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検索対象: 新しい自然史博物館
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1. 新しい自然史博物館

付表博物館の検証 アイテム 事務職・技術職 項目 刀 8 学芸員 協力者 友の会 1) 位置づけ 2 ) 質 3 ) 資格 4 ) 研修 5 ) ネットワーク ボランティア c. 建物 3. 活動 a. 収集・保存 I) 立地 2 ) 規模 かたち 4 ) 周辺環境 3 ) 5 ) スペースの利用 6 ) 跡地利用 7 ) 複合施設・併合施設 1 ) 資料 検証 十分か 資質は 知識は一一 - ーー専門と博物館について 熱意は 学芸員資格をもっているか 資格をもっことと実際はちがう 外国との比較ーーーよび名 どこでだれが現実は 学芸員どうしの , 学芸員による 相互交流 ( 人事 ) 博物館についての理解は 人事異動のかたちは 精神的サポーター 物質的・財政的サポーター 行政のなかでの理解 組織のあり方 リーダーシップはだれが レベルをどのあたりにおくか 熱意があるかーー姿勢 内容が広がった 情報も資料 「もの」資料だけでない 意味が変わってきた 相乗効果はあるか 運営の相互補助はどうか スペースの取り合いはないか 入館者は増えているか 利用者にとってプラスか 有機的に利用できるか 交通の便はよいか 手ぜまではないか 老朽化はないか 使い勝手はよいか くつろぎ志向への対応は 自由空間はあるか 各分野のわりふりは 市街地ー公園 - 郊外のいずれか アートーーー・美観志向ではないか 限界以上ではないか 交通の便利さー自然環境のどちら 教育はされているか レベルは

2. 新しい自然史博物館

64 第 2 章自然史博物館の現在 れない . しかし , それは一種の偽りをしていることにならないであろうか . いつばうにおいて , 「これは実物化石です」と表示して , 実物であることを 強調する場合をしばしばみかける . 一般にどこの博物館でも , 基本 ( 模式 ) 標本のような学問的に重要な標本 , 希少な標本は収蔵庫にきちんと保存され , レプリカが展示されるのがふつう である . 大型の数少ない標本はレプリカであることがあたりまえである . レ プリカと表示してなんら恥じることはない . 大切なことは自前の実物標本を 増やすことである . 展示あれこれ ( 1 ) 常設展示と企画・特別展 常設展示と企画・特別展のちがいは , 博物館と博覧会のちがいに似ている . 前者は展示替えをするにせよ恒久的なものであり , 材料も自前のことが多い . 変わらないからおもしろくない , 1 度みたからもうよいという声があがる . 後者は一過性であることがほとんどである . 期間がかぎられ , 材料はよそか ら借りたものを含めて , そのために寄せ集められたものである . 経費がかか り , 有料 ( 通常の入館料と別 ) のことが多い . その結果 , 入場者数が問題に なり , スタッフは増やそうと努力する . 図録がつくられ販売される . 特別展の成果はしばしば学芸員の評価につながる . 顔が広く , よい資料を 借りられる力があり ( よい資料が集まる ) , 企画・構成ができ ( 中身のある展 示がつくられる ) , よい図録をつくることができ ( 成果の公表 ) , その結果と - ク第レたんた一 図 2.12 特別展の垂れ幕 ( 国立科学博物館 )

3. 新しい自然史博物館

2.1 学芸員と館長 [ 県立・政令指定都市立館 ] 研究職給与表適用 31.5 %. [ 区・市立 , 町村立館 ] 行政職給与表適用 90 % 以上 . ( 5 ) 求められている資質・能力 る . 町村立館 59 人 / 303 人 ( 19.4 % ) ] , 兼任館長 ( 町村立 ) 159 / 303 人 ( 52.5 % ) , 県立館では 105 人 / 195 人 ( 53.8 % ) , 市・区立館 187 人 / 408 人 ( 45.8 % ) , [ 公立館 ] 専任館長 351 人 / 964 人 ( 36.4 % ) [ さらにくわしくみると都道府 専任 563 人 , 兼任 400 人 , 非常勤・嘱託 329 人 ( 回答数 1370 館 ). 館長については , 雇用形態と学芸員資格の有無についての調査がされてい 学または大学院をつくる , 実務経験を重視 , 養成科目を充実する . 大学院での養成が必要 , 研究職であるべき , 高度の制度 , 博物館専門の大 ( 6 ) 養成制度について望ましいこと 教育・普及の知識 15.0 %. [ 自然史館 ] 資料知識・研究能力 52.5 % , 展示に関する知識・方法 15.0 % , 理・保存に関する技術・方法 21.9 % , 展示に関する知識・方法 20.1 %. [ 全体 ] 資料に関する学術的知識・調査研究能力 36.9 % , 資料の収集・整 1912 館ー 4553 人の経験年数はつぎのようである . ( 1 ) 博物館における経験年数 つぎに学芸員の現況をみてみよう ( 日本博物館協会 , 1998C ). 日本博物館協会の学芸員現況調査 学芸員資格保持者 ( 全体 ) 121 人 / 1292 人 ( 9.4 % ). 展示活動 1126 ー 429 ー 179 , 収集保存活動 323 ー 577 ー 428 , 教育普及活動 234 ー ( 3 ) 力を入れている活動 [ 1 番めー 2 番めー 3 番めの順に ( 1861 館 ) ] ( 16.9 % ) , ⑤関連分野で公務員試験合格者 81 ( 11.1 % ). ③関連分野で他の博物館経験 87 ( 12.0 % ) , ④専門的能力 + 特技 123 ①学芸員資格 535 ( 73.5 % ) , ②関連分野での専門的経験 358 ( 49.2 % ) , い順 ) ] ( 2 ) 重視される資格・能力 [ 公立館・園 728 館 ( 重複回答が含まれる ) ( 多 ( 15.6 % ) , 10 年以内 1151 人 ( 25.3 % ) , 11 年以上 1508 人 ( 33.1 % ). 2 年以内 748 人 ( 16.4 % ) , 3 年以内 434 人 ( 9.5 % ) , 5 年以内 712 人

4. 新しい自然史博物館

24 第 1 章自然史研究と自然史博物館 カテゴリーと「もの一一資料」を軸にして博物館を大別すると , 表 1.8 の ようにまとめられる . 資料の性質とみる側の受け取り方で区分すれば , 本来 の博物館としてまとめられるのは , 人文系博物館と自然史系博物館である . 両者の複合したものとして総合・郷土博物館があり , これらの博物館では資 料のめずらしさ・おもしろさなどを楽しむだけでなく , 資料の内容を理解し それによって組み立てられる「なにか」を得るということになる . 美術館は 資料が鑑賞型であり , みる側もそれを楽しむという立場のことが多いから , 上述の 2 つの系列の館とは大きくちがっている . 生物館・園は資料の性質か ら , これも他とは基本的に区別したほうがよい . 理工館が科学史 , 産業史・ 遺跡などを扱う場合はむしろ歴史館に含めれば , 青少年・児童対象の実験を したり体験したりのその他の館は別枠でくくれるであろう . 総合型の一変形として最近登場したエコミュージアムがあり , このほかに 対象を児童・青少年とかぎった児童館・青少年館 , 少しちがった設立母体を もっ館として大学博物館が区別される . 自然の博物館は以上の区分のなかで , カテゴリーの「自然」のほか , 総ム りいに 1 その他のところに含まれる . 「もの一一 - 資料」の「あり方」のかたちで整理 すると以下のようになる . ①現地にある ( ビジターセンター・エコミュージ アムの一部 ) , ②生物を移し育てる ( 生物館・園 ) , ③実物・複製など ( いわ ゆる博物館 ) , ④多くはつくられた模型・複製 ( 理工館 , 児童・青少年館 ). 両極性 ( 双方向性 ) 現実の博物館をみていると , その多様性に驚かされる . 社会的状況の反映 としてとらえられることだが , 少し整理すると , それは 2 つの対極におかれ 立ー私立 , 展示活動の重点 : 常設展ー企画展 , 入館料 : 有料ー無料 . 科 , 形態 2 : 建物型 - 野外型 , 資料 : 「もの」一情報 , 設立・運営主体 : 公 模 : 大 - 小 , 機能の中心 : 研究ー教育 , 対象 : 地域一世界 , 形態 1 : 総合ー単 [ 博物館の立場 ] 姿勢 : 保守的 ( オーソドックス ) ー革新的 ( 斬新的 ) , 規 れも相対する立場からみたそれらの例をランダムにあげてみよう . た性質のどこかの点にあるといえないであろうか . 博物館側とみる側の , [ みる立場 ] 1 : 子ども一高齢者 , 2 : みる一参加する , 3 : 身近なもの一近づ

5. 新しい自然史博物館

2.1 学芸員と館長 33 植物学会において大学が多いのは大部分が付属の植物園であるが , 実際に博 物館活動を行っているか不明の点もある . 日本地質学会の名簿によると , 関連する大学の数は 280 , 大学関係の会員 数は約 800 名である . それにひきかえ , 関連する博物館は 326 館 , 博物館関 係の会員数は 100 名たらずである ( 1994 年 ) . いかに博物館において専門職 ( 学芸員 ) が少ないかを示している . 全体としてみたとき , 少なくとも 10 % 以上の数がほしいところである . ( 2 ) 位置づけ ひとことでいえば , 博物館の学芸員の多くは専門職として位置づけられて いないといえる . このことは , 前述の調査結果 - ーー -- 80 % 近くの学芸員が行 にも現れている . 同じような立場に 政職としての処遇をされていること ある図書館司書と比べて , なお , まだ遅れているといえる . 既存の然るべき 職制 ( 研究職・医療職など ) と関連させて評価するか , あるいは独自の職制 を準備すべきである . 村上 ( 1997 ) は日本博物館協会の調査資料にもとづく「研究職給与表適用 館」を表示しているが , それによれば , 全体で 62 館であり , 内訳は国立 3 , 道府県立 43 , 市立 8 , 町立 1 , 法人立 5 , 私立 2 となる . 現在はもう少し多 い可能性もある . ( 3 ) 養成制度と任用 日本では学芸員の養成制度は確立していないといっても過言ではない . し かし , 学芸員資格はかなりかんたんにとることができる . 博物館法に定める ところにしたがって単位をとるなり , 一定の基準をクリアすればよい . 1996 年 9 月 , 博物館法施行細則が一部改正されて , これまで 4 単位であった博物 館学がつぎの 4 科目 6 単位となった . すなわち , 博物館概論 ( 2 ) , 博物館 経営論 ( 1 ) , 博物館資料論 ( 2 ) , 博物館情報論 ( 1 ) で , 博物館学の名前が 消えた . その他 , 博物館実習を除いて科目の名称変更が行われた . 現実には , 学生に資格尊重の風潮があって , 学芸員の資格をとろうとする 学生の数は増加するばかりである . 現在 , 200 を超す大学において博物館学 芸員のコースがあり , 年間 1 万人以上の学生が資格をとるといわれる . この ような現実と実際の学芸員の仕事の内容をみたとき , 資格をもっことがすな わち学芸員として役立っことではないことがわかる . 問題はいかに有能な学

6. 新しい自然史博物館

3.1 理工系博物館のあり方 97 であった . その後 ( 1994 年 ) に再訪したが , 基本的には変わっていなかった . しかし , いくつかのコーナーが変更になり , 大型映像のシアターができ , ェ コロジー対応の野外施設がつくられていた . この国の科学館のレベルは日本 とほば同じである . 最近 , 民間によって新しいシンガポール・ディスカバリ ー・センター (Singapore Discovery centre Ltd. ) が開館したとのことであ る [ 全国科学博物館協議△ ロムニュース , 27 ( 3 ) , 1997 ) ]. 軍事技術の紹介を 通じて科学教育をということであるが , 日本ではもちろん考えられないこと であり , 世界の流れとも反することで賛成できない . 返還された香港に新しい科学の博物館 ( ホンコン・サイエンス・ミュージ アム Hongkong Science Museum) がある ( 長谷川栄 , 中日新聞 , 1996 年 3 月 ). その記事によれば , パリのラ・ビレットとサンフランシスコのェクス プロラトリウムをさらに発展させた新しい発想の施設であるという . これま での科学博物館のイメージを破ったスマートな外観と楽しく刺激的な運営が みられ , 参加体験を主とした空間には 18 のゾーンに 375 のアイテムの実験 があり , 科学と芸術の 2 つの領域にわたる楽しい経験ができるとのことであ る . 実見していないのでこれ以上論評できないが , くわしい紹介のほしいと ころである . あり方を探る 日本の理工系博物館のもっ問題点を自然史系博物館との関連においてあげ てみよう . ( 1 ) 資料と研究 理工系の博物館の資料はどう考えたらよいのであろうか . 展示物だけが資 料で , その他はないというのでよいのであろうか . 展示が更新されたら , そ れまでのものはゴミになるということなのであろうか . 自然史系と大きくち がうことはわかるが , 資料 0 という館があることには驚かされた . 「どうす べき」という解答はもっていないが , これからの問題として考えてみたい . 研究についても同様なことがあるように思われる . 例外はあるが , 体験学 習を中心とした教育重視の姿勢が一般的で , 研究は主体的でないようである . 理学・工学の分野では , 研究の先端を歩もうと考えれば , 大きな設備と莫大 な資金が必要である . しかし , そうでなくても研究し成果を上げる道はある

7. 新しい自然史博物館

ノ 78 第 6 章自然史博物館の改革 気が感じられる . 本館・分館の両方に化石が分かれており , 将来はなんとか 統一したほうがよいのではないかと感じた . 材料が豊富なこともあってか , 化石を採集する体験コーナーがっくられていて , 好評である . 地域の自然史 資料を保存し展示する館で , 地道に活動している . さらなる努力で活気をと 望むのは無理なことであろうか . もう 1 つは北海道足寄郡足寄町に 1998 年 7 月開館した足寄動物化石博物 館である . 規模はけっして大きいとはいえないが , 学芸員 2 人をもつ , なか なか充実した博物館である . いくっかの特徴をあげてみよう . ①地域の資料 を中心としている , ②その資料の収集には地域の人をはじめ多数の人の協力 がある , ③ 20 年以上の長い準備期間を経て完成した , ④国際的にも通用す る研究をしている , ⑤化石工房を公開している , ⑥アイテムはデスモスチル ス類と海生哺乳類である , ⑦デスモスチルスの骨格 7 体 , クジラ類 7 体の展 示は迫力がある , ⑧一般に開かれており , 参加体験ができる , などである . 建物がやや不似合いという印象を受けたが , これは多雪地域でもあり , 別 の問題なのかもしれない . 展示室内のクジラのところのがっちりしたプリッ ジは , いっそ観客が上れるようにしたらおもしろかったであろう . 「足寄で 見る地球の歴史のコーナー」は苦心の跡がみられるが , やや違和感があり , もう一工夫ほしかったところである . いずれにせよ , 化石に関係するすばら しい , そしておもしろい博物館ができたことはたしかである . このほか , 島根県の 2 つの館を紹介しておく . 奥出雲多根自然博物館 ( 仁 多郡仁多町 ) は自然史館では数少ない , 私立の登録博物館である . もともと 図 6.6 足寄動物化石博物館

8. 新しい自然史博物館

4.3 博物館途上国 125 車で 3 ー 4 時間のところにある . 途中はお茶畑が広がり , 日本のどこかをみて いるようである . ここに地質調査所 ( 現在は地質学開発研究センター ) があ り , 付属して地質博物館 (Musei Geologi) がある . 植民地時代からの建物 で , なかもあまり変わっていない . 引き出しのついたクラシックな展示ケー スが並び , いろいろな標本が展示してある . 1 つの部屋は化石で , ゾウ・サ イ・ウミガメなどの大きなものから , 貝類のように小さなものまでがある . 特徴的なのはジャワ原人 ( レプリカ ) で , みやすくしてある . 他の部屋には 鉱物と岩石 , 外国の鉱物 , 火山 , 石油採掘など , 地質・資源関係の展示物が ある . 展示ケースの引き出しには化石や岩石の標本がぎっちり入っている . しかし , 管理は十分ではない . オランダの植民地時代の名残りがうかがわれる展示である . もちろんラベ ルはインドネシア語である . 独立してからもう 50 年になるのだが , この博 物館は大きく変えられたようにはみえない . なかなかここまで手がまわらな いのであろう . 資料はよいものの多くがオランダへ運ばれているという事情 はあっても , 大きなたくさんの島からなるこの国は自然に恵まれ , 地質分野 をみても , 火山があり化石を産し ( 原人化石がその後も発見されている ) , 石油などの鉱産資源も多い . これらのことを考えただけでも , 材料にはこと 欠かないはずである . ぜひ , 再生してほしい博物館である . 最近 , 日本の援助で博物館の展示を っくり替える話があると聞いた . 財政的な援助だけでなく , 内容や展示技術 にわたる日本のノウハウを援用して , 立派なものをつくってほしい . インド ネシアのスタッフと協力しての作業であることはいうまでもない . 他の例は国立ボゴール植物園 (National Botanical Garden of Bogor) に ある動物博物館 (Museum Zoologium Bogoriense) である . ジャカルタか ら車で 1 時間ほどのところにあるこの植物園は , 180 年の歴史をもつアジア で最大級の園である . 歴史があるだけに植物の数が多く , 標本・図書が充実 していて , 熱帯植物を研究するうえでのメッカともいえよう . 中池 ( 1997 ) によると , 職員 310 人 ( そのうち研究職員 28 人 ) で , 年間 130 万人の入園者 があり , このなかには外国からの約 6 万 4000 人が含まれている . この数は 日本の場合と比べても大きく , いかにこの園が一般の人に利用されているか を示している . 植物園は植物の観察・学習にはこのうえない施設ということ

9. 新しい自然史博物館

96 第 3 章周辺の博物館 博物館としての要素をそなえていて , ェコミュージアム ( 第 5 章参照 ) , 自 然公園と同じケースになる . 道具という視点もおもしろい . 神戸市にある竹中大工道具館はそれほど大 きくないが , 数々の道具 ( かたちの多様性が印象的である ) が集められてい て , これも 1 つの切り口といえる . つくられた物という点でみれば , これは たくさんあるだろう . 広島県福山市松永にある日本はきもの博物館はその典 型である . 下駄・草履・靴などのはきものすべて , 歴史的なものや有名人の ものなど , 西洋の衣装にまでアイテムが及んでいる . ( 3 ) 神宮農業館 この館についてはすでにくわしく述べた ( 糸魚川 , 1982 ) [ 糸魚川 , 1993 : p. 117 ]. これも私のお気に入りの博物館である . 1996 年に解体修理が終わ って再建された . 縮小され以前と同様とはいかないが , かっての雰囲気は残 っている . この館は 3 つの点で意義がある . 第一にその内容が農業 ( 水産 業・林業を含めて ) の遺物であることである . 明治以来の日本の農業史を物 語る材料が満ちあふれている . 第二は , 明治につくられた木造の品格のある 建物であることである . 改造によって変えられてはいるが , 貴重な資料であ る . 近接する神宮徴古館とともに登録文化財に指定されている . 第三は日本 の博物館の歴史を物語る館であることである . 産業遺跡の意義 このほかにも医学・薬学 , 工学の多くのアイテム , 農学の分野 , さらにそ れの具体的な産業としての応用 , たとえば鉱山 , 製鉄 , 上下水道 , 鉄道など の運輸業 , 水産業・林業など , 材料はかぎりなくある . 目的とするところは , たんに歴史的な遺物・遺跡として過去を振り返ること , そして保存すること だけでなく , 未来へつなぐ遺産としてとらえ , 生かして使うことである . そ れは人間のしてきたこと , すなわち人間が自然をどのように利用してきたか をたどることであり , 現在のわれわれに求められている「過去を知り , 現在 を考え , 未来へつなぐ」ことの基礎となる . 資料・記録を保存するという点 は , 自然史系あるいは歴史系の博物館と共通する博物館の原点にかかわる事 柄であり , 考え方 , 方法などで相互に参考になることがある . 西欧の「石」の文化と対照的に , 日本は「木・紙」の文化をもっといわれ

10. 新しい自然史博物館

32 第 2 章自然史博物館の現在 495 ー 509 , 調査研究活動 148 ー 263 ー 516 , レクリエーション 30-58 ー 118. ( 4 ) 重要性を増しつつある業務 [ 回答 563 館 ( 自由記述 ) ( 5 番めまで ) ] ①教育普及事業 105 , ②資料の取り扱い 92 , ③コンピュータの導入 49 , ④学校教育との連携 48 , ⑤ボランティア活動の推進 42. ( 5 ) 今後充実したい活動 [ 回答 898 館 ( 5 番めまで ) ] ①資料収集と常設展示資料の充実 516 , ②展示方法の工夫 471 , ③調査研 究活動の充実 420 , ④特別企画展などの活発化 367 , ⑤多様なメディアに よる教育普及活動 343. 館長については 1756 館のうち常勤が 1056 , 非常勤が 692 , その他が 8 で ある . 非常勤である場合の出勤日数は 2.9 日 / 週である . 館長のうち学芸員 資格保持者は 234 人で , 全体の 13.7 % である . これらの結果はいろいろな問題を提示している . 以下 , 参考にしながら議 論することにする . も→←冖 子云、貝 ( 1 ) 数 全体についてはすでに述べた ( 表 1.3 ). 自然史分野のいくっかの学会の会 員中での博物館関係者の割合をみてみると , おもに専門職としての学芸員で ある . 糸魚川 ( 1994 ) の結果も併記した ( 表 2.1 ). いくっかの傾向が読み取れる . 日本古生物学会は約 10 % と , 3 つの学会 のなかではもっとも比率が高い . 1990 年と比べるとわずかながら増加して いる . 設立者別にみれば , 国立・県立など大きな機関ほど人数が多いことが 推定される . 県立博物館での増加 ( たとえば日本地質学会の場合 ) が著しい のは , 近年の県立自然史博物館の増加と関連しているのかもしれない . 日本 表 2.1 学会における博物館関係者の数 学会名 年度 正会員数 国立 県立 市町村立 私立 大学 日本地質学会 146 ( 3.1 % ) 1996 63 93 ( 1.9 % ) 1990 39 日本古生物学会 92 ( 9.9 % ) 1996 43 78 ( 8.5 % ) 1990 日本植物学会 79 ( 3.5 % ) 1995 、つー 4 ・ワ 1- 亠 1 ・亠 11 ワ」つ LO 00 ワ 3 -4 ・ -4 ・戸 0 4658 4870 927 921 2264 27 2 7 27 16