学校 - みる会図書館


検索対象: エコミュージアム : 21世紀の地域おこし
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1. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

調査、ヤマメ、メダカ、コイの放流などを行。た。下流の三隅町にも呼び かけ、「みず澄まし三隅」が結成された。下流からは植林を、上流からは 海岸清掃 ~ と運動が展開している。澄んだ水の流れは上流から下流 ~ 豊か な恵みを運ぶ。おのおのが環境 ~ の責任を果たしていなければならないと の視点からである。 また、弥栄中学校生徒会では、酸性雨、川の水生生物調査を通して水質 浄化を訴え、文部大臣表彰を受けている。自然の残る上流にある弥栄村だ からこそ発信できる、しなければならないメッセージである。 3. 風の学校第八分校 いまは亡き中田正一先生からいただいた農業自立実習実践校である。私 が中田先生の「風の学校」の門をたたいたのは 1986 ( 昭和 (1) 年の冬だ。 た。先生は元農林省の技官で、 1984 ( 昭和 59 ) 年千葉県大多喜町で「風の 学校」を創立した。海外協力をめざす若者を自活実習させるためだ。各地 で知り合。た農民や技術者たちがその分校を次々と開いていった。私が 「風の学校。てなんですか」と尋ねたとき、先生は「吹けば飛ぶようなも のですよ」と笑っていたのを思い出す。 大多喜町の校舎は丘の上にある古い農家で、庭にはさまざまな手づくり ーの卒業生は、フィリピンやネグロス島で農民たちと の井戸があった。こ 井戸掘りに汗を流しているという。各分校での活動もユニークで、有機農 業、簡易トイレづくり、風車や水車づくりなど、大がかりな機材や資本の 必要がない実践的な技術指導を行。ている。そこから研修生が青年海外協 カ隊や政府の技術者として巣立。ている。ソマリア、タイ、バングラデシ ュなど、ネットワークは第三世界各地へと大きく広がっている。 弥栄でも中田先生から第 8 番目の分校をいただいた。末広がりだ。体験 二浦氏や 農園を拠点にしていたが、私が農園から異動になるのとともに、一 「あおむしの会」の圃場をフィールドに、研修生を受け入れることにな。 た。 3 人の海外協力隊希望者が、 1 年間の研修を経て、海外 ~ と巣立。て 行。た。この協力隊員が日本に戻。てきて、地域や社会にすんなりと溶け ここ弥栄ならリハビリに最適、 込めないことがあるらしいが、そのときでも 132

2. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

第 3 章リンゴとワインの里のエコミュージアム 朝日町では「生涯学習人材バンク」を作成し、各学校にも配布していた。 しかし、講師の選定と依頼は学校で行わねばならず、不便なことや講師の 詳細について把握しにくいことから、ほとんど活用されていない状況であ った。 そこで、学校からの依頼にもとづき、事務局で講師を確保し派遣するシ ステムに切り替えることにした。 あわせて、新たに人材 ( 地域の先生 ) を募集するほかに、これまで各学 校で指導してくださっていた方で、ほかの学校でも指導可能な方を人材バ ンクに登録することにした。事務局で、独自に人材の発掘を行ったことは いうまでもない。 ②「地域の先生派遣事業」に期待される効果 期待される効果は下記のとおりである。 ア地域の教育機能の活性イヒ 地域に内在するさまざまな教育機能を学校教育にいかすことにより、 開かれた学校づくりと地域の教育力の回復を図ることができる。 ・地域社会の人たちから指導を受けつつ、地域教材で体験を通して学ぶ ことができ、いきた学力を身につけることができる。 ・教育が柔軟で弾力的となり、教育活動が活性化する。 ・子どもたちがより多くの地域住民の「目」で見守られ、豊かな感性が はぐくまれる。 ・学校と家庭と地域社会とが一体となり、子どもたちを地域全体で育て るという「教育的環境」ができやすくなる。 イ社会参加による生きがいづくり 自らの豊かな知識や経験などを教育活動にいかして、地域づくりや人 づくりに積極的に参画する機会を提供することによって、生きる喜び と価値を追求してもらうことができる。 ウ子どもたちの豊かな感性の育成 派遣事業によって世代間交流が進み、大人への尊敬の念が培われ、共 生の意識を育てる、いきた道徳教育の場とすることができる。 ェ興味の追求とグループの充実 授業で興味をもち、もっと深めてみたいと思った子どもたちは、土日 83

3. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

8. 朝日町の学校教育とエコミューシアム 朝日町には、地域のもつ教育力をいかし、地域素材を教材化して、生き 生きとした体験を伴う授業や、郷土そのものを学ぶ活動を継続的に実践し、 すぐれた実践を行っている学校が多く、そのなかから 2 校を紹介する。 ( 1 ) 朝日町立立木小学校 「学校を地域の博物館にしよう」そんな考えのもと、 1990 ( 平成 2 ) 年に ユニークな実践をスタートさせたのが朝日町立立木小学校である。公立小 学校ということもあり、サテライト施設ではないが、サテライト的な要素 を数多くもっている学校である。 立木小学校には、朝日連峰の数多くのパネルや、ニホンカモシカの剥製 や解説パネルが展示されているほか、ヤマメの人工孵化場や囲炉裏のある 教室があるなど、郷土の自然や文化に包まれた学校である。 教育活動として、ヤマメの孵化と放流に取り組み、学校のすぐそばを流 れる朝日川の生態や水質の調査、河川清掃を行っている。また、ニホンミ ツバチの飼育やセイヨウミッパチの観察を通し、ミッパチの生態ばかりで なく、蜜源樹をはじめとする森林の仕組みについても学習している。 立木小学校の取り組みは、環境教育の観点からも高く評価され、第 1 回・ 2 回環境教育賞 ( 日本児童教育振興財団 ) 、第 3 回地球にやさしい作 文コンテスト ( 読売新聞社主催 ) で「ばくたちのヤマメを守ろう」が文部 大臣賞、同 4 回コンテストで「ばくたちの森を守ろう」が優秀賞など、数 多くの賞を受けている。 こうした立木小学校の取り組みに、筆者 ( 佐竹 ) も数年かかわった。先 生方の情熱と、地区内で養魚場を営む長岡雄一氏やビーズファーム ( ェコ ミュージアム・サテライト ) の安藤竜二氏をはじめとする、地域の方々の 指導と協力により、すぐれた実践がいまも続けられている。 80

4. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

6 . 朝日町工コミュージアムの特徴・・ 7 . 教育改革とエコミュージアム・ 8 . 朝日町の学校教育とエコミュージアム・ 9 . 養蜂と蜜ローソクのサテライトの試み・ おわりに 第 4 章空・山・川総合研究所とイーハトーブ・エコ = ーユー ジアム構想 ( 岩手県東和町 ) 1 . ィーハトープ・エコミュージアムのはじまり ィーハトープ・エコミュージアムは 2 . どういうふうになっているのカ 3 . 地域 ( テリトリー ) の特色 4 . ィーハトープ・エコミュージアムの内容 5 . ィーハトープ・エコミュージアムでの 空山川総研の多彩な活動 6 . これまでの活動の成果・インパクト 7 . ィーハトープ・エコミュージアムを 進化・発展させるための今後の課題 8 . ィーハトープにおける「縄文」へのこだわり わが村はエコミュージアム ( 島根県弥栄村 ) ・ 第 5 章 ドラマは始まった 2 . 弥栄村青年セミナーの誕生 3 . 風の学校第八分校 4 . 劇団「やうね座」の誕生 5 . 弥栄共同農場 6 . 弥栄村デザイン会議 7 . 弥栄村農芸学校 8 . 弥栄村秋祭りツアー 「 / 8 0 ・ 4 1 っ / / 8 8 ・・・ 93 ・・・ 94 97 ・・・ 102 ・・・ 103 ・・・ 107 ・・・ 113 ・・・ 114 ・・ 122 ・・・ 125 ・・・ 126 ・・・ 126 ・・・ 132 ・・ 133 ・・ 133 ・・ 135 ・・ 140 ・・ 143 5

5. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

自給する食文化、自給する牧畜、自給する家庭文化、自給する娯楽、自糸 する居住、というように暮らしと文化を、手もちの素材を駆使しながら 生み出していくものだろう。 とうや とくに今日、学び ( 陶冶 ) の自給は、いまや緊急な課題となりつつあ る。 明治以来、日本の「学校」はひたすら、訓育も陶冶も地域の人々 ( 家庭 ) から奪い取り正当化しながら、富国強兵の道具として、国民教育を形成し てきた。そしていま、それが破綻を示している。もともと「学校」という 制度で、訓育も陶冶も全部やろうとすることが無理なのだ。学校だけで人 間が育つはずがないのは、少し考えればわかるはすなのに、私たちは大き な勘違いをしてきた。地域が学び ( とくに陶冫台 ) の機能を取り戻しながら、 それを現代の伝統にしていく取り組みを、エコミュージアムとして構成し、 展示していくことの意味は大きい。 自給する暮らし、文化としての農家の暮らし方は、じつに、深い。まず、 稼ぎ ( 家を資源として収入を得る ) 。家とは、森、田、畑という労働対象 と家族という労働組織で成り立っている。森は治水、治山、食材、建築材、 堆肥の材料、家畜の飼料確保と多彩な役割を果たしてきたし、現在も変わ らない。 スギ、ヒノキのように建築材のみのモノカルチャーにしたから、価値が 崩れたのだ。そして、森 ( 奥山、里山 ) はなによりも風景になる。そして、 労働組織としての家族は、家族の共同性、陶冶を伴いつつ、①はたらき・ しごと、②稼ぎ、という 2 種の自己実現を生み出す。 ちなみに「はたらき」「しごと」は金銭収入にこだわらない労働をいう ( 内山節氏 ) 。そして、出稼ぎは、その付加価値をつけるため、さまざまな 文化やモノの自給と結合している。そして、これらの自給はもちろん、い ろいろなレベルの農芸に裏打ちされ、そこの村の名人が生まれ、むらの人 脈を豊かにしていく。 農家の暮らしは当然、むらの共同性によって成り立つ。結婚、葬式、土 地の共同管理、農芸組織もまた、むらの共同性によって生み出され、それ が、決して因習にならず、伝統として機能するように取り組まれていけば、 資源となっていく。 158 ヘロ、

6. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

( 2 ) 朝日町立西五百川小学校 1998 ( 平成 10 ) 年から、「郷土学習」の推進に力を入れているのが、朝 日町立西五百川小学校である。 高台に立つ校舎の中には、エコミュージアム研究会が作製した「地域の 宝物パネル」や朝日町の「花」「木」「鳥」「動物」の写真が展示されてい る。 裁量の時間を活用した「ふるさとタイム」では、学校のまわりの植物探 検や郷土カルタ大会 ( カルタはエコミュージアム研究会作製 ) が全校児童 を対象として行われる。このほか、 1 年春・夏・秋・冬と遊ばう 2 年ふるさとじまん・あじじまん 3 年朝日名物「りんご館」を作ろう 4 年水 ( 川・沼・せきなど ) を調べよう 5 年ウォッチング西五百川 6 年探ろうふるさと。不思議発見 というように、学年ごとにテーマを設定して実践が行われている。野鳥や 植物などの観察活動、米や野菜やリンゴなどの栽培活動、地域の歴史探検 など、内容は多岐にわたっている。 これらの活動を支援し指導するのは、専門知識をもっ保護者や地域の人 たちであることはいうまでもない。西五百川小学校の実践の特色は、教育 事務所や町教育委員会の指導主事の助言を得るばかりでなく、町教育委員 会の生涯学習課とも連携して研究を進めている点であり、今後「学社連携」 による教育の進展が期待される。 ( 3 ) 学社連携教育への展望 ①地域の先生派遣事業 朝日町は、 1999 ( 平成 (l) 年度に、「地域の先生派遣事業」を立ち上げ た。「地域の先生」は、個人、グループ、行政 ( 町役場各課 ) からなり、 個人とグループはボランティア、行政は公務対応である。個人およびグル ープを対象に、事務局で一括してボランティア保険に加入している。事務 局は派遣社会教育主事 ( 筆者・佐竹 ) である。 82

7. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

第 2 章フランスのエコミュージアム ュージアムの定義を発展的に提出する。ここでは、それらを詳しく検討す ることはできないが、 1980 年の「エコミュージアムの発展的定義」のなか で次のようにその教育的機能を重視していることをあらためて想起してお きたい。「エコミュージアム、それは学校。研究と保護のための活動に住 民の協力を得るものであり、地域の将来の可能性を探り学ぶことのできる よう推進するものである」 工コミュージアムの定義は固定されるものでなく、住民の主体的な活動 によって支えられ創造されるものであるので、その活動は困難を極めれば 極めるほど、専門職員とのパートナーシップを図りつつ住民の教育・研究 の機能をより重視していくことが土台となることが重要である。またその ことを通して、住民参加が真に実現され、したがってまた地域特性に応じ た個性的なエコミュージアムが創造されていくことになろう。 〈引用・参考文献〉 ・西野嘉章『博物館学一フランスの文化と戦略ー』東京大学出版、 1995 年 ・岩橋恵子『フランス成人教育におけるエコミュージアムの意義と役割ー アソシアシオン研究の視角から一』 ( 平成 7 年度 ~ 平成 8 年度文部省科 学研究費補助金研究成果報告書 ) 1997 年 3 月 ・日本エコミュージアム研究会編『エコミュージアム・理念と活動・世界 と日本の最新事例集』牧野出版、 1997 年 6 月 ・岩橋恵子「フランスにおける博物館運動とボランティア」日本社会教育 学会編『ポランティア・ネットワーキングー生涯学習と市民社会一』東 洋館出版、 1997 年 9 月 ・ Hugues de Varine-B0han, IJn musée <éclaté> : le Musée de l'homme et de l'industrie, Museum 25 ( 4 ) , 1973 ・ Musée de Bretagne-Ecomusée Les Bintinais, Découvrir les Ecomusées, 1984 ・ Georges Henri Riviöre, La Musé010gie, Dunod, 1989 ・ Jacues Sallois, Les musées en France, PUF, 1995 ・ GREP, Ecomusées et musée de société, POUR no. 153. , 1997 59

8. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

第 2 章フランスのエコミュージアム こしがめざされている。筆者が訪問したときは ( 1998 年 7 月 ) は、施設と 呼ぶにはまだあまりにも未整備ではあったが、 20 人ぐらいの老若者たちが 一生懸命に機械を修繕したり鋳型を作ったり、また建物そのものの修復を 行っていた。彼ら訓練生の指導にあたるのは、エコミュージアムではなく、 成人職業訓練協会 (AFPA) という協同体の指導員である。工コミュージ アムは、この地域の協同体と契約を結んで、彼らへの職業訓練を行ってい るのである。そして訓練生たちはその訓練を生かして、セラミック工場の 博物館の修復作業にもかかわっている。この博物館ではいずれ、かっての 瓦を焼いた炉やトロッコで石炭を運ぶ、 19 世紀のセラミック生産システム が再現される予定で、また住民が新たな地域の価値を発見する重要な足が かりを得ることになろう。しかしそれと同時に、このプロジェクトのもつ 意義は、エコミュージアムが職業訓練や雇用を通して、地域経済問題解決 への「冒険」を試みていることである。工コミュージアムが、地域の過 去・現在の価値を発見し活用することを通して、未来の地域を創っていく ことにあるならば、地域文化的側面での活動にとどまるのではなく、地域 経済のあり方をも視野に入れる活動が不可欠のものとして位置づけられは じめているのである。 こうした職業訓練にとどまらず、近年クルゾー・エコミュージアムでは、 教育活動に力を入れた活動を展開している。学校教員に向けた研修を組織 化したり、さらに学校教育のためのプログラムを開発しているのもその一 部である。その詳しい検討は別の機会に行う予定であるので、 こではク ルゾー・エコミュージアムが、学校とのパートナーシップに力を入れて、 「喜びと感動をもっ学習」や「新しい価値 ( 地域遺産など ) を発見できる 学習」など、エコミュージアムを学校開放にかかわる活動と位置づけなが ら、実際に学校教育に結びつくプログラムをもって、文部省の公式のプロ グラムとの接合を始めていることを述べておくにとどめる。学校とエコミ ュージアムとの関係は、これまでは学校側が主体となり児童・生徒の課外 活動としてエコミュージアム訪問を実施することが中心であったが、今後 工コミュージアムが学校のパートナーとして、学校のプログラムの一部を 共働で検討するという場面も生まれてくることが予想される。 55

9. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

第 5 章わが村はエコミュージム 弥栄村農芸学校のひとコマ に携わりたい人たちを対象に、始まったものである。「農業学校」ではな く「農芸学校」としたのには理由があった。自給の技を身につけることを 手始めに、その技をイ中間に伝えるシステムづくり、醸造文化をベースにし た地場産業の起業化や地域文化の掘り起こしを通して村の再生を考え、そ れらを新しい芸術にまで高めていきたいという意図からであった。 もちろん教授は弥栄の自然と地元の人々である。農は命に通じ、食、健 康、環境とすべてに繋がっていくものであるという視点から、専門家も呼 びながらの学校だ。 農芸学校では、弥栄村に定住、あるいは半定住的に住んでみたいという 人たちの受け皿づくりを目標に、農村生活者を募るプログラムをつくった。 農村の価値を見いだし、命の尊さを発見し、「直耕」がいかに人間らしい 生活なのかを認識してもらい、その体験のなかで参加者それぞれが自分の 道を見きわめる指標づくりができればと思ったわけだ。 当初、 20 名程度の募集に 90 名以上の応募があった。第 1 回として、 23 名 を受け入れて始まったのであるが、開校直後にちょっとした事件が起こっ 141

10. エコミュージアム : 21世紀の地域おこし

第 1 章工コミュージアムの原点 工コミュージアムでの「遺産」は基本的には現地保存である。これは 「遺産」そのものが元来、生み出され活用されているところにおいて価値 を示すものであり、それを他の文脈に移すと、その本質的な部分が失われ てしまうという認識があるからである。その価値を発見するためには、学 際的な手法が必要とされる。工コミュージアムでは、学術委員会が設けら れ、多くの分野の研究者が住民とともに、対象把握に努めるのは、その必 要性があるからである。 リヴィエールは、エコミュージアムを学校と呼んだ。その解釈は、いろ いろあるが、ここではこれを住民と地域の将来を学ぶところとしたい。 こでは、住民に焦点を絞ってみていきたい。 地域振興にかかわる施設を協同で運営することは、「学ぶ」ことの多い ことである。ます、運営上の細かな問題の処理を協同のカで行わなければ ならない。また「遺産」について十分に理解していないと来訪者に適切な 説明ができない。協同での運営では、住民相互の理解が深まらないとスム ースな活動ができない。 地域のエコミュージアムの運営に主体的にかかわることによって、地域 とそこにあるその自然・文化遺産に通じるようになる。それに地域住民の 相互理解が深まることによって、地域への愛着は深まる。そして過去・現 在・未来にかけての地域について理解が深まることによって、地域の問題 に関心をもたざるをえなくなってくる。 これがわかると、身銭を切ってでもやろうという気にもなる。価値ある ことは、まず、自分から、自分たちから始め、実績を積み重ねていく。行 政は、多くの場合、後からついていくものである。まず、自分たちから行 動を起こすこと。それもあまり他に範を求めず、自分たちの生活を物質的 にも精神的にも豊かになる方法を自分たちの地域から創造していく。それ を行政がフォローする。工コミュージアムは、なによりも、民主的なもの でなければならない。 27