普及活動 - みる会図書館


検索対象: 日本の自然史博物館
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1. 日本の自然史博物館

156 第 3 章博物館の基本と機能 これらの行事のうちで体験型のものは人気がある . 自然史博物館の場合 , 「もの」はもともと野外にあったものだから , 野外の行事は大きい意味をもっ ているし , 効果も大きい . さらに進んで参加型の行事 ( たとえば野尻湖の発掘 , 分野は異なるが名古屋市見晴台考古資料館の発掘など ) はもっとインパクトが 強い . 条件がうまくつくれるかという問題はあろうが , 興味深い行事である . 国立科博や横須賀市自然博のように , 自然教育園をもった博物館での普及・ 教育活動はかなりレベルが高い . その場を恒久的に保持し , プログラムを決め て行事ができるからである . これらは参加者も多く , 効果が上がるだろう . ( 2 ) 特別展 これも多くの館で行われている . 開催は年に 1 回から数回といったところだ ろう . 特別展は博物館の主要な行事として企画・実行される . その内容はさま ざまである . 新聞社やイベント会社の企画によるもの , 外部から丸抱えで借り るもの , 自主企画のもの , 館蔵品を主として構成するものなどである . 本来 , 特別展は学芸員が企画し , 館の収集品を中心に行うものである . テー マは館のそれと一致するか , 関連したものでなければならない . 栃木県博のよ うに , 調査した結果を特別展として開示できればもっともよい . さらに , 特別 展の資料 ( もの・情報 ) が将来において常設展示に繰り入れられることになれば , より効果的である . 一般に , 特別展の中には博覧会と同質のものがある . 材料がない , あるいは 不足しているために , 駆け回って借りなければならない . よそのものだから細 心の注意を払って扱い , 終わって返却してほっとするということになる . 内容 がよければ人が集まり , 大成功ということになる . 学芸員は面目を施し , 評価 が上がる . しかし , 後になにが残るのだろうか . 1 冊の図録だけである . まさ に一過性の博覧会の一種なのである . たしかに多くの人を楽しませ , 知識を得てもらったという効果は大きい . 教 育・普及活動としての意味はあったと思われる . ただ , もう一歩進んで博物館 の他の活動と関連づけて考えたいのである . 調査・収集→研究→教育・普及 ( 特別展 ) →保存・展示というプロセスの中に位置づけたいものである . そうで ないと , そのために多くの労力を使っても , 図録は残るが「もの」はなにも残 らないということになる . 他の博物館活動への波及効果が少なくなり , 博物館

2. 日本の自然史博物館

3.3 博物館の機能 155 主↑活動の現状↓従 集存究 面収保研 研 教育面 展示 育及 教普 図 3.8 普及行事 ( 豊橋市自然史博物館 ) 社会活動 ( 自然保護 ) 基礎面 応用面 主←活動の現状→従 図 3.7 博物館機能の 2 つの側面 ( 糸魚 , 1990 ) 博物館と教育・普及 博物館における教育・普及活動は , その館のテーマとすることがらについて 興味をもってもらうこと , 理解を深めてもらうことを目的としている . 館の PR の側面も含まれる . 展示もある意味ではこの中に含まれ , 博物館の機能は 収集・保存ー研究の研究中心の側面と , 展示ー教育・普及の教育中心の側面とに 区別される ( 図 3.7 ) . 実際の博物館活動をみると , 教育の側面のウェイトは大 きく , 館によっては 80 ー 90 % 以上というところもある . 生涯学習が唱えられる 中で , 子どもから大人まで博物館で学ぶ機会は多い . いわゆる社会教育の重要 な部分を担っており , 学校教育にも寄与しているといえる . 実状はどうであろうか . 前にあげた博物館についてみると , その活動は大き く壅 , 特別展 , 出版物 , 友の会活動の 4 つに整理することができる . ( 1 ) 行事 ほとんどのすべての館でなんらかの行事が行われている . 多いほうからあげ ると , 講座あるいは教室 , 観察会・採集会 , 講演会 , 映画会である ( 図 3.8 ). 内容はさまざまで , レベル , 回数 , 参加人数なども館によって異なる . 一般に 継続して行われて , 定期的になっている場合が多い . また , 記念行事としてな にかをきっかけに単発で行われることもある .

3. 日本の自然史博物館

140 第 3 章博物館の基本と機能 「もの」のバランスがとれていたということだろうか . 豊橋市自然史博は完成して日が浅いにもかかわらず増設計画がつくられ , す でに増設が始まっている . 弱点を補うことから始められ , 最終的には倍増する 計画である . その積極さは評価されるが , 全体の調和 , 既存の展示との調和を 考えて進行する必要があろう . とくに , 収蔵 ( 標本・図書など ) , 研究 , 普及な どについての配慮が望まれる . 3.3 博物館の機能 博物館の 3 つの基本的要素を柱として , 博物館は活動する . その機能は「も の」を集め整理・保存する「収集・保存」 , その「もの」の属性を調べる「調 査・研究」 , 一般に公開して見せる「展示」 , 「もの」についての理解をさらに 深めるために , 博物館にかかわる「人びと」に参加してもらって行う「普及・ 教育」の 4 つである . どれもが博物館にとって重要な機能であり , どれかが欠 けてもいけないし , どれかが弱くてもまずい . 「人」が場としての「建物」を 中心にして行うことになるが , これら博物館の機能は内容がさまざまで , 対応 もいろいろである . 実際にどのように機能しているか , 各館の状況をはかって みることにしよう . 収集・保存の意味 博物館が「もの」を必要としている以上 , それを集めることが求められる . 博物館の活動の原点としての「収集」があることになる . 対象が違い , 個人に よる異なる時代の収集なので , 多少のずれはあるが , すぐれた収集論として柳 宗悦 ( 1889-1961 ) の考えを紹介したい . 「蒐集について」 ( 1932 ) であるが , 現在 では「蒐集物語」 ( 1989 ) として公刊されている . 柳は日常雑器の中に美を見つ け , 民芸 ( 運動 , 品 ) という言葉をつくった . その収集品は日本はもとより , 東 洋 , 世界に及び , 質・量ともすぐれ , 日本民芸館のできるきっかけとなり , さ らに波及して各地に同様な民芸館を生んでいる . 収集には 2 つの主要な問題があるとする . 1 つはもち方 ( 所有 ) の問題であり , 他の 1 つは選び方 ( 集める ) の問題である .

4. 日本の自然史博物館

2.3 自然史系博物館 47 ( 2 ) 研究と展示 ( 3 ) 特別展 果がもっと展示 , 普及活動に反映されるべきではないかと思われる . 両部門が別な場所にあることは障害とならないだろうか . 館の研究活動の結 東北地方の代表ともいうべき , 古い歴史をもった自然史博物館である . 博物 そのうち展示室約 2200m2 である . 年間入館者数は 2 万人に少し足りない . に復興・再開し , 1976 年より現在地において再開館した . 延床面積約 4000m2 , に親しまれてきたが , 戦災によって焼失し , 多くの資料が失われた . 1951 年 いつも引用されているからである . 歴史は古く 1933 年に博物館ができ , 平・畑井小虎両博士をはじめ , 多くの研究者の貝類などの論文が載っていて , というのは , 1930 年代に続けて刊行されたこの館の研究報告には , 野村七 古生物の研究者にとって , 斎藤報恩会博物館の名はなじみの深いものである . 宮城県仙台市本町 斎藤報恩会自然史博物館 ( 5 ) 研究 ミュージアムショップ る . だけでなく , 研究の面でもリーダーシップをとるようになってほしいものであ この博物館は自然史研究のセンターの 1 つになるべき立場にある . 博物館活動 自然史部門の研究が大学において必ずしもよい立場にないことを考慮すると , 力の国立博物館に学ぶとよいだろう . い . もっと館独自のものを開拓し , 置かれるとよい . その点についてはアメリ いて , 活気がある . 地方にいる者にとって , 出版物を見て買えるのはありがた 地階にある売店はいろいろなものがあっておもしろい . いつも人があふれて 歴史のある館ではそうである . 評価するのは誤りである . とくに国立科学博物館のように基盤のしつかりした だろうか . 入館者数がどこの博物館でも問題にされるが , これのみで博物館を のも見学者が増えるという点で効果はあろうが , 少々枠からはずれてはいない 最近の特別展のいくっかは騒々しすぎないだろうか . 動く恐竜を取り上げる

5. 日本の自然史博物館

97 2.6 私立博物館 図 2.48 名和昆虫博物館 ばうとする年月にわたって , 館長は世襲であり , 現在は 4 代目である . 世襲の こではそれがキャラクターとな 是非については議論があるところだろうが , ってよい効果を出している . 現館長名和秀雄氏の講演やマスコミでの各種の活 躍ぶりを見れば理解されるだろう . 館長が信念として「教育の根本は自然にあ る」 , モットーとして「花のように美しく , 雑草のように強く」をかかげられ ているのも , 代々のうちにつくりあげられたものであろう . 膨大なコレクションができあがったのも継続して行われた収集・研究の結果 であり , 短い時間のうちにつくれるものではない . 私的に始められた館が , 時 代を経て公的なものに変わり , 自然史系博物館の金字塔の 1 っとなっているの である . 他の 1 つはその普及活動である . 項目としてあげればまず移動博物館がある . 学校 , 公民館 , デパート , 銀行などに標本を貸し出し展示するのである . 人の 多く集まる場所であるから効果は大きい . 友の会 ( 会員 500 名 ) の活動は普及活 動の中心の 1 つである . 野外観察会 , 標本作製指導 , 採集会など多様な行事が あり , 小中学生の参加が多い . 年間の行事予定は 11 回ある . いくつかのおも な行事を紹介すると , 夏季合宿は子どもばかり集めた 2 泊 3 日の観察会である . 会の目的と安全性を考えて , 規律をきびしく設けての実行であるが , かえって 効果が上がり , 「楽しかった」という感想が多いという . キャンプファイアー などの楽しみもあったのだろう . 秋神温泉自然観察の旅は友の会活動のハイライトである . 大野郡朝日村の秋 神温泉への 2 泊 3 日の自然観察旅行である . このようにいろいろ苦心された催 らしい安をいつばい を , の第・冽

6. 日本の自然史博物館

2.4 県立博物館 75 図 2.36 栃木県立博物館のジオラマ 果が公表された . また , 移動展として県内の各地でも公開された . この成果は 研究報告書としてまとめられている . さらに今後 , 常設展示への組み込みが考 えられている . このプロセスは , 博物館の基本的な活動のあり方として重要で あり , すぐれたこととして評価される . この館の資料収集はほとんどゼロから出発している . そのため資料調査員制 度 ( 人数は 20 ー 25 名 ) がつくられ , 主として県内のアマチュアを選び , 展示資料 を収集した . この制度は 1986 年まで継続した . 資料購入に関しては積極的で ある . 年間 6300 万円 ( 自然系 1800 万円 , 人文系 4500 万円 ) は県立博物館とし てかなり大きい数字である . 年間行事数は , 館内で行われるものが 13 , 館外のものが 15 であり ( 1989 年 度 ) , 多様な内容をもっている . 青島 ( 1991 ) は問題点として , ( 1 ) 収蔵スペースの不足 , ( 2 ) 展示替えがしにく ( 3 ) 研究施設の貧弱さ , ④専門職 ( 学芸員など ) の割合が少ない , ( 5 ) 調査 活動についての理解不足 , ( 6 ) 普及活動の多様性に対する対応が不十分などを あげている . 一般的に , 日本の大部分の博物館に共通する点である . 比較的よ い条件にあるといわれるこの館であるが , 基本的には同様な問題が存在してい るともいえる . 開館して 10 年も近いということで , 展示替えの計画があると聞いている . 収集・調査の成果 , これまでの活動の中で得られた情報を十分に取り入れて新 しい展示とされることが期待される . それによって館全体の活動もまた , 新し い段階に入ってゆくものと思われる .

7. 日本の自然史博物館

自然史系博物館のすがた 第 2 章 とハード ( 設備 ) の両面での手直しが行われた ということである . 最後に普及活動についてふれておく . 活動 は自然観察会 , 室内実習 , 講座 , 映画会 , 標 本同定会 , 講演会と多彩である . 特別展は年 1 回であるが , 解説書 ( 図 2.14 ) がつくられ , 普及講演会が行われている . そのテーマは各 分野にわたる . この館では学芸員とのコンタクトがスムー ズにできる . 受付で質問すれば , 担当の学芸 員によって答が出てくる . きわめて自然に行 われているが , 他ではあまり見ないことであ る . 図 2.14 大阪市立自然史博物館の特別 友の会は会員約 1600 名である . 会員は月 展解説書 刊普及誌「ネイチャースタディ」を受け取り , 友の会主催の行事に参加できる . 行事は年 4 ー 6 回 , 月 1 回のハイキングもある . こうして見てくると , この館は自然史博物館のモデルの 1 つであろう . とく に大都市ー県クラスの大規模館として目立っ存在である . 大町山岳博物館 長野県大町市神楽町 1951 年に開館し , その後 1957 年に現在地に移転 , 1982 年新館が完成した . 北アルプスの麓の街 , 大町にふさわしい博物館である . ヨーロッパなどのアル パイン博物館に相当する . 2 階建 2 室の展示室の他 , 動物飼育 , 植物栽培の付 属園がある . 戦後の混乱がまだ十分に治まっていない 1950 年代の初め , 公民館の青年部 に集まっていた若者が中心となって博物館づくりがスタートした . 多くの市民 の協力を得て博物館が実現した . 博物館を育て充実させてゆくことは引き続い て行われ , 2 度 , 3 度の改装・新装に表われているとおりである . 大町市の顔 ともいえる館だろう . 38 第川回特別展 「日本のヘビとカエル大集合」 解説書 日本の両生類と爬虫類 1 9 8 9 大阪市立自然史物館

8. 日本の自然史博物館

90 第 2 章自然史系博物館のすがた れ努力をされていて , 新しい面を切り開いてはいるが , ややもの足りない . ま た時期的に見て , 当然展示替えが構想されたが , 順送りにされている . この館は港の地域に , 関連するいくつかの館をもっている . 南極観測船「ふ じ」がすぐ隣にあり , より多くの人を集めている . 1992 年 10 月には水族館も オープンした . また 360m2 の貿易展示室もできている . 港にはロマンがある といわれているが , 名古屋港は工業港でそのイメージが薄かった . 最近では変 わってきて , 楽しい場所としての港となってきている . そこでの学びと遊びの 合体した場として博物館の意義は大きい . ぜひ他の館と協力して , 有効な学習 十娯楽の場としてほしい . この館のこれからの問題点をあげておく . ( 1 ) 普及中心でよいが , 他の側面 , 収集 , 調査・研究などの活動も加える ( 2 ) 展示替えを近い将来に実施すること . ( 3 ) 有志の人によって友の会がつくられているが , 館との関係が薄い . め ずらしい例である . 館と友の会の一体の活動をすること . ④港の発展から始まって , 地域の活性化まで考えた活動がほしい . ( 5 ) 専門職を加えること . 半田市立博物館 愛知県半田市桐ヶ丘 1972 年以来旧図書館跡にあった郷土資料館を新装して , 1984 年 10 月に開館 した登録博物館である . 図書館と併設されていて , 入場無料である . 延面積は 約 1900m2 で , 展示室は特別展示室も含めて約 930m2 である . 職員は館長以 下 12 名 , そのうち学芸関係は 6 名である . 年間入館者は約 15 万人 , 7 月と 8 月が多く , 1 , 2 月を除いて毎月 1 万人をこす . 展示は 3 つに分かれる . 第 1 展示室は「知多半島の自然と歴史」である ( 図 2.44 ). このテーマを十分に見 せるにはいささか狭い . とくに自然の部分はいかにいろいろ盛り込もうかとい う努力のあとが見られるが , もの足りない . 実物を使った地質断面 , 自然を見 せるジオラマ , ビデオなどで構成されている . 自然史とは関係ないが , 圧巻は第 2 展示室で , 市内の現存する山車 31 台を

9. 日本の自然史博物館

181 - 朝外当第 4.5 博物館ができるまで を・物・物 図 4.6 展示の新旧 . 左 : 旧 , 右 : 新 ( 瑞浪市化石博物館 ) . ステップの改善をにらんでの適当な選択が必要であろう . ソフト面である展示内容の改善は , もっとも重要なことの 1 つである . 展示 のやり方が多少古くても , 内容が新しければ人は興味をもつはずである . いつ もびかびか光って , 新しくきれいである必要はないし , またできない . 内容に ついての最新のデータを探し出して使用すればよい . 館の活動の成果であれば ベストである . 「もの」 , および「もの」についての解説のいずれにもそのよう なことがある . いつほうにおいて , つねに自然史学の基本をおろそかにせず , きっちりつめておく必要があるのはいうまでもないことである . 講堂のような普及活動の場の手直しもある . 映像や音声の設備を更新するこ とは , それが変わったことでその活動の内容を変えることになる . 実習室など の機器の改良も行われることになろう . 研究の面でも新しい機器の導入がなけ ればならない . 科学の進歩は速いのである . 館の研究に合った形のものが求め られる . 建物とその中味だけでなく , それを取り巻く環境のことも考えたい . 立地条 件からみて物理的に無理ということが多いと思われるが , できればまわりの環 境の整備をはかりたい . 植物が育ち , 花が咲き , 水が流れ , 小鳥がさえずると いうと絵に描いたような話になるが , 恵まれた自然の中に自然史博物館があり , 博物館を楽しむだけでなくそのまわりで自然を楽しむことができるとしたら ,

10. 日本の自然史博物館

3.3 博物館の機能 芸員の資質の向上が可能となる . 147 他の研究活動として , シンポジウムを開くこと , 学会に会場を提供すること などがある . 前者では , 千葉中央博 , 瑞浪市化石博の例があるが , 瑞浪市化石 博の第 3 回シンポジウムのまとめは同館の専報 7 号として出版され , 研究行事 と出版の 2 つの面で効果を生んでいる . 日本古生物学会はこの数年間 , 年 2 回の会合のうち例会を博物館で開催する ようになった . 博物館を自然史研究発表の 1 つの足場とし , また博物館自身も それによって活性化することをねらいとしたものである . 1991 年 6 月の第 140 回例会は千葉中央博で開催され , シンポジウムのテーマは「新しい自然史学と 博物館」であった . 学芸員以外の参加もあり , 盛会であった . 現実の問題として , 日本の自然史博物館において研究の占める位置は , 他の 活動と比べて十分に行われていないし , 全体としてのレベルもまだこれからで ある . 小さい館 , 学芸員の少ない , あるいはいない館では行われていないこと が多い . 研究についての理解が十分でないことも影響している . これからの博物館における研究は , 博物館の特性に合わせ , それぞれのレベ ルに応じた形で進められることが望まれる . やり方によっては , できないと考 えている館でも可能なのである . 将来の方向として , 「もの」を材料とした研 究 , 「地域」を主題とした研究があり , それらは広がっていって , 地球的規模 にまで及ぶ可能性がある . 地域の中心として独自性をもっ研究から , 国際的視 野に立った一般性の高い研究まで , さまざまなスタイルで行うことが可能であ る . ハードとソフト 展小言 展示ということは , あるものを「ある目的をもって人に見せる」ことである . 展示は博物館における主要な機能であり , 他の同類の機関と異なる特性である といえる . 博物館の展示では「もの」を材料として , そのものの価値 ( 美しい , めずらしいなど ) を示すこと , そのものを理解させるために説明することを行 う . まれな , あるいはめずらしい化石・動物の剥製などは前者にあたるが , 自 然史博物館の場合には後者が主要な対象となる . 「もの」は収集・保存 , 調 査・研究の結果として生まれ , 理解させることは教育・普及へとつながってゆ