滋賀県立琵琶湖博物館 - みる会図書館


検索対象: 新しい自然史博物館
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1. 新しい自然史博物館

206 第 6 章自然史博物館の改革 英自然史博物館 ). ドイツは A 類 , B 類が混交している . アメリカの大博物 館は B 類が中心で , C 類ができ始めた . 展示替え後のデンバー自然史博物 館の「恐竜」がどうであるか , 興味のあるところである . 博物館途上国では ほとんどが A 類である . 日本をはじめ , 各国の状況を図 6.15 にまとめてみ た . なお , フランスの科学館にみられる 3 世代 ( 第 3 章参照 ) はほば A, B, C 類に対応するが , I がⅡに ⅡがⅢに内包されるかどうかについては , 否定的な面もみられる . また , この系統分類は他の種類の館へも応用でき , 拡張できる場合がある . 国立民族学博物館は「もの」中心の展示で , いつけ んして A 類 -B 類であるが , ビデオテークも含めて考えれば , C 類のレベル に近い . 展示構成もうまくダイナミックで , 楽しい表現が各所にみられる . 展示の類別 国 日 本 ョ ロ ッ メ カ 館名 神宮農業館 網走市郷土博物館 美祢市化石館 上士幌町ひがし大雪博物館 青海町自然史博物館 前沢町立牛の博物館 群馬県立自然史博物館 豊橋市自然史博物館 滋賀県立琵琶湖博物館 滋賀県立琵琶湖博物館 (C 展示室 ) 大英自然史博物館 ゾルンホーフェン博物館・ホルツマ ゼンケンベルグ研究所博物館 パリ国立自然史博物館 ( 古生物 ) ルーアン自然史博物館 ディジョン自然史博物館 パリ国立自然史博物館 ( 進化 ) 国立技術博物館 発見宮 ラ・ビレット科学産業都市 国立自然史博物館 ( スミソニアン ) アメリカ自然史博物館 デンバー自然史博物館 ーデン博物館 カリフォルニア科学アカデミー博物館 図 6 コ 5 各国の自然史博物館の展示の類別

2. 新しい自然史博物館

208 第 6 章自然史博物館の改革 [ 両極性 ( 双方向性 ) をもっこと ] 立場 : みる一みせる ( 来館者と博物館 ) , 姿勢 : 学ぶー遊ぶ ( 来館者と博物館と両方にある ) , テーマの中心 : 地域ー 地球 , 中心となる考え : 一般性 - 特殊性 , など . 多様性の時代に多様なニ ーズに応えるために必要な対応である . [ 収斂と放散 ] 現代はアイテムが広がる方向にある . それは必要なことだ が , 同時に収斂させなければならない . そのバランスをどうとるか , 博物 館のかたちを決める重要な要素である . [ 包括的であること ] これまで , 博物館の性格を決めることとしていろい ろないい方がされてきた . 「総合 synthesized 」「統合 integrated 」「複合 composite または composed 」などである . わかりやすいことばでいえば , 「全体の total, whole 」などもあるが , 新しく「包括的 comprehensive 」 を提案したい . 「広く , 包括的で , わかりやすい」というのが言葉の意味 である . 近い言葉では , 「集約的な intensive 」がある . とっかかりはパリの国立自然史博物館や滋賀県立琵琶湖博物館である . 反 面教師的側面をもっ館として , 新横浜ラーメン博物館や養老天命反転地があ る . 瑞浪市化石博物館の新計画はこれに近いところにあったが消えた . ェコ ミュージアムはちがったかたちをとりながら , 同じ方向へ進むだろう . 異なる機能をもっ機関だが , 図書館は多少先行している . 司書の位置づけ は学芸員よりたしかである . 滋賀県立図書館 , そしてそれと歩調をそろえる 市町村の図書館のあり方は , 新しいパラダイムーーー「貸し出しを基本とする 姿勢」一一によるものである ( 古賀 , 1998 ). これはさらに , 館長に司書経験 者を公募で決めるというやり方に及び , 文化活動に広がり , 「町おこし」に まで影響しているという . 博物館に求められているものもこれと共通のこと これからの博物館の方向はつぎのようにとらえられる . である . ( 3 ) 楽しい・遊べる一一参加体験型の博物館となること . ( 2 ) 市民のための博物館をつくること . ( 1 ) 博物館の地位を確立すること . ( 6 ) c 類の「包括ー思考」型の館をめざすこと . ( 5 ) 子芸員の意識改革を行うこと . ( 4 ) 博物館の意識改革を行うこと .

3. 新しい自然史博物館

新しい博物館をめざして 神奈川県立生命の星・地球博物館 1995 ( 1967 ) 自然史 41945 19064 4641 1433 804 422168 大型映像 ( ハイビジョン ) , , 、竜 , 大型獣 , 先カンプリア時 6 . 2 滋賀県立琵琶湖博物館 500 あり 26 197200 環境問題 , 淡水水族館 , 5790 23987 42434 1996 屋外施設 10.4 ( 草津 ) 128.3 「湖と人間」 , 新しい視点 研究充実 , 学芸員が多い , 大津市より船便 ( 中位 ) JR 草津駅よりバス 20 分 787.6 45 . 6 219 ( 1997 ) 972890 / 67 代 31 ( 会社 ) 500 377187 ( 1997 ) 235 37 . 0 804.0 ( 10045 ) JR 小田原駅より箱根登山鉄道 で 8 分 国道 1 号線近く ( 中位 ) 県博が 2 つに分離 「世界と地域」 活動的 817.2 20 ( 小田原 ) 兵庫県立人と自然の博物館 ( よくない ) 内 , 博覧会跡地 神戸市より約 1 時間 , 三田市 402 . 3 15.3 ( 1997 ) 99715 200 32 ( 会社 ) 21 ( 3000 ) 環境問題 33 481009 2051 2951 4049 7029 24940 自然史 1992 9 . 6 ( 三田 ) 542 . 2 「人と自然」 研究強化 旧施設利用 , 県立大と共同して 館が生まれた . そのなかには , 自然と人とのかかわりに重点をおいて , 他分 星・地球博物館 , 滋賀県立琵琶湖博物館 , 群馬県立自然史博物館となり , 自然の博物館 , ミュージアムパーク茨城県自然博物館 , 神奈川県立生命の 野も含んでいるものもある . 設立順に , 千葉県立中央博物館 , 兵庫県立人と

4. 新しい自然史博物館

1.2 最近の博物館事情厚 面積 33515m2 , 工費 415 億円という最大値はバブル経済の最高期の名残り とはいえ驚きである . 1996 年度の最大値 ( 自然史 ) は滋賀県立琵琶湖博物館 を自然史博物館として扱ったものである . 1995 年度の延床面積・総工費の 最大値・平均値の数字は生物館・園の延床面積を除いて減少しており , 沈静 化が始まったことを示している . 1996 ・ 1997 年度ではばらっきがめだっ . 最小値において面積・工費とも小さい例があるのはミニ博物館の増加による ものかもしれない . 新設館数について , 地域別の数字は示さなかったが , 中部 , 関東における 増加がきわだっている . 近畿地方では , 1993 ・ 1994 年度において多く 1995 年度に減少したが , 1996 ・ 1997 年度に元へ戻った . 九州・沖縄において , 1996 年度に増加の傾向がみられたが , 1997 年度に減少した . 東北・中国に おいてこの 2 年ほど減少傾向にある . 都道府県別にみると , 長野県が 1995 年度から 1997 年度まで 3 年連続で 1 位である . 自然史系新設館の特徴 最近の自然史 , 自然史分野を含む , そして関連のある博物館の新設はめだ つものがある . いくつかの特徴をとらえてみたい . ( 1 ) 大型の自然史館 , あるいは「人と自然」一一環境問題に 1 つの主題が ある - ーーをテーマにした館がいくっかっくられた . 千葉県立中央博物館 ミュージアムパーク茨城県自 ( 1989 ) , 兵庫県立人と自然の博物館 ( 1992 ) , 然博物館 ( 1994 ) , 神奈川県立生命の星・地球博物館 ( 1994 ) , 愛媛県総合科 学博物館 ( 1994 ) , 群馬県立自然史博物館 ( 1996 ) , 滋賀県立琵琶湖博物館 ( 1996 ) などである . 名前に多様性があるように , 館の性格もさまざまであ る . 後でくわしくみることにしよう ( 第 6 章参照 ). ( 2 ) 単科の自然史系博物館はいろいろな分野で多くっくられている . おも なものを年度順にあげると , つぎのようである . 1993 年度大鹿村中央構造線博物館・信州新町化石博物館 ( 長野県 ) , 貝塚市立自然遊学館・生命誌研究館 ( 大阪府 ). 1994 年度糸魚川市フォッサマグナミュージアム ( 新潟県 ) . 1995 年度前沢町立牛の博物館 ( 岩手県 ) , 東北大学理学部自然史標本 館 ( 宮城県 ) , きしわだ自然資料館 ( 大阪府 ) , 美祢市化石館

5. 新しい自然史博物館

博物館名索引 ア行 アイアンプリッジーゴージ博物館 朝日町工コミュージアム凵 7 足寄動物化石博物館既ロ 8 コ引 我孫子市鳥の博物館 4 , 42 コ新 アメリカ自然史博物館Ⅱ 8 , に 2 一宮市博物館 76 95 , 凵 5 糸魚川市フォッサマグナミュージアム 68 , ロ 6 西表野生生物保護センター 魚津市立特別天然記念物埋没林博物館 田 6 4 , 円 4 海の博物館 40 , 円 6 ェクスプロラトリウム 78 青海町自然史博物館 4 , 既ロ 6 大阪市立自然史博物館 4 , 8 , 38 , 43 , ロ 2 大阪府立近っ飛鳥博物館 42 大鹿村中央構造線博物館ロ , ロ 5 奥出雲多根自然博物館ロ 8 オランダ国立地質学・鉱物学博物館 力行 かかみがはら航空宇宙博物館 88 Ⅱ 6 カリフォルニア科学アカデミー博物館 上士幌町ひがし大雪博物館円一 7 神奈川県立生命の星・地球博物館 4 , 既 円 6 笠岡市立カプトガニ博物館 4 , 43 , 46 コ , に 0 北九州市立自然史博物館 岐阜県博物館既 48 郷土博物館 ( サハ共和国 ) 4 コ 8 , 43 , ロ 2 に 9 倉敷市瀬戸大橋架橋記念館 ( 橋の博物館 ) 引 , 円 6 来待ストーンミュージアムロ 9 群馬県立自然史博物館 4 , ロコ 67 国立科学博物館 43 , 75 国立技術博物館 ( フランス ) 90 国立自然史博物館 ( スミソニアン協会 ) ( ノヾリ ) 52 , Ⅱ 0 , 204 国立ボゴール植物園に 5 国立民族学博物館 206 サ行 齋藤報恩会博物館 2 , 8 山旺古生物博物館に 6 産業技術記念館 94 三瓶フィールドミュージアム自然館 105 JT 生命誌研究館 4 , ロ , 26 コ 80 , 円 6 滋賀県立近代美術館 76 滋賀県立琵琶湖博物館ロコ 67 , 円 6 , 204 地震断層観察館 ( 根尾村 ) 既ロ 4 静岡市立登呂博物館 75 , 円 3 ジョージ・ C. ページ博物館に一 シンガポール科学センター 90 神宮農業館 6 , 既 96 新横浜ラーメン博物館 77 , 円 3 セイシャルエコミュージアムい 4 セーヌ海事博物館い 3 ゼンケンベルグ研究所博物館Ⅱ 4 ゾルンホーフェン博物館Ⅱ 5 タ行 大英自然史博物館 63 , 108 , 203 竹中大工道具館 96

6. 新しい自然史博物館

768 第 6 章自然史博物館の改革 のうち千葉県立中央博物館 , 兵庫県立人と自然の博物館 , 滋賀県立琵琶湖博 物館の 3 館については前著でふれた [ 糸魚川 , 1993 : pp. 69-71 , 111 ー 114 ]. その 6 館を東より西へ , いろいろな特性を取り上げて示したのが表 6.1 であ る . データは全国科学博物館協議会 ( 1996 ) , 各館の年報 , 各種の紹介記事 , 各館のパンフレットなどによった . それぞれが特徴的な自然史 , または自然 史系の博物館である . いわゆる県立の総合博物館とは性格がちがって , 独自 性がみられる . まず名前をみてみよう . 個性的な名前がいくつかみつかる . 館の内容を示 し特徴をだそうとしての命名であり , 理解はできるが , やや長いのが気にな る . 多くに県立とついているのは , 日本の行政機構の性格の一端を示してい る . 以下 , 県名で代表させてよぶことにする . 共通していえることは , 巨額 を投じてつくられていること , 大きいこと ( 敷地は 1 万 3000m ' 以上 , 建物 は 7000m2 以上 , 展示面積は 2700m2 以上 ) , 博物館の一般的な要素はすべ てそなえていること , 独自性をもとうとしていること , 入館者数が多いこと , 館長が学識経験者 ( かっての大学教授あるいは博物館長経験者 ) であり , 兼 任・非常勤が多いこと , などである . 2 , 3 館に共通することをみると , 総合的な館として千葉・滋賀があり , 自然史プロバーとして茨城・群馬・神奈川があり , 兵庫は自然史だがやや総 合よりといえそうである . 建物では群馬・兵庫がやや小型である . 収蔵庫面 積 , 資料数 , 学芸員数で茨城・群馬が小さい . 生態園 , 水族館をもつのが茨 城・千葉・滋賀である . アクセスでは千葉がよく , ついで神奈川・滋賀と続 き , 茨城・群馬・兵庫は少し悪い . 展示はそれぞれがユニークである . 特徴をとらえて区分すれば , 千葉・滋 賀は自然史中心の総合 , 他の 4 館は自然史であるが , 兵庫は環境に重点があ り , 茨城・神奈川は一般性が強い . 群馬はオーソドックスである . 表 6.1 以 外のことや感想を含めて , 各館をスケッチしてみよう . 茨城はたいへんよい自然環境のなかに立地している . 野外に広がる自然園 ( 森林散策路 ) は , この館を代表する施設である . 博物館から眺めると , そ のよさをうかがうことができる . 展示は一般性が強調されていて , 多様であ り , 小水族館があったりして楽しいが , いくつか欠点と思われることもある . 大型恐竜ヌエオロサウルスのレプリカはシンポルなのに , 狭いスペースに押

7. 新しい自然史博物館

6.2 新しい博物館をめざして ノ刀 図 6.2 ジャンポブック ( 神奈川県立生命の星・ 地球博物館 ) は少々大きすぎる感もあるが , 配置がよく変化に富んでいるので問題にはな らない . 展示は多様で , 自然・歴史・人の暮らしと環境とのかかわりなど総合的で ここの淡水 ある . とくに C 展示室「湖の環境と人びとのくらし」がよい . 水族館は日本一充実しているとのことである . ディスカバリールームは子ど もたちに人気で , 屋外の各種施設もそなえている . 学芸員の数からもうかが われるように , 研究をはじめその他の博物館活動もさかんである . 入館者が多く , 開館して 1 年足らずで 100 万人を超したというのは当初予 想されたよりも大きな数で , 館側も驚きであったという . 立地条件 , 県人口 から推定される入館者数より多いのは , 関西・中部方面からの観光客も含め ての来館が多いことによるもので , 前評判の高かったことも原因の 1 つであ 図 6.3 滋賀県立琵琶湖博物館

8. 新しい自然史博物館

204 第 6 章自然史博物館の改革 づいて構成された集約的・包括的な展示 . パリの国立自然史博物館「進化 の大ギャラリー」に典型的にみられる ( 第 4 章参照 ). たしかな考え , 豊 富な「もの」資料 , 多様な手法 , オープンな展示 , 芸術性などが特徴で , しかもこれらがまとめられ , おたがいに組み合わさって展示されている . わかりやすいレベル (A 類・ B 類 ) から , 高度なものまでが含まれ , 全体 にダイナミックである . 大きな空間で雰囲気がよい . その他 , 外国では大英自然史博物館 , アメリカの国立自然史博物館 ( ス ミソニアン ) , アメリカ自然史博物館などに , 一部分この種の展示がみら れる . アメリカ自然史博物館の「脊椎動物の進化」はこれをめざした試み である . 日本では滋賀県立琵琶湖博物館の c 展示室「湖の環境と人びとのくら し」がこのカテゴリーに入る . 琵琶湖というテーマは収斂的である . 多く のアイテムが包括されている , 資料が多い , 展示技法が魅力的 ( 導入の航 空写真のしかけ , 昭和 30 年代の家の復元 , 淡水水族館など ) などの特徴 をもつ . その他 , いくつかの博物館で萌芽的な展示がみられる . たとえば , 豊橋市自然史博物館において中生代展示室で時間を決めて演出している映 像・音声展示 , 1 日の移り変わりをみせる郷土展示室の「汐川干潟のジオ ラマ」などである . 宮崎県総合博物館の「照葉樹の森」のジオラマ , シア ターもその例である . このように自然史博物館の展示は [A 類「もの」一「楽しみ」型 ] [B 類 「展示」一「理解」型 ] ℃類「包括」一「思考」型 ] の 3 つの型に分類すること ができる . 最近のデジタルミュージアム ( 第 2 章参照 ) は第 4 の型になるか もしれない . 工コミュージアムは C 類の 1 つのパターンといえる . A 類を 内包して B 類があり , c 類は A ・ B 両類を含んでいる . A 類→ B 類→ C 類とレベルが上がり , 進化しているといえる . しかし , そうであるからといって , A 類が B, c 類に劣るということではない . それ ぞれに存在する意義をもっている . 生物にみられる種と同様に , そのあいだ には上下の関係はない . 発生的にみれば A 類は早く生まれ , B 類は現在全 盛を極め放散を続けている . c 類はやっと誕生したところで , まだ十分に定 着していない . これからの発展が予想される類型である . 「みる側」のレベルとの関係を考えてみると , 1, II, Ⅲのレベルは A 類 ,

9. 新しい自然史博物館

第 6 章自然史博物館の改革 / 70 図 6.1 群馬県立自然史博物館 く , むしろ地球に力点がおかれていて , 一般性が増した . もっと地域に重点 がおかれてもよいのではないかというのは , 以前の館の展示を知る者の感想 である . 展示は地球の歴史から始まるが , 先カンプリア時代の大型展示は目をみは らせるものがある . N HK の「地球大紀行」の初めのところを主題としたも のだが , これだけのことをする必要があったろうかと疑問を感じる . しかし , インパクトは強いから , 一般的には好評である . 生物の多様性では , パリの 自然史博物館と似た構成がされているが , 内容は比べられない . 展示には細 工があり , 吹き抜けの大展示室はひろびろとして気持ちょい . また , 蝶の展 示の「あそび」 ( 図 2.14 参照 ) もよい . ジャンポブックはよいアイディアで , 他の館でも使えそうである . 地域の展示はこれまでの活動の成果をもう少し 取り入れて , スペースをとってもよかった . 研究は重点の 1 つで , 各種の対応がされている . 教育活動はこれまでの経 験があるので , 十分にフォローできる . 浜田隆士館長の言葉によると , キー ワードとして , 「地域とグローバル」「エデュティンメント (education 十 entertainment) 」「 < 開かれた→生きた→生 ( なま ) の〉への方向」というこ とで , 積極的に前へ進もうという姿勢がみられる . 滋賀は最新の館である . 9 年の歳月をかけ , 多数の学芸員が最初からかか わってつくり上げた館である . 第一に , 琵琶湖というアイテムがよい . 滋賀 県全域がこれに関係があるといってもよい対象である . 規模は日本でも最大 級であり , 巨額を投じただけあって , 施設はすばらしい . 展示面積 5800m2

10. 新しい自然史博物館

6 . 5 これからの自然史博物館 2 の 展示の類別 度 図 6.14 展示の類別とみる側の満足度 B 類 , C 類の展示レベルにそのまま対応はしない ( 図 6.14 ). C 類はすべて のレベルの「みる人」に満足を与えることができるが , I , Ⅱのレベルの人 には十分に理解されないということがある . B 類はⅢのレベルの人には物 足りないかもしれないが , 大部分の人に受け入れられる . A 類の展示はだ れにもわかりやすく , みて楽しいが , 「一度みればおしまい」になりかねな い . 現在の博物館のあり方からいえば , 検討しなければならない課題を抱え ている . 展示のレベルが A 類から B, C 類と変わるにつれて , みる側の意識も変 化する ( 第 2 章参照 ). 楽しむこと ( I ) から始まって , 理解する段階 ( Ⅱ ) 自然の多様性を知り「自然と人とのかかわり」を考えるレベルーーに達 する . さらに , 自然について深く考え , 自然の見方をつくり上げ , 自分自身 の自然観をもつようになる (III). 展示のレベルが変わることと並行して 「みる側」のレベルも変わってゆく . こうして博物館の 1 つの目的が達成さ れたことになる . 現実的にみたとき , 日本では最初 A 類に始まり , 戦後の発展期に B 類が 多くなった . これから C 類をめざす館が増えてくるはずである . 滋賀県立 琵琶湖博物館はその先頭を切っていることになる . JT 生命誌研究館は切り 口が少し異なるが , レベルとしては C 類である . 外国では , フランスでは A 類が多く残り , B 類は少なく , C 類はモデル として出現したパリの国立自然史博物館の「進化の大行進」である . センス ラ・ビレットも同様である . イギリスでは A 類か としては , ポンピドー ら B 類へ変わり始め , なかには C 類へ向かっている館もある ( たとえば大 ーⅢ