成長の過程によっても違いがある。 例えば , 図 3 ー 40 に諏訪湖のワカサギの食物関係を示した が , ワカサギは生涯動物フ。ランクトンを食べている。 0 年魚は 5 月頃はワムシ類 ( 主にツボワムシ ) を主とし , 6 月以降にな ると甲殻類 ( 主にゾウミジンコ , アサガオケンミジンコ ) のよ うな大型の動物プランクトンが大量に食われるようになる。べ ントスではユスリカ類 ( オオュスリカ , アカムシュスリカ ) が 食べられ , 1 年魚の食性も , 6 月以降の 0 年魚とほぼ同じであ フナは幼魚期から広食性をあらわし , 動物フ。ランクトン , 植 物プランクトン , べントス , さらに付着藻類 ( アオミドロ ) な どなんでも食べる。モッゴ , ホンモロコ , オイカワの食性はフ ナに似て広食性である。コイ , ヒガイはべントスを主食とする が動植物プランクトンもいくらか食べる。ビリンゴ , ヨシノボ リの食性は , べントスが主で , 動物プランクトンがこれに加わ 図 3 ー 41 霞ヶ浦 126 2 魚類
因には光や水温などがあり , 化学的要因には水素イオン濃度 (pH), 溶存酸素を始め , 生物の生きるために必要な化学物質 , 懸濁性有機物などそうとうな種類にのぼる。動物は餌として植 物や動物を食べているが , これら生物との食物関係や , 同じ餌 を求めて仲間や他の動物と競う関係 , また動物は子孫を継ぐに は雌と雄の関係がある。植物は光や栄養物質を求めて , 仲間と 張り合わなければならない。ようするに , 動植物は , 生きるに は多くの生物とのつながりを必要とするのであり , このような 生物的要因がある。 したがって環境といわれる要因は計り知れない数にのぼる が , その内のいくっかで間に合わせられるものではない。ここ では一般によく測定される要因について , できるだけ手近な器 具を用いる方法を主として述べる。これら要因を理解するため に , 主なものについて個々に述べていくが , すでに述べたよう に , 諸要因は常に関連しているので , 総合的なとらえ方をする ことを忘れてはならない。 トを第 雄蛇が池 ( 千葉県東金市にある人工堰止め湖 ) 図 2 ー 2 第 2 章生物の生息している環境と調べ方 29
2 ー 1 水生動物の分布 湖沼の沿岸をみると , ゆるやかな傾斜で水の動きのあまりな い水域にはたいてい水草群落がひろがるが , 急勾配なために砂 泥の積もりがないところや流入河川の河口域は , 絶えず土砂の 堆積が繰り返され , 水草の定着しにくい水域とがある。 諏訪湖は , かってはほとんどの沿岸水域が水草で覆われてい たが , 中でも水草群落の発達のよい湖南にあたる渋のエゴと , 東岸の水草の少ない水域で調べられた動物相とを比較してみよ 表 3 ー 4 諏訪湖・渋のエゴの底生動物個体数 / m2 ( % ) ( 渋のエゴ報告 1972 から引用 ) 0.77m 1.5 m 634 ( 87.0 ) 2 , 678 ( 72.8 ) 0 0 0 0 95 ( 13.0 ) 999 ( 27.2 ) 729 3 , 677 ( 5 月 ) 種類 深度 0. 50m ゴトウイトミミズ 713 ( 97.8 ) マミズイトミ ミス、 0 ェラミミズ 0 オオュスリカ 16 ( 2.2 ) 729 一三ロ ( 6 月 ) ゴトウイトミミズ 666 ( 56. 0 ) マミズイトミ ミス、 0 48 ( 4. の =- フくミス オオュスリカ 476 ( 40. の 1 , 190 269 ( 58.5 ) 48 ( 10.4 ) 111 ( 24.1) 32 ( 7.0 ) 460 79 ( 100.0 ) 0 0 0 79 = ニロ ( 7 月 ) ゴトウイトミ ミス、 365 ( 33. 3 ) マミズイトミ ミス、 127 ( 11 . 6 ) 127 ( 11.6 ) ユ - フミミス オオュスリカ 476 ( 43. 5 ) 1 , 095 1 , 141 ( 75. 8 ) 0 48 ( 3. 2 ) 317 ( 21.0 ) 1 , 506 444 ( 73.8 ) 0 0 158 ( 26.2 ) 602 ニニロ 2 2 水生動物
めて , リンの収支を算出すると , らの除去量が 106 トンとなる。 湖への供給は 131 トン , 湖か 以上 , エネルギー及び物質の移動を述べたが , 生産者による るものであり , 系の自立的パランスも望めなくなる。 好気的な消費者はもちろんのこと , 生産者も存在をあやうくす 分解者の好気的から嫌気的への変化を生むことになり , もはや にみられるように , 有機物排水の流量増加は , それにもとづく ーの増加につながらないので , 重要でない。近年の一部の湖沼 ず , また , 化学合成自栄養性バクテリアにしても潜在エネルギ 消費者は有機物を食べてちがった有機物に変形するにしかすぎ 生産者と分解者が重要な役割を持っことになる。それに対し , が分解によって無機化される。ようするに , これらの関係では らされた物質は , その系が恒常状態であればほぼ同じ量の物質 うに , 矢印の方向へと物質は動いている。生産者によってもた 始まって , 消費者や分解者の生物群の関係を図 4 ー 15 に見るよ 自らの物質代謝のためのエネルギーを太陽から得るところから 消費者 肉食動物 生産者 植食動物肉食動物 分解者 ザプロビ性 指標生物 トロフィー 指標物質 他の生態系 から入って くる物質 大型植物 光合成自栄養性 徹生物を食べ る徹小動物 徹生物を食べ る原生動物 ・腐栄養性 ・ : : 原生動物・藻 腐性 徹小動物 光合成自栄養性化学自栄養性也栄養性 . バクテリアバクテリアハクテリア・ トロフィー性 溶存無機栄養塩 溶存有機物・ : う有機残滓 : : ・ サプロヒ 図 4 ー 1 5 トロフィー性・ザプロど性をめぐる生産者 , 生態系か ら出てい く物質 消費者 , 分解者の関係 (Caspers U. Karbe, 1966 , 津田 1972 より引用 ) 268 5 湖沼生態系の物質循環
* 生物の生息している環境と調べ方 湖沼や池は地形的に凹地に水がたまったものであり , それら 水域ではいろいろな生物が生まれ , 育ち , 生活をおくったのち に , そこで死んでいく。植物は適度の光や水温を必要とし , ま た各種の栄養物質が成長に使われる。動物においても , 適度の 水温状態のなかで食物として植物や動物 , そして有機物を摂食 し生きている。ところが動植物の種類は , 水域によっても , そ の水域の中の場所によっても異なり , さらに季節によっても見 られるものは同じものとはかぎらないし , 年々においてもそう である。これは生物が生育し , 代々を受けつぐには , その生物 が直接ふれる環境からの働ぎかけが受け入れられなければなら ない ーロに環境といっても , 数多くの要因があって , 要因一 つ一つは生物の種それぞれによってすべてちがった受け入れが あるように , 非常に複雑な関係になることはいうまでもない。 これら生物に関係する要因を大まかにわけると , 物理的要因 ( 気候的要因 ) , 化学的要因と生物的要因とがある。物理的要 て 湖 訪 諏 図 28
1 ー 2 プランクトンの種類と見分け方 プランクトンは , 陸上の生物とちがって , 動植物に分けるこ とがむずかしいものが多い。しかし , 基本的には , 生態学の分 野では , 植物にあたいするものは , 葉緑素などの色素をもち , 光合成を行うことのできる生物 , いわゆる自栄養生物がこれに あたる。動物は , 植物や生物の遺体からなる有機物を食べる生 物 , 他栄養生物をいう。両方の性質をそなえた , 例えばべン毛 藻類などは , 植物の仲間に入れて扱っている。プランクトンを 顕徴鏡で観察してみると , 中でも植物プランクトンの形は小さ いが , 種類 , 数 , 共に多くみられるのに比べ , 動物プランクト ンは植物よりも大型であるが , 種類もずっと少なく , 数も少な いことがわかる。 プランクトンの分類は , 専門的に取り扱う者も困難を極める 場合が多く , こでこれを取り扱うにしては不可能に近いの で , 大まかな種類の見分け方について述べる。また , 種類は比 較的よく出現するものを , 写真と図で説明するが , 図は体内の 構造はほとんどのぞいて , 形態的な特徴のみしかあらわしてい ないので , 留意してほしい。分類的特徴は , 水野寿彦著の日本 淡水プランクトン図鑑 ( 保育社 ) にほぼ準じてあらわした。べ ン毛藻類は原生動物門・有色鞭毛虫綱に等しいが , 植物の種類 に入れてある。最近改名された種類名はカッコの中に ( 新・何 何 ) と記した。 また , 津田 ( 1972 ) は , トロフィー性とザプロビ性と関連づ けることを提唱している。これは , トロフィー性とは有機物の 一次生産の強度であり , ザプロビ性とは死んだ有機物の分解の 強度 , と定義されている。これまでは , トロフィー性は , 人為 的影響のない自然状態下の陸水に使われ , ザプロビ性は , 人類 による水域の汚染を頭に使われているが , 上記の定義から考え れば , どんな水域にもトロフィー性とザプロビ性は存在してい 62 1 フ。ランクトン
ドジョウ ( ドジョウ科 ) 池沼をはじめ , 小溝や排水路など停滞水域を好むが , きれい な小川などにも生育する。食性は水生昆虫や小動物 , 有機質の ものである。 1 ~ 2 年で成熟し , 5 ~ 8 月が産卵期にあたり , 浅い小溝や水田の水の動きのある水草に産卵をする。成体は 8 —13cm で時にはそれ以上にもなり , 6 は 9 よりやや小形 , ロ ひげはロの上側に 3 対 , 下側に 2 対ある。水呼吸のほかに空気 呼吸 ( 腸内でガス交換 ) もできる。食用に利用される。 タウナギ ( タウナギ科 ) 水田や池 , 溝など水の停滞する泥の中にもぐりこんで生息し ており , 肉食性で魚を食べる。産卵期は夏の初め頃である。体 長は 30 ~ 40cm またはそれ以上に達し , 体色は濃い黄褐色をす る。ドジョウと同じように , 腸呼吸をする。食用になり , 特に 夏がおいしいといわれている。 ウナギ ( ウナギ科 ) 河川 , 湖沼 , 水田などの水域に生育し , 温水を好む。日中は 泥の中や石の間にかくれているが , 夜間に活動をし , 小魚をは じめ , 水生昆虫 , 甲穀類などあらゆる動物性のものを食べる。 夏から秋にかけて海に下り , 産卵をするが , その場所はまだ明 らかになっていない。この頃体長は 40 ~ 90C m で 6 よりもが やや大きい。 6cm 位の透明に近いシラスウナギは , 秋には河口附近にあ らわれるが , 翌早春になって河川の水温が 10 。 c 以上になって 溯上し始める。このシラスウナギを捕獲して , 各地で養殖が行 われる。食用として , 古くからかばやきなどで有名である。 第 3 章生物の観察とその調べ方
て食物関係によって結びついていると見ることができる。これ を模式的に示すと図 4 ー 3 のようになる。すなわち , 物質は生 態系内において循環運動をするが , エネルギーは呼吸などによ る熱ェルネギーで放散していく。 この食う食われるの関係の積み重ねを食物連鎖 ( 食物環 ) と いう。諏訪湖における食物環を示せば図 4 ー 4 のようである。 大型捕食動物 鳥類 , カメ類 第三次消費者 = = = = つ ( 肉食動物 ) 動物プランクトン捕食動物底生捕食動物 ワカサギ , フナ , コイ , 各種魚類の稚魚 , 幼魚ナマズ , ウナギ 第ニ次消費者 ( 肉食動物 ) 動物プランクトン 植物残渣を食べる ケンミンンコペンンユ 底生動物 第一次消費者 : : ) ュスリカ幼虫 , イト ソウミシンコ , ワムシ ( 植食動物 ) 草食性魚類 ウグイ , ドジョウ , タナ ワニナ , カラスガイ , ゴ , モッゴ , アユ , コイフナ フナ , コイ , ドジョウ 草食動物 ソウキョ , フナ , コイ , スジェビ , オイカワ 植物残渣 ンガ會 ク ン乃メナ ヒべ ラ 。フ・門ハア 物サソ 植々′ケ . イ - フ々 : ア ) ン′刀ス ロナキ メフロ , モ ビサモ 物エサウ 生モモシ 水サビキ 型フェセ 大ノノ ザロロ ホヒク 図 4 ー 4 諏訪湖の食物環の質的模式図 ( クテリアを除く ) 第 4 章湖沼の生態系 2
動物は植物を食べるか , 他の動物を食べるかによって生活 し , 自分自身では無機物から有機物を合成することができな い。それゆえに消費者と呼ばれる。消費者のうちで , 直接的に 生産者をたべる植食性動物を一次消費者 , 一次消費者を食べる 肉食性動物を二次消費者といい , さらに二次消費者を食うもの を三次消費者とわける。湖では , 動物プランクトン , べントス ( 底生動物 ) , 植食性の魚類が一次消費者で , 動物フ。ランクト ン食およびべントス食の魚類 , 魚食性の魚が二次消費者 , 魚を 食う水鳥類は三次消費者である。 さて , これら植物にせよ動物にせよ次々に死んでいくが , 枯 死体あるいは死がいの死んだ原形質の複雑な化合物を分解し て , 緑色植物 ( 生産者 ) が利用できるように無機化してしまう のが細菌 ( バクテリア ) と菌類 ( カビ ) であり , これらは分解 者と呼ばれる。そして生産者 , 消費者および分解者は生物群集 を構成している。 以上のように生態系のなかで , 生物は食うものと食われるも のの関係にある。つまり生物群集の各々の構成成分は , 主とし 太陽エネルギー→生産 = : , 消費者 図 4 ー 3 2 ) 2 炭酸ガス・水・一 動物プランクトン・ 極物プランクトン・ 栄養塩類 べントス・魚類 大型水生極物 1 湖沼生態系の構造 ( →物質の運動方向 , エネルギーの運動方向 ) 湖沼生態系における物質とエネルギーの運動 分解者
2 動物群集の分布と構造の解析の仕方 生物の出現は光や温度 , 栄養条件 , 生物相互の食物関係など に左右されるが , これら要因の効果は後の生物の出現に重大な 影響を及ぼすことになり , したがって生物の遷移が展開されて いくのである。その時々の生物の分布は遷移の上の生活の一端 を表しており , したがって , 時間の経過に伴う分布構造の変化 と環境要因との関連を調べることは , 生物の生態的特徴をつか むいとぐちとなる。 動物群集のとらえ方については加藤 ( 1953 ) の陸上の動物群集 について詳しいところであるが , この母集団の推定の仕方は陸 水生物にもあてはめることができる。また群集の類似度指数を 利用した群集分析法 , 相関図法による分布の解析を木元 ( 1976 ) にしたがって述べる。 * 母集団の推定 沿岸動物や底生動物の定量採集にはすでに方形区の大きさや 表 3 ー 7 諏訪湖の底生動物の深度別分布 ( 渋のエゴから湖心にかけて ( 6 月 ) ) 深度 (m) 0.77 種類数 ゴトウイトミミズ マミズイ ミズ トミ ス。 工・ラ オオュスリカ アカムシュスリカ 全個体数 (n/m2) 全種類数 理論的出現平均個体数 ( % ) 2 イ。 2 動物群集の分布と構造の解析の仕方 58.5 土 3.77 10.4 土 2.33 24. 1 土 3.27 7.0 土 1.95 56.0 土 2.36 0 4.0 土 0.93 40.0 土 2.33 0 1190 3 33.3 0 460 4 25.0