評価 - みる会図書館


検索対象: 新しい自然史博物館
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1. 新しい自然史博物館

6.3 博物館活動の評価ノ 89 の年報である . 実際の作業においては , つぎの項目を選定・使用し , 実態を できるかぎり正確にとらえるよう努めた . [ 規模の基準 ] 敷地面積 , 各部門の面積 ( 展示室 , 収蔵庫 , 研究室など ) , 職員数 , 学芸員数 , 運営費 , 建設費 , 収蔵標本数 . [ 展示 ] 展示の内容 , 展示替えの状況 , 展示をつくってからの年数 , 増設 , 参加性など . [ 収蔵 ] 収蔵標本数 / 年 ( 採集 / 学芸員数 , 寄贈数 , 購入数 ) , 総標本数 / 開 館以来の年数 / 学芸員数 , 登録数 / 年 , 購入費など . [ 研究 ] 研究報告の数とそのページ数 / 学芸員数 , 論文・報告書の数 / 学芸 員数 , 学会での発表数 / 学芸員数 , 学会・シンポジウム・セミナーなどの 開催数 , 海外派遣数 , 研究員・研究生数など . [ 教育 ] 講座・教室の開催数 ( 参加者数 ) / 学芸員数 , 映画・ビデオ上映数 ( 参加者数 ) , 講演会 ( 参加者数 ) , 解説ツアー , 学校との連携行事 , 出版 物数 , 友の会活動 , ボランティア活動など . [ 姿勢 ] 活動の積極性・独自性 , 参加体験 . [ 入館者数 ] 公表された年間入館者数 . [ 情報 ] 導入状況 , 出版物数など . [ ショップ・レストラン ] 状況 , オリジナルグッズの有無など . [ 付帯・複合施設 ] 野外施設 , 他の博物館施設 , 公園など . [ 特別展 ] 回数 , 図録 , 入場者数 . [ 一般的評価 ] 学会などでの専門家の評価 , マスコミの評価 , 市民の評判 . [ 社会活動 ] 館外活動数 , 寄稿数 / 学芸員数など . [ 位置づけ ] 予算額 ( 運営費 ) , 職員数 , 構成員 ( 行政 ) の評価 , 議員の評 [ 継続年数 ] 設立以来の活動の継続 . [ 立地・環境 ] 自然状況 , 交通の便 , 駐車場など . [ その他 ] 友の会 , ボランティア , 学芸員実習生の受け入れなど . 評価を試みた結果は表 6.2 のとおりである . データにもとづいて評価をし , 積算したのが I である . さらに , 1 つの実験として , これにたよらず「見 た・聞いた・読んだ」結果をもとにして , 点数をつけ計算したのがⅡであ る . 満点を 165 とした数字で示し , 合計で 100 点への換算がされている . 価など .

2. 新しい自然史博物館

2.3 収集 4 / れるのは最悪である . 散逸することもあり , 売られる ( もし可能ならば ) こ ともある . そして , まとめて寄付される , または対価を払って引き取られる ことがある . つぎにこのことを考えてみよう . 私的コレクションから公的コレクションへ 前著 [ 糸魚川 , 1993 : p. 197 ] で私的コレクションは公的コレクションへ 移行するのがもっともよいと述べた . 散逸してしまえば , コレクションをつ くった努力は個人的な楽しみとしてしか評価されず , 収集した意味が生かさ れないことになるというわけである . この考えに対してある人から別の考え を提示された . それは自然史資料にかぎらず , もっと一般的な話であるが , 博物館・美術館へ「もの」が入ったときは , それが流通からはずれ , 「もの」 が死ぬことになる , というのである . もちろん , その場合 , 保存という点で は意味があるが , ほんとうに活用されないことがしばしば起こるというわけ である . とくに , 博物館が愚民思想 ( 公的立場を優先して考え , 私的なこと を軽くみる ) をいまだにもっていて , その資料を低くみて利用しなければ , それは眠った状態になり , さらには死んだことになりかねない . 「もの」は 流通のなかで動いていてこそ生きているといえ , 人にもつ楽しみや買う楽し みを与えているのである . 自然史資料の売買がふつうに行われている現在 , 自らのこととして , 考えてみなければならない問題である . さらに , 私的コレクションの性格が変わってきていることもある . 私的な ものでありながら , 公的な意味をもち始めている例がある ( 後述のマイミュ ージアム ). また , 公的な博物館が信用されず , 外国の博物館へ寄贈された 例 , 地域に適当な館がないとして , 国内ではあるが , 離れた場所の館へ寄贈 された例もあり , この問題は複雑である . いつばう , 博物館などが私的コレクションを購入する場合 , その価格を低 くつける , 俗な言葉でいえば足元をみて買いたたくというケースも起こりう る . 資料は正しく評価されてこそ , その価値が認められるものである . まし てや長年の努力によってつくりあげられたカレクションをぞんざいに扱うこ とは許されない . 博物館の心すべきことの 1 つである .

3. 新しい自然史博物館

790 第 6 章自然史博物館の改革 表 6.2 博物館の評価例 A 館 B 館 E 館 D 館 C 館 60 32 18 110 66.7 60 69 66 28 28 30 16 16 104 115 112 63 . 0 69 . 7 67 . 9 57 28 18 103 62 . 4 60 28 18 106 64 . 2 戸 0 ワ」 11 一 ) 63 34 18 115 69 . 7 A >< 6 B X 5 C X 5 合計 ( 165 ) 合計 ( 100 ) イワ 3 1 亠「ー -4 ・ 、 1 イ 1 ・、 11 この結果からつぎのようなことが結論される . ( 1 ) 合計点は素点である . ( 2 ) 得られた数字からみて 5 館ともレベル以上の活動をしていると評価 できる . とくに中一小型の館の積極的な活動がめだっ . ( 3 ) データに不明な点 , 欠けている点があり , 一様でない . ( 4 ) 学芸員数・運営費など , 規模を中心に考慮を加えてあるが , それで もなお小さい館の数字は小さくなる . その規模でできない活動があるから である . ( 5 ) 地域性 , ある場所とその周辺の状況 ( たとえば人口・交通の便 ) など も考慮する必要がある . ( 6 ) I , Ⅱのちがいからもわかるように , 個人による , このような評価 には客観性が欠けるおそれがあり , 限界がある . ( 7 ) よりたしかなデータにもとづいて , 自己評価 , 館相互の評価 , 複数 の人で構成される委員会による客観的評価などが必要である . ( 8 ) 適切な評価基準をつくる必要がある . ( 9 ) 評価の結果を検討し , 活動に反映するとよい . ( 10 ) 評価は日本的センスになじまないところもあるが , ぜひ行われるべ きである . 6.4 活気ある博物館となるために これまでいろいろな博物館をみてきた . ここで , その結果をベースにして , 自然史博物館にかぎらず , また , これまでにふれていない館も取り上げて , 博物館を活性化する方策を探ってみたい . 目についたことや前向きなことを ,

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6.3 博物館活動の評価 787 とくに , 目の前の利益・直接の効果を考えたときはそうであろう . しかし 将来を考え , 全体をみわたし世界的な視野に立っての比較をしたとき , 博 物館は市民のために必要な最小限度用意されるべき機関・施設であるといえ よう . 図書館 , 体育施設 , 公園などとともに , どんな小さい町にも必要なも のである . 残念ながら , この点に関しては日本は博物館後進国である . っく られ始めてから 100 年を経過しても , 博物館はいまだにメジャーの扱いをし てもらえない機関である . どうしたらよいか . まず第一に , 博物館を理解してもらう必要がある . 首 長には考え方を変えてもらおうではないか . 博物館は生涯学習の中心となる 施設であることを実践で示そうではないか . 最終的には , みんなの必要とす る , 魅力ある博物館をつくることが , この問題を解決する道である . 6.3 博物館活動の評価 ある機関について , 本来目的としたことをどのくらい達成したか , あるい はどのくらい機能し社会に対して役立っているかを確かめるために行われる のが「評価」である . 最近 , 大学について自己点検・評価ということが行わ れるようになったが , そのモデルはアメリカのアクレディテーション (ac- creditation) である . 大学よりさらに開かれた状況にある博物館は , 当然そ のような評価・点検が行われてしかるべき機関である . 1970 年代後半から 1980 年代はじめにかけて , アメリカで利用者の体験や学習の成果を確認す る博物館の評価 (museum evaluation) が行われたことがあり , 日本にも紹 介されている ( 丹青総合研究所文化空間研究部 , 1988a ). 日本では , 科学技 術館 ( 東京都 ) において「展示評価」というかたちの調査が行われたことが ある . 一般に , 大学の場合のようには適当なモデルがみあたらず , 基準がは っきりしない . したがって , マニュアルもなく , 日本ではあまり行われてこ なかった . 現実にはきわめてむずかしいことかもしれないが , これからの博 物館の発展を考えるうえで必要なことなので , 試行をしてみたい . 博物館を評価するには , ①博物館そのもの , ②博物館の活動 , ③学芸員の 活動 , などが対象になる . ①は建設にかかわる事柄ーーっくり方 , アイテム , 資料の存否 , 学芸員 , 予算規模などが関係し , その後の活動も加算されるも

5. 新しい自然史博物館

2 . 4 研究 55 る会合でつぎのような質問を受けた . 「最近の日本の学会では , 国際誌 , 学 会誌などに掲載されないと業績として評価されないことが多い . 博物館の研 究紀要にいくら書いてもしかたないのでは」というのである . たいへんむず かしい問題である . 前述したような「地域」の「もの」を材料にした研究で は , なかなか一般性をもった国際的なテーマにならないことは事実である . だからといって , 地域のことをみすてて , 他の研究に専念してよいものであ ろうか . つぎのように考えたい . ①地域のことを研究する , ②そのなかに世界へ通じるテーマを発見する , ③共同研究を進めることによって , 孤立しないで研究を一般化する , という 方向である . 困難なことはたしかである . しかし , それでもやるか , それで はやらないかの決断は研究者自身の問題である . 博物館にかぎられることで はない . さらに , 他に必要なことは博物館活動関連の研究・仕事の評価である . た とえば , 美術館でしばしばみかけ , また聞くことであるが , 美術館の学芸員 の評価はいかによい企画展をつくるかにあるという . 優れた資料を集め ( 借 りることが多い ) , うまく展示し , よい図録をつくり , 多くの人を集める , ことが評価されるのである . 自然史系の場合は少しようすがちがう . 来館者 数はしばしば問題にされるが , このような企画展についての評価が学芸員に ついてされることは少ないように思える . 美術館ほど極端でないにしても , 企画展のよし悪しは評価の対象になってもよい . それにもまして , 常設展示 の内容は評価されるべきである . それは , 基本に学芸員の研究成果があり , 学識がそこに現れてくるからである . 研究のみならず , 教育的な側面におい てもである . いかに優れた研究内容であっても , 一般の人に理解されなくて は意味がない . この点に大学・研究所と博物館の研究のうえでのちがいの 1 つがあるといえる . 研究費の問題もある . 文部省の科学研究費はけっして多い額ではないが , 自然科学の研究者にとって , とくに基礎研究を行うものにとって , 貴重な研 究費の 1 つである . しかし , 申請に制限 ( 研究者の数や研究実績など ) があ り , 博物館で申請できるのはごく少数の館である . 博物館全体としても力が あり , また学芸員に能力があっても , その枠内に入らなければ申請の資格さ えない . 実質的な評価と枠にこだわらない適用が望まれる . 同様なことに

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788 第 6 章自然史博物館の改革 の一一一であり , 現在あるすがたということになるが , すでに終わったことが 含まれ , 評価はある程度確立している . ③の学芸員の場合はすでにふれたが ( 第 2 章参照 ) , 基本的には研究・教育の両側面 , さらにその両者の総合され た個人の博物館活動に対する評価であり , 一般の教育あるいは研究に携わる 人のそれと大きく変わらない . ここでは , 自然史 , 自然史系の博物館を対象 に , ②の博物館活動の評価を扱ってみたい . 選んだ 5 館は A ・ B ( 大規模 ) , C ・ D ( 中規模 ) , E ( 小規模 ) で , A は自然史十歴史 , D は 4 部門からなる総 ー郷土 , 他は自然史プロバーの館である . 活動の評価といっても , 博物館は大小さまざまで館種も異なる . 規模 ( 建 物 : 展示室の広さ , 職員数 : とくに学芸員数 , 運営費の額など ) , 立地条件 , 運営主体の性格 , 入館者数などは , そのちがいをある程度考慮しておかなけ ればならない . 同じように扱うとすれば , 規模の大きい , 条件のよいところ がよい評価を得ることになる . まずそのことを前提として , それに補正を加 えることを考慮する必要がある . 評価の基準になることをつぎのように定める . ( 1 ) 活動の評価をその重要性を考慮して 3 つのレベル (), B, C) に分 ける . ( 2 ) それぞれを 1 ー 5 のグレードに分ける . ( 3 ) レベルとグレード ( 低いほうから ) を組み合わせる . A には 3 ー 15 声 B には 2 ー 10 点 , C には 1 ー 5 点が与えられる . ( 4 ) 点数を合計する . ( 5 ) 活動のレベル分けはつぎのとおりとする . A レベル ( 6 項目 ) : 展示 , 収蔵 , 研究 , 教育 , 姿勢 , 入館者数 . B レベル ( 5 項目 ) : ショップ・レストラン , 情報 , 付帯施設 = 複合施 設 , 特別展 , 一般の評価 . C レベル ( 5 項目 ) : 社会活動 , 行政のなかでの位置づけ , 立地・自然 環境 , 継続年数 , その他のめだっ占 それぞれにグレードの最高点数をかけ合わせると , A : 6 x 15 = 90 , B : 5 >< 10 = 50 , C : 5 x 5 = 25 となり , 合計 165 となる . それに 0.606 をかけて 100 とする . 基礎データは全国科学博物館協議会 ( 1996 ) , 各館の 1996 年度 , 1997 年度

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2 . 1 学芸員と館長 35 年には専修コース ( 3 日間 , テーマは自然の多様性・文化の多様性 ) が開か れ , 21 名が参加した . いつばう , 市町村館において , 海外派遣の研修が組 織内の規定により認められないケースもあり , 問題はかんたんではない . 前述の調査において , 採用形態として教職員からの異動がかなりの数 ( 約 10 % ) になることは気になることである . おそらく学校現場から配置換えに なり , ふたたび戻るという形態をとるのであろう . この場合 , しばしば聞く のが任期が 3 ー 5 年であり , 腰掛けであるということである . 学芸員の仕事に は継続性が求められるから , このような状況では対応が十分できないことに なる . 逆に , 博物館に在籍を希望しても異動させられたという例も聞いてい る . いずれにせよ , 適性ある人を適切な状況下に配置することが必要である . ( 4 ) 学芸員の評価 学芸員の仕事の評価はまだ確立していないといってよいであろう . 仕事の 内容が多様であること , 主たる仕事が評価しにくい研究と教育であること , しかもそれが専門的に広い範囲にわたること , などが理由である . 基本的に は研究と教育の両面でなされるべきことであるが , それぞれが多様な内容を もつだけになかなかむずかしい . 研究の評価は公表された論文によってなさ れる . 論文自体が公表されたものであり , 一般的な評価の対象になる . では , すでに述べたように [ 糸魚川 , 1993 : pp. 144 ー 147 ] , そして後述する ように , 博物館における研究の特殊性も考慮しなければならないこと , 研究 の基礎になる資料・標本の整理・管理も大きな仕事の 1 っとして存在してい ることを指摘しておきたい . 教育の成果は学校教育の場合のように明らかではない . 対象が不確定であ り , 目的も限定されて存在していないからである . 企画展の入場者数がしば しば評価の対象になる場合があるが , すべてがこれによっているとすれば , それは誤りである . 博物館における教育の基本は展示 , とくに常設展示にあ るからである . 館の性質により異なることはあるが , 自然史館ではこのよう にとらえてよいと思われる . いかに研究の成果をうまく常設展示に生かすか , それが基本である . もちろん各種の行事を含めた教育・普及の面もある . そ れも含めて大切なことは , 同じ教育・研究機関である大学に比べて , よりい っそう研究と教育が一体となったかたちで成果が開示されているということ である . 学芸員の仕事の特殊性がその評価をむずかしくしている面もある .

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50 第 2 章自然史博物館の現在 値段がっく時代なのである . ここで考えてみたいのは自然物に値段をつけることの問題である . 数少な いもの , めずらしいもの , 美しいものは当然高価になる . その点では , 人の っくったものと変わりがないのだが , どこかで引っかかるものがある . ふつ うに日用品を買うのと同じセンスで買ってよいものかよくわからない . 値段 がある以上財力がものをいい , よいものはそこへ流れることになり , そうで ない館と差がついていくことになる . 自然史資料は金で評価できるものばか りではないと思いながらも , 現実はそうであり矛盾を感じる . このことは , かって欧米諸国が植民地から略奪をしたこと , 財力によって多くの資料を集 めたことと共通する . それの現代版あるいは日本版であるように思える . 結 論的になにかいえるのではないが , 自戒したいなにかを感じる . また , この場合には評価の問題がある . 学問的な価値と売買上の価値とは 別なものである . 需要と供給の問題がそこにはある . しかし , 現状をみるか ぎり , 妥当な値段がつけられて取り扱われているといえよう . それでも最近 , 新聞や週刊誌に取り上げられた問題のように , 知識が十分でないと思われる 人が評価をし , それがふつう通用している価格の数倍から数十倍の可能性が あるという例もある . 評価を求められる識者は十分検討し , 正当な評価をす るようにしなければならない . 学者の良心を疑われるようなことは , けっし てあってはならない . 資料という点からみれば , 現在は「もの」資料だけでなく , 情報もまた資 料の 1 つである . しかも , 地球規模でやりとりができるのだから , 自由自在 , ' こで注意しなければならないのは , その情報 有効な資料である . しかし , の基礎となるものはだれかが集めなければならないということ , 実体のない 情報はたんにそれだけのものである , という側面をもっていることである . 事例研究 ( 1 ) 若者は いまの若者は , 「もの」を集めるということをどのようにとらえているの だろうか . 小・中・高校生だけでなく , 大学生まで「プリクラ」に熱中して いるのをみると , 「集める」という癖は人間本来のもののようである . 博物 館学の講義のなかで , 学生に「コレクションをしてみろ」との宿題をだした

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200 第 6 章自然史博物館の改革 ( 2 ) 姿勢について 個性をもつ . 積極的に , 前進的に . みる側の視点に立つ . 発想の転換をする . 多様化の時代である . 選択の時代である . 意外性をそなえる . 「しかけ」をつくる . 楽しみ・遊びの要素をもつ . 分化から総合へ , さらに分化へ . 地域から地球へ , さらに地球から地域へ . 「メジャー」をめざす . 新しくなくてもよい . 枚挙は必要ない . 「やる気」が第一である . 放散と収斂の両面をもつ . ゆるやかな ( フアジイな ) 姿勢をもつ . やるのは学芸員である . みる側のレベルを上げる . 変えたい , 変えよう , 変えられる . ( 3 ) その他 , 具体的に 参加体験型博物館をめざす . マーケティング ( 需要調査 ) をする . 住民のニーズを的確にとらえ , 活動に反映する . 自己評価・相互評価・客観的評価をし , 活動に反映する . 博物館・他機関との相互交流 ( 人 , 「もの」 , 行事など ) をはかる . 博物館・学芸員のネットワークをつくる . 楽しい施設 ( ショップ・レストランも含めて ) にする . 国際交流をさかんにする . 野外施設をつくる .

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36 第 2 章自然史博物館の現在 だれがどのように評価したらよいのか , 基準さえ確立していない状況である . 「評価などいらない」という考えもある . しかし , 正しい評価を受け , それ に沿って活動を修正し , 正しい方向にもっていくのが現代である . そうしな かったためにまちがった例は , 博物館にかぎらず多数みうけられる . ( 5 ) 学芸員のあり方 職務内容が多様なこと , 館の性格 , 規模 , 設立主体が一様でないことなど から , 学芸員のあり方もさまざまであり , かんたんにいいきれない面がある . 基本的に求められるものは , 専門的な知識 , 多様な職務に対応できる柔軟性 , 研究・教育に対する熱意などである . 学芸員の活動が博物館の性格を決め , 来館者数・満足度にもかかわるといっても過言ではない . 学芸員は自分の館がなにをめざしているか , それが自らの志向するところ とどのようにかかわるのか , 館のなかで自分がどのような役割をもっている のか , またもつべきなのかをつねに意識していなければならない . 博物館の 活動は総合的なものであることを考えると , 個人の活動を充実させると同時 に , 他の学芸員あるいは他の館員 , さらにもっと広く関連する人たちとの協 同が必要になる . 最近 , 学芸員の活動の 1 つのスタイルとして , とくに大型の館でみられる のが職務の分担方式で , たとえば学芸部門と教育・普及部門に分けて仕事を する方式である . ある規模をもった館ではこの方式が可能であるが , 数人の 学芸員しかいない館ではこの方式は効率が悪いし , 現実的にはそれでは機能 しない . したがって , 分担を決めてしまわないで , どちらかに重点をおく方 式がよい . あるいは , すべてのスタッフがすべての仕事に対応する方式にな るだろう . 分担できる規模の学芸員をもつ館でも , なんらかのかたちで , 両 者の意思の疎通をはかることが必要である . 博物館のような組織は相互に関 連していてこそ , その本来の機能を発揮できる . ましてや学芸部門が上位で , 教育・普及部門がその下に位置するというような考えはあってはならない . 学芸部門と教育・普及部門を一定期間をおいて循環する方式の導入も考えら 1 つの行政機構のなかで , 学芸員は小さな職種の集団である . 私立館など では , さらにその規模は小さいかもしれない . しかし , 共通する立場にある 人は全国的な視野でみればかなり大きいはずである . 相互の連携をとること