シート - みる会図書館


検索対象: 「自然史博物館」を変えていく
16件見つかりました。

1. 「自然史博物館」を変えていく

・意外と高い事前、事後の学習へのニーズ ( 問 7 ~ 10 、 13 ~ 14 、 p. 32 ~ 35 ) 事前学習は 95 校、事後のまとめは 92 校とそれぞれ約 2 / 3 の学 校が何らかの形で事前あるいは事後の学習を行っており、両方行った 学校は 68 校にのぼりました。特に中学校では事前・事後学習共にほ ぼ全校で行われていました。行わなかった理由は、遠足だから、見学 そのものが目的、植物園がメイン、時間がないなどがありました。し かし、全体として当初博物館で予想していたよりも高い数字になりま 事前学習の方法はワークシート、館のパンフレットをもとに館につ いて大まかに見ておく、といった形が多いようです。実はこの傾向は 昨年も見られたため、 2003 年より博物館の紹介ビデオの貸出をはじ めました。今年度、さっそくかなりの需要がありました。館のホーム ページの利用は中学校で比較的目立ち、パソコンを使った学習の流れ での利用が見られます。また、下見の際に撮った写真をもとに教員が 説明するという教員の工夫を感じるものもありました。 ワークシートは館のパンフレットや下見の際に配布されたプリント 類をもとに作られたものが最も多く、なかには以前配付された資料を そのまま使用しているところもありました。また、 1991 年、 1992 年に市内の小中学校に配布した『自然史博物館利用の手引き』をい までももとにしているところもあります。 8 つの学校から実際にワー クシートを提供いただきましたが、遠足全体のしおりの形のもの、解 答記入式のもの、印象に残ったものを記述あるいはスケッチするもの などがありました。 貸出ビデオ『ようこそ自然史博物館へ』については、内容が館の展 示室全体の案内と展示以外の博物館活動の紹介であることから、来館 の事前学習として児童・生徒が見る形が多いようです。感想としては、 「分かりやすい」「興味を持たせることができた」等の好印象の一方、「内 容が古い」「 ( 小学校 3 年生以下には ) 難しい」という不満な点があり 20 第 1 章学校・教員へのアプローチ ました。

2. 「自然史博物館」を変えていく

いない様子が目立っていました ) 。 もちろん、これらのパネルを置くことで元々量の多かったパネルの 数が増えてしまう、という課題があります。大人でも全て読むのには かなりのエネルギーがいると思われ、これを機会に、解説パネル、サ イン、情報提供の仕方の再吟味が必要かもしれません。 ■事前、事後学習への対応 アンケートから見学の事前・事後に何らかの学習をしている学校が 多いことが示されました。遠足のしおり・ワークシートには館のパン フレット・手引き等が使われていましたが、元々のパンフレットが白 黒印刷を想定していないため、印刷が見づらいもの、質問内容が適切 でないものが多かったのも事実です。これらの対策としては、博物館 側からの積極的な素材提供が有効と考えました。団体説明時に、学校 の印刷機でも黒くつぶれず、しおり等に利用できるように線画で作成 した館内の見取り図を配布することにしました。また、遠足時に使え るようなワークシート類も数種作成しました。 ワークシートは、低学年には展示物の印象を強めてもらうための簡 単なもの、高学年や中学生には展示物を見て考えてもらえるもの、何 よりもワークシートを使うことで展示への理解が深まることを目的に 置きました。作成にあたっては、学芸員と教育スタッフ ( 橘・中原 ) が協力してあたり、デザインワークを行いました。ともすれば解説文 の丸写しで満足してしまいがちな見学・学習を変えていくような内容 を心がけました ( P26 参照 ) 。見取り図やワークシートは、混雑した 館内で広げて使うことはできなくても、事前の学習でイメージを広げ、 実際の見学で、「これが本物か」と理解を深めてもらうねらいもあり ます。博物館・ NPO 側からの積極的な提案で、少しずつ状況を変え ていっています。 事前学習のための素材提供も積極的に行っています。 2003 年春か ら博物館の紹介ビデオ『ようこそ自然史博物館へ』の貸出を始め、秋 1 -2 学校への「博物館利用のすすめ」と「よりスムーズな利用提案」をめざして 25

3. 「自然史博物館」を変えていく

2 ー 3 クイズでコミュニケーション 樽譬 ) ・博幸 . ~ 伏阪市立自然史博物館学芸員 ) 。、第。当グ本阪自然史センタ教育ス名ッフ ) 、 1 自然史探検すくらっち 2-3 クイズでコミュニケーション 63 すが、問題の厳選は難しくなりました。 の種類はできるだけ多くということで、 1 () 種類となったので じ問題にぶつかり飽きてしまうだろうと考えました。シート ( 2 ) 何度も来てほしい。→シートの種類が少なければ、すぐに同 まないと答えられない問題もありました。 題作りという点では、当初のものは不徹底でした。解説を読 (1) 展示をよく見てほしい。→「展示だけを見て答えられる」問 えていました。 以下にあげます。しかしこれらの目標は、すでにいくつかの課題を抱 クイズのシート ( 問題 ) を作るに当たって、学芸員が考えたことを 館した場合はクイズの対象外となり、参加できません。 リジナルの絵はがきを記念品として配布しました。学校団体として来 クイズのシートは IO 種類各 5 問とし、 4 問以上正解の場合は、館オ て「自然史探検すくらっちクイズ」を実施することにしました。最初、 では、学芸員を中心とした内部での議論により、この事業の一部とし 料開放の拡充・充実活性化」事業が予算化されました。自然史博物館 どの小中学生への無料開放を実施しています。さらに翌年度からは「無 大阪市では学校週 5 日制にあわせ、 1995 年度より、博物館施設な

4. 「自然史博物館」を変えていく

( 3 ) 友だち・兄弟といっしょに来ても、みんなが違う問題に取り 組めるようにしたい。→シートの種類はできるだけ多く。 ( 4 ) 小学生から中学生までのすべてを対象にした問題を作ること は無理。→小学校低学年の児童は、兄弟や親と一緒に取り組 んでもらおう。 クイズが始まってまもなく、クイズのある展示コーナーしか見てい ないという傾向が明らかになりました。これは、博物館周辺にすんで いると思われる小学生のグループで著しかったようです。また、問題 のある展示コーナーの場所を探せないという場面も、よく見られてい ました。 最初に印刷したシート (ver. I) が残り少なくなったとき、これを 増刷するか、 Ver. 2 を新たに作るかが議論になったのですが、目新し さが必要だろうということで、 ver. 2 ( やはり 10 種類各 5 問 ) を制作 しました。 Ver. 1 の制作時には最初で選択肢が多く、 (1) にあげた問 題点を持った問題はまだ少なかったように思います。しかし、 ver.2 では、わかりやすい問題をそろえるには、やはり無理があった、とい うのが実感です。このため、 Ver. 2 がなくなった後は、 ver. 1 と ver. 2 の問題を混ぜて Ver. 3 としました。 2000 年に博物館に隣接して花と緑と情報センターが開設されまし た。その 1 階に「大阪の地域自然誌展示室」が新設され、各シート 5 問のうち 1 問をこの展示室の展示から出題することとし、 ver. 3 に修 正を加えました。新しい展示室にも回遊して欲しい、ということで加 えた修正ですが、クイズ問題のある展示室が 2 つの建物に分かれた 結果、問題の探しにくさは増大した、ともいえるでしよう ( 樽野 ) 。 2 クイズでダッシュ ! 2003 年の秋のこと、来館者動向を調査中にカードを持って走り回 る子どもに出会いました。「俺は次は 1 2 の A だ」「ぼくは 13 の B 」 64 第 2 章子どもに楽しく、きちんと伝えるために

5. 「自然史博物館」を変えていく

問 9 : ワークシート類を作成された方へ。作られた際、何を参考資料にし ましたか ? また、差し支えなければ作られたワークシートを 1 部、 この用紙と共にお送りいただけると幸いです。 小学校 ・パンフレット、下見時に貰ったプリント、以前貰った資料など ( 8 件 ) 。 ・下見時に展示物を見ながら作った問題といただいたスクラッチクイズ の間題のカードからとった間題で作ったが難しすぎた。 ・館の HP ・理科のプリントで簡単に説明 中学校 ・下見 ( 2 件 ) 問 10 : 貸出ビデオ「ようこそ自然史博物館へ」をご覧になった学校はそ の使いみち、感想をお書き下さい。 小学校 ・あらかじめ大まかな学習をすることによって興味づけができた。 ビデオが少し古かったのが残今 ノ 0 よ、 0 ・遠足説明会での事前学習。子どもたちが興味を示し、遠足をさらに楽 しみにしていた。 ・学年で見た。分かりやすいと思う。 ・学年別で全員で視聴。 ・事前にビデオを見ておけば目的を持って見学できる。ビデオを見なが ら「あっこんなんあるんや」「大きそう」と反応があったので効果あ ったと思う。 ・事前の指導のため。 ・事前学習で使用。展示内容が分かりやすく理解できた。 ・ビデオとしてはとても昔に作られた感じがした。 ・展示内容を知らせるため。内容は 3 年生には少し難しいように思わ れる。 1 -2 学校への「博物館利用のすすめ」と「よりスムーズな利用提案」をめざして 33

6. 「自然史博物館」を変えていく

お ~ 育しリ ) しぜんし はん がっこう ねん くみ 小学生 ~ おまけジト なまえ ほんかん 本館・だい 4 てんじ室 ーさ 0 引、つかんは くるまえに あたしたちに いろぬ ) てねー どんなしよくぶつ をさか しつ ①パ、ナナ 0 トウモ 0 コシ ②リアン 図 5 事前学習ワークシートの例 ( これは小学校低学年用。 4 パターンを作成 ) 大市立 自然史は 0 かん ・ , 、学生ワクン尋 年 組 学校 クジラのホネクイ 0 なまえ 本館・第 3 てんじ室 1 はんて、、き示、し発のと 同じ蝌の市ネも さカ ( し 1 みよ ) 。 0040 召朝 0 “ . ““ . 2 かいのてんじようからは大きなホネが ぶらさがっているよ。だれのホネかな ? セミクラ ア・セミクジラ イ・ナガスクジラ ウ・マッコウクジラ ーまく : つんて つジうのホネたルけル も本館・ 1 階 オリエンテーションホール さかそら ①これは木じゃないよ。 大阪で見つかったクジラのホネなんだ。 どこの部分だと思う ? ② ナイスクッ マ , コうク ) 0 やく何メートル あるのかな ? ア・ 1 0 メートルイ・ 1 7 メートルウ・ 25 メートル 図 6 事前学習ワークシートの例 ( 小学校高学年用。これは非混雑期の利用を想定したもの。 4 ノヾターン、中学生用に 2 パターン作成した ) 26 第 1 章学校・教員へのアプローチ

7. 「自然史博物館」を変えていく

図 2 切断・研磨してラベルを貼った石ころ見本 川の石こる まキ当ト 「川原の石ころ」標本キット。プラスチックコンテナに収納した状態と解説シート ( 左 ) 、 物な第準 2 セットが入る段ボール箱 ( 右 ) 図 3 44 図 4 石ころ標本を観察するイ 第 1 章 学校・教員へのアプローチ

8. 「自然史博物館」を変えていく

心を持たせたかった。 ・植物について調べる。 ・大阪の地学関係の実物・資料をまとめたものがほしかった。 ・大阪の博物館を学ぶというテーマで実施し、自然科学系の博物館とし て活用。 問 7 : こ来館の前に、事前学習を行いましたか ? 無記入 3 % 行わない 31 % 行った 66 % 図 1 2 問 7 の集計結果 問 8 : 事前学習を行われた学校のみお答え下さい。その内容はどのような ものでしたか ? ( 複数回答 ) 表 1 問 8 の集計結果 高校 その他 小学校 中学校 計 25 5 1 1 自作ワークシート、プリントでの学習 博物館のビデオを鑑賞 博物館のホームページを閲覧 図書の利用 その他 学校・教員へのアプローチ 32 第 1 章 31 4 1 6 0 4 ら ) っ 0 つ」 2 31 27

9. 「自然史博物館」を変えていく

謡貸原 グループ学習でも使用しやすい数の資料 ひとうの箱には同し標本セットが 6 セット人らそいますよ。 数グル”プに分かれての授業展開にも対応できま ・身近な地域の川原の石ころで構成影 3 ま淀川い芥川など大阪に流れる川の周辺の石ころで構成し。 いま灰現地ての見学授業の後に利用すると子どもたち、の ー理解をより深めるごとができます ・石川セット ( 大和川水系 ) 、。 石ころの種類 、芥川セット ( 淀川水系 ) , 木津川セット ( 淀川水系 ) 第石ころ ( 約 8 類 ) x 6 セット ニガイド ( 川原の石の見分け方 ) x 1 冊 ・説明シートく石の見分け方 ) x ー を各セットの内容 お問い合わせ先 図 6 「川原の石ころ」標本キットを知らせるチラシ。校外学習の下見説明会などで配付してい 1 -3 標本貸出キットの作成と運用 49

10. 「自然史博物館」を変えていく

対策 3 教員への提案方法 博物館に来るからには、館ならではのプログラムを体験させたい。 先生方のスクラッチ利用はそのような願いが込められているようです。 また、毎日多忙な学校の先生は、すくらっちクイズの問題を担当学年 に適したものであるかということをほとんど検討することなく使用し ているようです。一見、乱暴な使用方法のようにも思われますが、そ れだけ博物館発行のクイズ、教材に信頼をいただいているともいえま す。私たちは、「すくらっちクイズを学校の先生に配布しない」とい う対策をとると同時に、それに変わる新しい学校向けのプログラム提 案が必要です。展示を見るだけでなくもう 1 品 ! というときに対応 できるプログラム作りが必要です。その例が 1 ー 2 で紹介したワーク シートでした。 4 試行 これまで挙げたクイズの問題点をもとに、私たちは新しく 1 ~ 4 年 生用のクイズを制作することにしました。問題は展示との兼ね合いを スタッフが調査しながら、現場で制作し、小さな学年の子どもに親し みを持ってもらえるように「ぼくをさがしてね ! 」というキーワード をもとに制作しました。本印刷前の現場での試行のため、子どもたち が鉛筆をもって答えを書き込むことができる方法をとりました。 図 2 クイズと鉛筆をもってスタ 70 第 2 章子どもに楽しく、きちんと伝えるために