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検索対象: 「自然史博物館」を変えていく
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1. 「自然史博物館」を変えていく

はじめに 一地域の「自然の情報センタ」として 機能するために 橘麻紀乃 ( 大阪自史センター ) 久間大輔 ( 大阪市立自然史物館 ) 1 自己紹介ー大阪市立自然史博物館と特定非営利活動法人 (NPO 法人 ) 大阪自然史センター 図 1 大阪市立自然史博物館 はじめに 1 から構成されています。大阪各地の自然から地球の生い立ちまで、様々 報センター」の中にある「大阪の自然誌」展示室と特別展示スペース とナウマンホールに加え、 2001 年にできた新館「花と緑と自然の情 物館です。「自然と人間」の関わりをテーマにした 5 つの常設展示室 長居公園にある、生き物、化石、地質といった自然をテーマにした博 大阪市立自然史博物館は、大阪市の南部、スポーツ施設が集積する

2. 「自然史博物館」を変えていく

います。それだけではショッピングセンターや公民館と変わり ありありません。「博物館ならではのワークショップ」、という スペシャル感が生まれません。来館者にはわざわざ来た甲斐が あったというワークショップを提供したいですし、そこにある 魅力的な展示物や豊富な収蔵品を活用してこそ、博物館という 場所でこの事業を展開していく価値があると考えています。 ワークショップはその後順調に自然史博物館のレギュラープログラ ムとして定着をしています。子どもたちは、学芸員と教育スタッフが 紹介する、展示品の不思議に触発され、活動をしています。子どもワ ークショップが企画され、デザインされ、実施されるようになったこ とが示すように、自然史センターの教育スタッフが中核になることで 一連の事業に継続性が生まれ、事業経験として蓄積し、さらに新たな プログラムを産んでいくことが可能になりました。それが一過性のイ べントスタッフやボランティアだけでない、 NPO 大阪自然史センタ ーの強みだと考えています。 80 第 2 章子どもに楽しく、きちんと伝えるために

3. 「自然史博物館」を変えていく

「以 ~ 」を変 , んていく大阪市立自然史博物館・大阪自然史センター編高陵社書店 9784771109759 192 ろ 054015002 旧 BN978-4-7711-0975-9 C3034 ¥ 1500E 「自然史博物館」を変えていく Renovation ofl NaturalHistory Museum 大阪市立自然史博物館 大阪自然史センター 定価 : 本体卩 00 戸 ] + 税 高陵社書店 高陵社書店

4. 「自然史博物館」を変えていく

はじめに一一地域の「自然の情報センター」として機能するために 第 1 章学校・教員へのアプローチ 佐久間大輔 ( 大阪市立自然史博物館学芸員 ) 橘麻紀乃 ( 大阪自然史センター教育スタッフ ) 目 ー 1 2 - 2 2 ー 3 2 ー 4 次 1 ー 1 1 ー 2 1 ー 3 学校と博物館をつなぐ・・ 佐久間大輔 学校への「博物館利用のすすめ」と「よりスムーズな 利用提案」をめざして・ 橘麻紀乃 標本貸出キットの作成と運用・・ 川端清司 ( 大阪市立自然史博物館研究副主幹 ) 第 2 章子どもに楽しく、きちんと伝えるために 2 子どもと博物館をつなぐ・ 佐久間大輔 「また見に来よう」のきっかけ作り 中原まみ ( 大阪自然史センター教育スタッフ ) クイズでコミュニケーション・・ 佐久間大輔・中原まみ ー「子どもワークショップ」という語りの模索ー 次のサービスへ・・・ 樽野博幸 ( 大阪市立自然史博物館学芸課長 ) ・中原 12 1 5 ・ 36 ・ 74 ・ 63 ・・・ 55 ・ 52 ・ 5 1 まみ 目 次 9

5. 「自然史博物館」を変えていく

5 ) 友の会やサークルなど博物館コミュニティの充実 6 ) 博物館との連携のためのイベント「大阪自然史フェスティバル」 の実施 7 ) 地域連携の核としての自然史博物館連携の試み の各事業です。本書ではこれらのうち学校との連携を主に教員をター ゲットとしたもの、子どもをターゲットとしたものに分け、さらに地 域との連携の章を立てて、再構成しまとめています。 4 本書のねらい 本書は、これら 2002 年から 2004 年にかけて行った事業について 目標や成果を総括したものです。ですから、大阪自然史センターから 出版した『「学校」・「地域」と自然史博物館』とは姉妺編ということ になり、主題も一部重複しています。本書は、事業の総括であると同 時に、社会の中でこうした博物館活動・ NPO との協働を位置づける ことをねらって作成しました。ーっーっは決して革命的ではなくて も、この自然史センターとの協働によって大阪市立自然史博物館は自 ら「自然史博物館を変えていく」作業を日々行っています。報告書と してデータの豊富な前著とあわせて読んでいただくことで、より具体 的に活動の実態を知っていただけると考えています。 この 2 冊の本からは、現在の NPO 大阪自然史センターの実際を 読み取っていただけるでしよう。博物館と市民をつなぐ受け皿とし て、市民が担い手となった博物館友の会の役割が重要であることを実 証できたのではないかと考えています。実際、この活動と前後して大 阪自然史センターは、学校連携、児童教育を担う教育スタッフ 2 名 を配置し、博物館と市民の連携の中核となりうる実務能力を備えるま でに成長しました。教育スタッフの仕事は、学校との連携における企 画・提案と調整、児童教育向けのデザインや企画、そして地域連携企 画の運営などで、教育機能活用推進事業でも中心的な役割を担ってき ました。けれども彼らだけではなく、 NPO にはデザイナーや、生き はじめに 7

6. 「自然史博物館」を変えていく

ケート対象は小学校から高校までとしました。回答のあった学校の内 訳は、小学校 119 校・中学校 19 校・高等学校 1 校・その他 ( 養護 諸学校 ) 5 校、全体の回収率は 37 % になります。アンケートを図に 示しました。内容は「どのような利用をしているのか」「何に期待を しているのか」そして「何に不満を持っているのか」を中心にした設 問となっており、前年度と比較できるようほぼ同一としました。アン ケート結果については、 P28 ~ 35 にまとめて掲載しています ( 『「学 校」・「地域」と自然史博物館』に掲載 ) 。 ・博物館をどのように利用しているのか ・利用回数からみると、中学校の開拓はまだ必要 ( 問 1 、 P. 28 ) 自然史博物館は長居で開館してからでも 30 年を超え、定番の遠足 場所として定着が見られます。全体を見ると「ほぼ毎年利用」の学校 が多く、後の回答からも分かるように遠足目的で毎年来ている学校が 多いことがうかがえます。対照的なのは小学校と中学校の回答で、小 学校は半数近い学校が毎年来ているのに対し、中学校の 6 割が今回 初めて利用している点です。中学校は総合的な学習の時間など新たな 利用形態で来館し始めていると見られます。 ・利用施設、来館目的、理由には「地の利」がある ( 問 2 ~ 4 、 p. 28 、 29 ) 利用施設は博物館本館に加えて植物園、あるいは植物園と共同で運 営し展示面では新館としての位置付けをもつ花と緑と自然の情報セン ター ( 以下、情報センター ) を利用するパターンが多く見られました。 なかでも本館十植物園の組み合わせが多くみられます。情報センター の利用度は昨年の調査同様低く、開館 3 年たった現在も学校への認 知度が低いことが分かります。情報センターの存在は知っていても、 博物館とは別の施設と思われて利用されなかったり、小学生にとって は情報過多になり、時間的にも情報センターを含めた見学が難しい場 合もあるようです。 1-2 学校への「博物館利用のすすめ」と「よりスムーズな利用提案」をめざして 17

7. 「自然史博物館」を変えていく

と相当な割合にのぼります。子どもたちに「また来たい」と思っても らうためにも、楽しい遠足体験を実現することは大切です。学校の先 生方も遠足のしおりなどにさまざまな工夫をされており、この努力を 博物館として支援することも大切でしよう。また、せつかくの遠足の 機会を学習に結びつけたいという声も聞きます。 博物館と学校との連携を考えるうえで、学校、特に来館計画を決め られる教員が今、実際にどのような利用をしているのか、そして博物館 に何を期待しているのかを探ることが、まず最初に必要だと考えました。 これは今後の博物館利用を進める自然史センターの立場からも、博物館 自身の活動を設計していくうえでも大変重要な情報になるはずです。 大阪自然史センターと大阪市立自然史博物館は、 2002 年度にも、 遠足等で来館した学校の利用実態と館への要望の調査として、 148 校に対してアンケート配布し、 78 校から回答を得ました。この結果 については『「学校」・「地域」と自然史博物館』 ( 大阪自然センター発 行、 2002 年 ) に既に詳しく報告してありますが、私たちもこのアン ケートに基づいて下見説明会の改善・展示の工夫などを行いはじめた ところです。ここでは 2003 年度に、より多くの学校からの協力を得 て行ったアンケートの結果を用いて、改めて学校が博物館に求めてい るサービスは何なのか、そのうえで今後の展示・博物館利用としてど のようなものを提案していくのか、私たちの現状を示していきたいと 思います。 2 利用した学校へのアンケート 大阪市立自然史博物館では遠足ピーク時のスムーズな見学のために、 学校団体の利用に際して事前の下見と、団体見学予約をおすすめして おります。 2003 年 4 ~ 12 月に団体見学の予約をした学校 385 校にアンケ ート用紙を配布し、 2004 年 3 月までに 144 校から回答を得ました。 幼稚園・保育園を含めると 650 校園ほどになりますが、今回のアン 16 第 1 章学校・教員へのアプローチ

8. 「自然史博物館」を変えていく

る感想も見られました。 3 アンケート結果から得た活動の指針 ■遠足下見の説明会を教員と博物館の接点に変える 遠足等の団体見学をする前に、教員が当館に足を運んでくれます。 遠足の下見ということでいえば、安全上の観点や手続きの説明で十分 なのですが、これは、博物館と学校双方のコミュニケーションにとっ て実にもったいない状況でした。博物館側から、何に注目してほしい のか、どのように利用してほしいのかという情報発信をし、そして学 校側が遠足当日の混雑と混乱の中でどのように不満を抱えているの か、状況・問題点が職員に伝わらない状況がありました。大阪自然史 センターとの協働は、しがらみのない外部の立場から状況を解きほぐ し、博物館の事務方や学芸方、そして学校に対しても「コーディネート」 を試みるものでした。その実践として行った 2 年間にわたるアンケ ートの結果は、少なくとも解決すべき現状を見せてくれるものでした。 学芸員とともに学校と博物館の連携をはかる TM 委員会を作り、遠 足下見の説明内容に改善を図るとともに教育スタッフをバックアップ する体制を作りました。 2003 年度からは下見説明に教育スタッフが 入るようにし、 2004 年からはさらに深く関わるようにしました。教 育スタッフからは、博物館本館のほかに新館 ( 情報センター ) も見学 できること、情報センターではコンピューターや図書で調べものがで きること、混雑する期間や時間帯は限られており、見学日時を少しず らせばグループ活動ができること、その際は画板の貸出や学芸員への 質問も余裕を持って対応可能であることなどを説明しています。どの 時期が混んでいること、どう対処すれば要望が可能になるのかという ような情報を示すことで、アンケート結果で最も要望の多かった混雑・ グループ活動への対応をすすめています。これらの情報は Web 上に 学校への「博物館利用のすすめ」と「よりスムーズな利用提案」をめざして 23 度の春は、既に説明を受けた後に見学日時を繁忙期から外してグルー も掲載し、少しずつではあっても働きかけは進んでいます。 2004 年 1 -2

9. 「自然史博物館」を変えていく

ち、その問いを次の学習につなげることにねらいがありました。「・・ 一般利用者に対しては、普及センターでサービスと教育普及活動を行 っているが、単純なサービスで終わってしまうのではなく、それを契 機として、友の会への入会やいろいろな研究会、サークルなどを紹介 するなど、自分が興味を持った点を伸ばしてゆけるように指導してい る」 ( 布谷知夫 , 1975 普及教育活動のポイント . 博物館研究 vol. 10 N02 / 3 : 70 ー 71. ) とあるとおり、これが友の会の発展など、大阪市立自 然史博物館における市民と博物館との連携におけるべースになったこ とは言うまでもありません。 普及センターに座る学芸員は、そこで標本作製を含めさまざまな学 芸員の仕事をしています。その姿に「なにしてるの ? 」といった問い が生じたり、博物館の活動、あるいは学芸員という存在を知ってもら えたり、といったさまざまな効果があります。友の会の人が気軽に話 しかけ、学校団体や来館者への目配せが容易なこのポジションは、博 物館におけるサービスの総合窓口として、 2006 年からはミュージア ム・サービスセンターとして機能を拡充・整備しています。 しかし、興味をしつかり持った人、自分の意見を持った大人には、 学芸員に話しかけたり、質問することができても、子どもや、曖昧な 興味しか持っていない多くの来館者にとって、自分から積極的に学芸 員に働きかけることは困難です。彼らには「きっかけ」を作ってやる ことはできないでしようか ? 博物館では「観察会」や「講演会」が たくさん行われています。こうしたイベントがきっかけになることも 多いでしよう。でも、幼児を含む子どもたちに向けた、あるいは低年 齢の子どもと一緒に参加できる行事はあまりありませんでした。特に 博物館に来たこどもたちに対して行われる活動は、映画上映などくら いしかありませんでした。「すくらっちクイズ」、などは一定の成果を 得ましたが、それでも展示品の魅力とその奥にある自然の不思議を伝 えることはやはり難しい、といわざるを得ません。 私たちは、野外観察会と同様に、参加者に疑問や興味を持つきっか 2-4 次のサービスへ「子どもワークショップ」という語りの模索 75

10. 「自然史博物館」を変えていく

「自然史博物館」を変えていく 2009 年 6 月 24 日第 1 刷 編者 発行者 発行所 発行 大阪市自然史博物館・大阪自然史センター 大阪市自然史博物館 〒 546-0034 大阪市東住吉区長居公園ト 23 TEL 06-6697-6221 FAX 06-6697-6225 URL http://www.mus-nh.city.osaka.jp/ 特定非営利活動法人大阪自然史センター TEL 06-6697-6262 FAX 06-6697-6306 URL http://www.omnh.net/npo/ 高田信夫 高陵社書店 〒 101-0064 東京都千代田区猿楽町 2-8-10 TEL 03-3292-7408 FAX03-3292-7409 URL http: 〃 www.koryosha.co.jp/ 印刷・製本 / 三美印刷株式会社 @20 ( ) 9 Osaka Museum of Natural History and Osaka Natural History Center ISBN978-4-77 Ⅱ -0975-9 C3034 Printed ⅲ Japan