。特にアーキビストの方を中心に議論が起こり、こ 他動詞である、という発見です。この言葉のとらえ方は非常 こでいう「のこす」とは、結果的に残ったもの、という以外 に重要で、他動詞ですから必ず目的語を伴います。つまり、 に、遺産としてきちん遺していこうという明確な意思を伴っ アーカイブズを考える上で、「何を」「どうする」のかという たものとしてもとらえる必要がある。たまたま残ったものと ことについて常に意識的でなければならないと。これはきわ いう要素と強く意図して遺したものという要素、双方が常に めて当たり前のことですが、改めてその意味を受け止め直 し、分科会のメイハー内で共有できたことに意義があるかと考えられると。だからこそ一『〔葉の選択には直重であったほう がよいのではないかという指摘がありました。これは非常に 思っています。同時に、動詞ですので、そこには当然主語が あります。私どもの分科会にはミュージアムの関係者だけで重要な学びであったと思っています。 そのほか、「選ぶ」「残す / 遺す」「伝える」「使う」という なく、アーカイブズ、ライプラリーの関係者、あるいはウェ 四つの過程、これは一連のサイクルであり、常に重なりあっ プ事業者の方など、さまざまな方が参加されました。その中 ていて明確には分けられない。たとえば選ぶという過程その で話をしていきますと、当然ながら、アーカイブズという一一一一口 ものがすでに残す / 遺すという行為につながり、残す / 遺す 葉をめぐってもまったく考えていることが違うことに気づき とい一つアクションをすること自体が、そこに価値があること ます。あるいは同じミュージアムであっても、企業内ミュ を社会的に発信しているという意味ですでに伝える行為に ジアムなのか、公立のミュージアムなのか、あるいは大学 なっている部分もあります。そこで、これらを厳密に区別す ミュージアムなのかによっても考えが変わってきます ( 今回 るのではなく、その連続性をきちんと見ていく必要がある。 分科会の中にそれそれの方がいらっしゃいました ) 。つまり主語 「選ぶ、残す / 遺す、伝える、使う」というプロセスを重な によって、「選ぶ」、「残す」、「伝える」、「使う」、それぞれの りあった循環の輪として理解しようという一定の合意が作れ 背後に非常に多様なとらえ方があるという、その違いを認識 たのではないかと思っています。 できたのではないかと思います。そして、「のこす」という 言葉については、設定当初は「残す」という漢字のみを使っ ミュージアムの価値の実現をめぐって 152 第 2 部

2. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

ミュージアム・リテラシーを このような認識をもとに、 の側面があると指摘されている〔佐藤学、二〇〇三〕。大学の教 養教育としてのリテラシーは、いろんなものを読んで、自分市民とミュージアムの相互作用の過程と考え、今回分科会 のテーマを「高めあう市民とミュージアム」とした。市民が でかみ砕いて、文化として楽しむ力である。その後、中等普 ミュージアムを利用し、その内実を理解し、時には批判し、 通教育において基本的な読み書き能力がリテラシーである、 ている。私は、社会の変化に対応支援する一方、ミュージアムが市民のニーズを理解し、その という理解が現在まで続い してリテラシーの意味が変わっていくものだと考えている。 ニーズを踏まえつつも、時には使命と葛藤し、互いに協働し リテラシーの現代的意義をもう一度探らなければいけない時 て、よりよい地域社会・文化を創造していくことが、ミュ ジアム・リテラシーの目指すものである。それには、批判的 期になってきている、というのが今回の分科会の趣旨でもあ る。近年の議論では、「—ができること」という能力を前提思考力の育成による個人の自立と、社会における対話と協働 が必要である。そこでは市民とミュージアムが緊張関係にあ に議論されることが多く、これらには変化する社会において る中で相互理解を進めることになる。本分科会では市民と 知識を活用し、課題を解決する能力という含意がある。 ミュージアムの批判的相互理解をミュージアム・リテラシー さて最初にミュージアム・リテラシーを定義したスタップ と考えた。 によれば「基本的なミュージアム・リテラシーとは、資料を 解釈する能力を意味し、十分な『ミュージアム・リテラシー』 ミュージアム・リテラシーの構成 とは、博物館の所蔵資料やサービスを、目的を持って自主的 図 1 は、ミュージアム・学校・地域におけるミュージア に利用する能力を意味する」「博物館側は、利用者が展示や 出版物、活動から図書館、研究コレクションや職員の専門家ム・リテラシーの構成要素と範囲を示している。「地域」は 「ミュージアム」と「学校」を包含する概念であるが、地域に としての知識まで、目的を持って自主的に博物館のすべて おける教育的役割を担う機関として、「ミュージアム」と「学 の資源を利用することができるようにすべきである」〔 Stapp, 校」に焦点化した。また「ミュージアム」を主に構成する人 c し 984 〕としており、利用者のみに要求される能力ではなく、 材として「学芸員」、学校を構成する人材として「教員」、さ ミュージアム側にも必要な能力である。 ミュージアムの価値の実現をめぐって 118 第 2 部

3. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

らカの強いものが出てくるーーそういう時代に絞りました。 しかし、それでも過去は過去です。それが今読んで意味がある、あるいはこの先一〇年、三〇年、 一〇〇年たっても意味があるとぼくが信じるものを選び、並べて世に送りだす。ミュージアムにとて もよく似た原理であると思いました。 「壺の碑」と実物のカ ただし文字は、それ自体がデジタルです。つまり、活字あるいは文字とは、コピーが可能である。 コピーしてもオリジナリティーが保てる。そういう意味では、一番最初のデジタル技術が文字であっ たと思います。それに対して、ここで論じるミュージアムは、具体物、実物によるものです。この違 いは非常に大きい。そこに、その具体物がなければ、ミュージアムは成立しない。具体物には、それ 自体の中に履歴がすべて人っています。履歴全部をコピーすることは絶対にできない。それがオリジ ナルということの意味で、オリジナルであることが人を動かす。オリジナルであると知って、そのも のと対峙することが人を動かす。具体物にはそういう力があると思います。 少し具体的な話をしますと、芭蕉が東北の旅の途上で、今の仙台の少し北東にある多賀城で「壷の いしぶみ 碑」という大きな石碑に出会うくだりが『奥の細道』にあります。芭蕉の旅は、古来の日本の和歌の 伝統をなぞって歩きながら、それを俳句という新しい形で更新していく、そういう方法だったと思う のですが、そこで彼は歌枕を訪ねるというひとつの原理を実行しています。歌枕とは、和歌の中で用 いられる詩的な意味を込められた地名です。そのひとつが「壷の碑」と呼ばれる石碑で、その実物が ミュージアムに求められること 第 1 部いま、

4. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

ドです。図書館においてテーマ展示をどうしていくか、図書たのではないでしようか。特に民間の観点はどうなのか、と 館がどれぐらいプランニング能力を持ったり、能力を いう点は、意識できた部分があって良かったのではないかと 持っていくのかということもよく衄られるところなので、そ 思います。 ういう意味では、ミュージアム関係者でなくても、どの分科 そういう意味では、私自身が一番楽しめたかもしれませ 会も学びになったはずだと思います。 ん。いわゆる連携から、連携という言葉が むしろ、自分たちの業界の中だけで話をすると、「できな ありますが、—=industry の観点で見ても、同じ課題があり い」ことに対するエクスキューズばかりが出てきてしまう面ます。逆にインダストリーの立場からすると、ミュージアム があります。「財源の問題」、「首長の方針」、あるいはそれぞ が置かれた環境という、ある意味での制約を人れて状況を考 れの組織の内部の問題と、たくさん出ます。業界の異なる人 えるのがまた面白いのですね。公共性はどう考えるか、公平 に対してはそのようなエクスキューズをつけにくいので、か 性をどう担保するかというような問題は、民間企業だから関 えって深く考えることができた面もあるのではないかと思い 係ないと言ってしまうこともできますが、企業とて社会的存 ました。 在だと考えると、私自身、非常に学びがありました。そうい たとえばアーカイブズ分科会で、話題提供者としてヤフー う意味では産業分野の、ミュージアムとはまったく関係ない の鎌田さんに来ていただきましたが、彼自身も楽しかったよ 人がもっと参加しても、つまらない企業セミナーより、ずつ うですし、彼のように、、 --a 、からさらに外側の人が参 と学びがあるのではないかと思いました。 加したことによってほかの参加者の方も刺激も受けたと思い 企業セミナーでよくあるのは、経営者としての哲学や、 ます。まったく異なる世界で生きている人に向けてどのよう わゆるメソッドに関わるものです。アメリカなどにおける経 に状況を説明するか、たとえばネット業界の人にこんな公共 営系のメソッドは、徹底したケーススタディーや議論の中か 系自治体的ないいわけをしても意味がわからないんじゃない ら生み出されてくるので、そこを含めて学ぶのはよいのです か、などと考えながら対話をしていくことで、結果として参 が、メソッドだけ取り出して伝えるようなセミナーはあまり 加者それぞれの状況や課題を別の面から意識する機会になっ 意味がないと思いますね。 ミュージアムの価値の実現をめぐって 156 第 2 部

5. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

評家レイモンド・ウィリアムズは、文化を「英語の中で二番目か三番目に難しい単語の一つである」 と言っています。 「文化」という言葉は、あるときは「人為的なものすべて」という意味で、自然の対義語として用い られます。またあるときは、「国民文化」「日本文化」「英国文化」「企業文化」のように、「ある集団が 身につけている習慣」という意味にもなります。しかしここでは、私たちにより親しみ深く、なおか つより限定された意味で文化をとらえてみたいと思っています。以下、私が「文化」という単語を使う ときは、「何らかの意味を生み出し、人間のありように対する理解を助ける創造的な行為」を指します。 では、ここで少し時代をさかのぼり、私も含めて、いま会場にいらっしやる皆さんの大半が育って きた時代について考えてみましよう。おおよそ一九四五年から一九九五年ぐらいでしようか。その時 期の文化で前提とされてきた事柄と現在の文化的状況を見ながら、どれだけのことが変化したか見て みましよう。 文化の三つの類型 〇芸術 当時、「文化」には三つの類型がありました。まず一つは「芸術」です。演劇、バレエ、オペラ、絵画、 彫刻など、確立された形式がある「芸術」ですね。これらはそれぞれ独自に作品に対する規準と施設 を持ちあわせています。施設にはミュージアムも含まれます。教養が高く裕福な、比較的小さな社会 ミュージアムに求められること 第 1 部いま、

6. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

8 ・「公開すること」を考える アーカイブズの分科会では今回、一部ューストリームでの 中継を行いました。ほかにも分科会の最中なるべく写真を多 く撮る、あるいはツィッターなどでリアルタイムで状況を報 告するという形で、空理空論でアーカイブズを語るのではな たとえばべンチャー企業で社長をやっていこうとする人 が、ミュージアム・サミットの中でロールプレイをしたら、 非常に鍛えられるでしよう。稼げさえすればいし AJ い一つ工 クスキューズが通用しない中で、どうしたら首長の理解を得 られるか、市民の理解を得られるか。それは言い換えれば、 出資者の理解、株主の理解、あるいはお客様の理解はどうし たら得られるかという話につながっていきます。これは公共 セクターであっても、民間セクターであっても、じつは関係 ないことで、実際、企業人は旭山動物園の話を非常に支持し ます。あそこに企業的ストーリーを感じるわけですから。 特に昨今、 ミュージアムが非常に厳しい状况に置かれてい る中で、これを打開しろと一一一口われたらどうするのか、という 課題は、じつは企業関係者にとっても、非常によいケースス タディーになるのではないかと感じました。 く、自らがアーカイブズされる対象になるという環境を作り だすことを強く意識しました。アーカイプについて議論して いくと、基本的には皆「残す / 遺す」ことを是とするのです が、自分と直接関わった内容を残す / 遺すかどうかという 話になると、「やはりそれは待ってくれ」ということになり ます。ある意味当然ではあるのですが、そこにある種のエゴ が発生するわけです。アーカイブズ分科会では、「『のこす』 という一一「ロ葉に二つの意味があるのではないか」という点が議 亠珊になりましたが、 アーカイブズにおける「のこす」と いう行為は、結果として残ったものを置いておくという意味 の「残す」ではなく、遺産として「遺して」いくことではない か、という議論 それはまさにこの点を意識したアーキ ビストたちからの指摘だったと思います。そのようなアーキ ビストたちの日々の悩みをよりリアリティーをもって感じる ところまでは、あの枠組みの中では得られなかったかなとい う気はしています。 さらに言えば、ユーストリーム中継は初日の話題提供者の 話のみ行われましたが、そういう意味では一般参加者を含め た二日目のグループワークまですべてネット上で公開すると いうところに踏み切れば、もっと意味が深まったと思いま す。今この瞬間が記録され、かっ公のものになってしまうと 157 テーマ C : グループ長報告

7. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

通用しなくなりました。欧米でもない、しかもゼロ成長、マ とできました。 イナス成長しか見込めないこの日本で、我々がミュージアム しかも、学芸員が心得るべきこと、館長に期待されるこ をどうとらえていくのか。もはやモデルはありません。立場 と、設置者が留意すべきこと、国レベルで意識を高めること、 の異なる人たちが相互理解のために対話し、行動のために連 というように、混同されがちな解決策が「現場 ( オペレーショ ン ) 」、「経営 ( マネジメント ) 」、「統治 ( ガヴァナンス ) 」の三つ携することが求められます。 では、この分科会のプログラムは意見交換・合意形成の の層に分けて提案されたことは意味があったと思います。 方法として、うまく作動したでしようか。振り返れば、ある 出されたアイデアや方策の根底に、ネットワークをつく 知恵を出しあって解決していこうという姿勢が見えてき種の濃密な場は作れたのではないかと思います。 ただ「ミュージアム・マネジメント」という広い課題設定 ました。まさに今回のミュージアム・サミットの趣旨そのも のため、出されたアイデアも散漫になった印象は免れませ のに関わります。山西館長も指摘されましたが「対話と連携」 ん。アイデアを一つひとっ吟味して掘り下げるというところ がキーワードです。 までには、とうてい至りませんでした。対象がミュージアム 冒頭で指摘しましたが、今回のミュージアム・サミットに 一般ということなのでいたしかたない面もあります。 は、意見交換・合意形成の方法を工夫する、という隠れた おそらく問われるのは次の展開です。こうした手法を吟味 テーマがありました。何を話しあうかは大事ですが、それに し、特定のミュージアムを対象に徹底的に掘り下げて考え、 加えてどうやって話しあうかを重視したということです。 これは「モデルなき世界」を私たちが生きていることが背合意形成していくために応用していただくのがよいのではな いかと思います。「有識者」から一方的に御説を拝聴し、形 景にあります。成熟した社会での必然といってよいかもしれ 式だけ整えるような会議文化はもう卒業してはどうでしょ ません。戦後の日本は、欧米社会をモデルに追いつくことが う。館長も、ショップの店員さんも、ボランティアも、学 目標となりました。ミュージアムが日本各地に数多く建設 芸員も、所管部署の責任者も、研究者も一堂に会して、「当 されたのはその一つの現れでしよう。欧米のような立派な 事者」として本音で語りあう。「健全な無礼講」という場を、 ミュージアムを建設する。こうした単純なモデルはまったく ミュージアムの価値の実現をめぐって 100 第 2 部

8. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

個人編集の「世界文学全集」 ばくは昔からミュージアムが好きで、旅行先では必ず遺跡とミュージアムに行き、あっちこっちの ものをたくさん見てきました。何度も何度も通ったところもあります。しかしそれとは別に、自分の 仕事としてミュージアムをつくる、あるいは運営するのに一番近いことをしたのは何かと考えると、 いささか意外かもしれませんが、世界文学全集の編集なんです。この五、六年かけてぼくは、世界文 学全集をひとりで編集して、全三〇巻にまとめて河出書房新社という出版社から世に送りだしました。 世界文学全集をひとりでつくるというのはわがままの極みなんですが、自分なりに、今読んで意味 がある作品で構成するという方針を立てました。それで、第二次世界大戦が終わってから九・一一に とう解釈してきたかが分かるよ 至るまでの世界を文学はどう説明してきたか、どう記述してきたか、。 うな作品を集めました。これは、先ほど申しあげた、過去は現在であるという原理のひとつの実演で す。過去の作品はもう過去のものではなく、現在もビンビン響いてくる力を持っている。 世界文学全集というと普通は、たとえばホメロスから始まる、あるいはギルガメッシュや聖書から 始まる、そういう大古典をずらりと並べたものになりますが、それならば、ほかにいくらでも例があ ります。わざわざぼくがそれをなぞることはない。それに世界文学全集と銘うって売り出したところ で、大抵のものは文庫本になっています。そういう作品を並べても、今の言い方だと「リストマニア」 の仕事でしかない。そうではなくて、すぐに、本当に役に立つ、そういう全集をつくりたいと思った ので、時代を第二次世界大戦後ーーっまり多くの植民地が独立して、それらの場所から文学が出てく る、あるいは冷戦という緊張の中から出てくる、欧米の文学の。ハラダイムが崩れて一種の混乱の中か 17 基調講演 I 「過去は未来である」 ( 池澤夏樹 )

9. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

す。ライプラリーとアーカイブズとミュージアム、ミュージアムの機能は外に出していますが、博の歴史、文化、産業、生活等の 諸資料 ( 図書、古文書、行政文書、 物資料自体は多数持っています。私はその中で、京都府の公文書の管理をしています。 写真資料、近代文学資料、美術 工芸資料など ) を重点的に収集・ 整理・保存し、活用されている。 アーカイブズの意味 現在、博物館機能については財 団法人京都文化財団に委託して 「アーカイブズ」について、私の理解では五つの意味があると考えています。①一般用語として 収集・保存すること。②コンピューターの用語としてアーカイプファイル。③京都府や神奈川県の 所在地【京都市左京区下鴨半木 公文書といったように、生み出した組織のものを受け継ぎ、最終的に廃棄するか保存するかを決め 町 hロを、、、、 www.pref.kyoto.jp 、、 たうえで保存する組織アーカイブズ。④地域や他の団体から集めていく収集アーカイブズ。そして、 shiryokan 、、 index. html それらのアーカイブズを扱う団体や館自体を⑤アーカイブズ機関としています。「アーカイブズ」 という言葉が、コンピューター用語から機関、資料自体にまで適用されているということです。 未来への投企としてのアーカイブズ ここで「遺すための工夫」についてお話しします。「遺す」という一一一口葉、意味内容はもう少し考え る必要はありますが、「残す」より「遺す」の文字を使うほうがよいと個人的には考えています。 アーカイブズの資料は、知ってもらい、使ってもらうことでさらに集まってきます。ですから、 発掘した資料を万人に告知していくシステムを、コンピューターも含めて組織する必要がありま す。ここでいう「万人」とは誰でしようか。今生きている人だけでしようか ? アーカイブズの考 え方では違います。実際に私の機関が収集している資料には、個人情報の保護などの理由から数十 年後に開示することになっているものがたくさんあります。八〇年後という資料もあります。と にかく目録化しておき組織内で共有する。公開できる資料とできない資料を、ダブリン・コア ( メ タデータ記述に使う語彙 ) に制限肩報を人れ込んで、うまくコントロールする必要もあります。社会 ミュージアムの価値の実現をめぐって 146 第 2 部

10. 地域に生きるミュージアム : 100人で語るミュージアムの未来Ⅱ

ためにあるのだとも思ったくらいです。話しあっている企画 案が、本当に実行できるんじゃないか、という気になってし まいました。集まるということ、とにかく足を運んでもらう とい一つこと、ここに徹することの木しさにづきました。 0 さん】さまざまな考えをもった参加者が即席で企画チーム を組むという一見無茶な設定でしたが、やってみるとむしろ 普段の職場より本音を出せているのでは ? と思うくらい ざっくばらんな雰囲気で驚きました。 さん】「企画をたてる」ことの意味は、本当は、そこに足 を運ぼうとする「具体的な人々の状況が思い浮かぶ」という ことだったと思うが、「人が集まってくる『企画作り』」をす るというやや表面的なことになってしまった感があります。 ツールとしての「つながり」シートは使わなかったし、事前 課題をすることの本当の意味は伝わっていなかったと思いま す。もっと、ミュージアムに縁遠い「生身の人」を、口説く ようなスタイルがとれると面白かったかもしれません。参加 者がそれぞれ企画アイデアを考えてきましたが、一つひとっ をとりあげるというよりは、そこで出されたストーリー ( 想 定された利用場面 ) を皆で紡いでいくというような形をとりま した。農村の美術館に、雑誌企画で人を送り込むなんて、斬 新なアイデアもあり、ほかのひとの企画案とマッチングさせ るとい一つファシリテートをしました。 さん】事例紹介は、シンプルにやってもよかったかもしれ ません。なぜその事例なのかということが伝わりにくかった と思います。現場に人り込むという意味での臨場感は寸劇で 味わえましたが、事例の「生かすべきところ」について、丁 寧さがほしかったし、それは「寸劇」のなかでやるべきこと ではなかったかと思います。また、事前課題をしてきたこと が、かえって、自分のアイデアにこだわりすぎることもあ り、当日、条件シートをもらってそこで考えるのも手だった かと思います。 LL さん】蓑先生の事例紹介がとても強烈な印象でした、これ ほどのアイデアがあるのかと。ツールについては、「つなが り」を考えるシートよりは、勝手にどんどんアイデアを書き 込んでいけるメモ用紙が活躍しました。ほかのグループの発 表を聞いていて、同じ素材なのにこれほど違う使い方を考え るのかと、おどろきました。一人、医療関係の参加者がい て、地域がどういう場所なのかどういう人が暮らしているの かを知らないかぎり、なかなか企画はしにくいというお話し をされていて、作品ありき、美術館ありきから人るのではな その地域の人々にとってどう役立っことができるのかと いう視点を提供していたたいたかと思いました。 185 テーマ D : グループ長報告