呼ば - みる会図書館


検索対象: ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち
89件見つかりました。

1. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

ヘーゼル・ナツツ りんごの皮むきとアップル・ポビング もう一つの愛情占いは″りんごの皮むき〃です。りんご丸ごと一個と、ト / さなナイフ を使います。客人はそれぞれ、りんごの皮を長い渦巻き状のリポンにむき、それを左肩 るいは両方の木の実が大きな音で割れたなら、それは見込みがある愛の証なのです。も しも木の実がただ燃えてしまったら、その愛は束の間に炎と化して燃え上がり、でもす ぐに消え去ることでしよう。一組の男女が木の実を見守っている間に、一つの詩が吟唱 されます。 もしあの方が私を愛しているのなら、 はねて、とんでおくれ。 もしあの方が私をお気に召さないのなら、横になって死んでおくれ。 大きなハロウィーンの集まりでは、木の実割りはテープルのゲームです。くるみとく るみ割りを使い、男女の客人のそれぞれの組が、自分たちの未来を予一言するために、木 の実を割ります。実を取り出す間に、もし殻の半分以上がそのままの形で残れば、その 愛は完全で真実なもの。もし殻の半分以上が粉々に砕けたならば、その愛情も同じよう にもろくはかないのです。

2. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

内している間に、楽人たちは威勢のよいマーチを演奏します。王と王妃は自分の仮面を はずし、小さな王冠と笏をそれぞれ受けとります。 さて、儀典官は、食塩、アツ。ハー ・クラスト、鑑識の杯、手洗盤などで二人に敬意を 表します。それから、例の心のこもる「乾杯 / 」を儀典官は大声で叫ぶのです。でも、 トウエルフス・ナイトでは、人びとは客人たちに乾杯するだけではなく、木々にも乾杯 をするのです。 木々に乾杯 目にも鮮やかな最初のごちそうの後、客人たちは木々に乾杯をしなければなりません。 農民や田舎の人たちは、コートやマントにくるまって、暖い部屋を後にして果樹園や 森へとくり出して行くのです。そこで最も大きな古い木か、その年に一番たくさん実を つけた木のまわりで、人びとは乾杯の儀式をとり行なうのでした。 しかし、屋外で行なう人たちとは別に、広間で乾杯する人たちもいました。大きな造 りもののりんごに乾杯するのですが、木はのりと紙を混ぜ合わせた。ハピエ・マッシェで できていたり、またはマジ。ハンの食べられる木であったりしました。時には、ちょうど 今日のクリスマス・トウリーと同じように、若い木を根元から引き抜き、屋内に持ちこ みました。その木は大きな桶の中に倒れないように植えられ、まわりでダンスをするス 。ヘースをとるために、部屋の中央に置かれます。

3. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

後からついて来て、刈り取ってもらいましよう。 ″播かれた〃麻の実は、愛する人の名前や職業のヒントや目印を教えてくれます。もし、 落ちた麻の実の形がアルファベットの文字に似ている場合は、望んでいる人の名前の頭 文字を表わしています。家の形に似ていれば、裕な求婚者を表わします。王冠は権力、 貴族階級を表わし、弓矢は狩人を、攪乳器は牧夫か乳しぼり娘を表わすのです。 小宇宙的な迷信と大宇宙的物の見方 本当に分別のある人には、占いのボウルは何の変哲もない麻の実のかたまりにすぎな いでしようし、占い自体がこつけいな迷信に映ることでしよう。 ン ところが驚くべきことに、こういう物は、中世の物の考え方にとっては大切なもの だったのです。宇宙におけるあらゆる物が整然と、密接な関係をお互いに持ちあっていン るのです。宇宙における星も、お互いに協調しあい、それが人間の生活に影響したので ヴ す。人間の運命を、宇宙とこだまのように呼応している自然界の木々、植物、さらには 月 石によってすら占うことができるのでした。宇宙、人間、動植物界には共通な。ハターン 章 があります。ですから、熟練した者の目には、それがいったい何を言わんとしているの 第 か、読みとれるのです。そういう物に運命を見出そうとしている人には、占いは運命の 。ハターンが明らかになる絶好の機会だったといえるでしよう。

4. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

月の後にくる初めての日曜なのです。十七週間も延々と続くイースターの日どりは、満 月の日を中心にして、前後に数えることで決まります。 ィースターにとっては、太陽も重要です。″ィースター〃の呼び名は、異教徒のあけ ぼのと春の女神工オストルにちなんでいます。ィースターになると陽は高くなり、光が 満ち、日が長くなります。冬の死んだような寒さにうち勝って春の暖かな太陽がのぼっ てくることを、特によろこびことほぐのです。キリスト教的意味づけにも、それは合致 します。キリストの昇天は英知の光をもたらし、救済の日を約束するのです。キリスト の救済は、暗い死に対する輝かしい勝利なのです。百二十日にもわたるイースターの主 な行事は、教会で行なわれます。家庭やお城では、その日毎に特別なごちそうをいただ いたり、特別な儀式をします。 エレオノール・オヴ・アキテーヌ ( 一二〇四い ) が王妃としてイングランドに嫁いできた とき、熱心で博識な廷臣は、直ちにイングランドに伝わる百二十日に及ぶィースターの ならわしをすっかり御講義しようとしました。新王妃は上品に、だが毅然として申され一 ました。「何がとりわけィースターの特色なのか、それだけを述べなさい」と。その答ス は、「ペイス・エッギングとモリス・ダンス、そしてミステリイ・プレイ」なのでした。材 章 第 ィースター・エッグの儀式 宴会の客人たちが活気にみちた音楽にあわせて席につくと、儀典官は主賓席のテープ

5. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

= 一人は、カーテンの張 0 てある小さなかいば桶に近づきます。しかし二人の産婆が現 われて、彼らを止め、こう尋ねます。 「おお羊飼たちょ。かいば桶の中に、どなたを探しておいでかな。告げなさい /. 」 ラテン語の原文では、この個所は以下のようになります。 P 「 0 を・ quaeritis q 月ョ ストレス一アイキテ クエムクアエリティスインプロセ。へ。ハ 羊飼たちは答えます。 「天使が私たちに告げたように、救世主、神の御子を、 産婆たちがカーテンをあけたとき、羊飼たちは驚嘆して息をのみます。産婆たちは言 います。 「ず 0 と昔、預一言者イザヤが告げた幼き者が、ここにいる。さあ行 0 て、彼が生まれた 上・と皆に伝えなさい 羊飼たちはおじぎをし、聖母とかいば桶の幼子を礼拝し、そして意気揚々と叫ぶので す。 、レルャ / 今こそ我らは、預言が真実であることを知りました。 ( レ 「ハレルャ / ノ ルャ / 」 羊飼たちがその良き知らせを伝えるためにその場を去ると、鐘が熱狂的に鳴りわたり ます。手で振り鳴らす振鈴か教会の鐘が十二回、そしてまた続いて十二回鳴ります。次 にまた三回、そしてまた三回響きます。もし大きな鐘がないなら、小さなチリンチリン 鳴るべルがリズミカルに振られます。こうした鐘はヴァージンズ・ウエルカム ( 聖母「 一コ pa 0 「代 8 - 一窄 215 ーーー第 13 章 12 月 : クリスマス

6. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

です。ちょうど服の真ん中、首筋から裾にかけて線の人った基本的なチ = ニックを想像 して下さい。右側が赤の手の込んだプロケード、 左側は金色です。けれども左側の裾は 赤色で右側の裾は金色です。 一度にたくさんの衣裳を作りたい場合、「色分け」は、いろいろな種類の衣裳を手早 く安く作ることができます。たとえば十二枚の衣裳が必要なら、六種類の色の生地を選 ノノんで下さい。基本型を十二枚切り取ったら、それぞれのチュニックを半分に切ります。 それから好もしい色の対照を選んで縫い合わせればいいのです。 「色分け」のファッションは足にまで及び、右足と左足とが別々の色になります。丈夫 で不透明なダンス用タイツを手に人れるのが、てっとり早い方法です。対照的な色のタ 裳ィッを二枚用意して下さい。右足を一枚目のタイツから、左足を二枚目のタイツから。ハ のンツの部分はつけたままにして、注意深く切り離して下さい。切り離した左右の足は不 要です。そうしておいて、一一枚のタイツを一緒に重ねてはくのです。そうすれば左右、 別々の色のタイツのでき上がりです。 しかし、もしタイツがしつかりと作られているものだったら、二枚のタイツが二人用 に間に合うかもしれません。すなわち、それぞれのタイツを正確に二つに切り取り、 ンツの半分と片方の足とを、それと対照的な色合の。ハンツの半分と足に縫い合わせるの です。 無地の基本的なチュニックにしろ、色分けにしろ、単純な形を華麗なものに変身させ る方法はたくさんあります。

7. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

? R...V 6 " 0e6 " 0eE0e68e00eE0 6 " 0e60e5 翳 30930930990990930930930930 い 93 93093033 ◆ 33 990 い 99093 スの神に捧げちれています。その他にも、鵞鳥が象徴するものは、愚鈍、風、亡霊、雪、自惚 れ、用心深さ、雄弁、生命と再生と、多彩です。「八月に鵞鳥が南へ渡ると、きびしい冬がく る」というような言い伝えもあります。 エール、ジンジャ ・ビールなどいろいろ 三番目の ()D はしよう・がの ginger0 ジンジャー の飲み物や食べ物にジンジャーが使われていますが、ジンジャーは同時に病の治療に必要な薬 用植物と考えられていました。医学の発達していない中世のヨーロツ。ハでは、素人が自分のカ ープ・ガーデンを持っていま で病と戦わなければならなかった時代でもあり、どの修道院もハ した。それぞれの家でもハープを育てたもので、今日私たちが香辛料とみなしているハフの 多くは、当時においては薬用植物でした。こうした植物は、ヨーロツ。ハでは七十種類以上あっ たといわれています。 ジンジャー 。ハウダーは、しようがの根を干して粉にしたもので、日本でも使われています。 今までにス。ハイスとして出てきたハープなどの香辛料は、ジンジャーの他にも、サフラン、 ヘンルーダ、ナツメッグ、マヨナ一フ、ヤロウ、べイ・リー シナモン、粉がらし、マスタード、 ニフなど。その他にも、地中海地方原産の常緑樹であるまんねんろうから取ったローズマリー (rosemary) や、スイート・ ・ハジル (sweet ・ basil) もあります。これはインド原産の五、六十 センチの草で、白い小花をつけます。イギリスに野生するのは、ワイルド・ ・ハジル (wild basil) とよばれ、こちらの花は濃いピンクです。それから、ひめういきようのキャラウェイ・シード (caraway seed) は胃腸の薬、地中海地方産のアニス (anise) は白い花をつける植物で、やは り胃の薬として用いられました。 第 10 章の解説ーー 172

8. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

99 9939993 ◆ 93099993309993096 第七章の解説 六月のお祭であるミドサマー (midsummer) の夏至は、もとは六月二十一日頃、それから 聖ヨハネの誕生日の六月二十四日に祝われることになりました。聖ヨハネ (St. John the Baptist) は、ユダの荒野で預言し、悔い改めのしるしとしてその洗社を授けました。 聖ジョンのおとぎり草 (St. John's Wo ュ ) はシャロンのばら ( 「 ose 0 一 Sha 「 (n) とよばれ、 夏至の頃に黄色に黒い点のついた花を咲かせますが、邪気を払う力があると信しられていまし た。このため夏至の日には戸口にかけ、後で焼いたり、また、、、、ド サマー・イヴに花を摘むと、 一年以内に結婚できるとも信じられていました。 夏至の祭もまた、緑と太陽、盛夏と太陽、豊饒祈願の祭典です。 ドリュイド、またはドルイド ( druid) は、フランス、イギリスの島々に住んでいた古代ケ ルト人の宗教における聖職者でした。前二世紀頃が最盛期だったらしく、シーザーの『ガリア 戦記』によって知られることになりましたが、いけにえにするために殺した人間の内臓で未来 を占うなどいわれているものの、正確なところはわかっていません。ガリアというのは、フラ ンスの古い名称です。ベル (BeI) の神を讃えるべルテーン・ファイヤー (Beltane 「一 (e) は、 二本の樫の棒をこすっておこされたもので、やはり家畜の繁殖、作物の豊饒などを祈ったもの だそうです。また、太陽は太古から信仰の対象でしたし、火を焚くことによって太陽を模し、 悪運を焼き、ろうそくをともすことによって未来への希望を表現したとも言われています。 「カッコーの歌」は、私たちもよく知っている歌ですが、その最も古い形ではないかと思われ る抒情詩が残っています。一二四〇年頃とも一三〇〇年頃のものともいわれますが、作者は不 141 ーー第 7 章の解説

9. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

ヨーロッハの祝祭典 ヨーロッ祝祭典 第夛ッ 1 一 マドレーヌ・ P ・コスマン著 加藤恭子 / 山田敏子訳 4 わたくしの名前はフェスティヴィティーーお祭りです。わたくしはクイ ーン・セレプレーション ( 祝典 ) の娘なのです。すべての休日を守るのか 私どものっとめです。生活にあくせくしているひとたちに、気晴しゃ娯楽を さし上げるのです。古い昔の物事をおろそかにしないようにしながら、時の 流れに道標をしるしていくのです。過ぎゅく時に目盛をつけて、今に楽しい ことかあると期待させてあげましよう。人それそれにかけかえのない誕生日 とか記念日とか祝日とかを、私どもが守って差し上げます調和のとれた生 き生きした生活をさせてあげるのです。』ーー本書より もくじ 第 1 章華やかな中世の祝典 第 2 章トゥェルフス・ナイト 第 3 章 2 月一聖ヴァレンン・ 第 4 章 3 月一ィースター 第 5 章 4 月一万愚節 ( オール・フールズ・ディ ) 第 6 章 5 月一五月祭 ( メイ・ ) 第 7 章 6 月一ミドサマー・イヴ 第 8 章 7 月一聖スウィズンの日 第 9 章 8 月一ラマスの日 第 10 章 9 月一ミカエル祭 第Ⅱ章 1 明ーハロウィーン 第 12 章 11 月一聖キャサリンの日 第 13 章 12 月一クリスマス 第 14 章中世の祭りの再現 第 15 章中世のお料理 うたげ 中世の宴とグ以たち Dr. Madeleine Pelner Cosman マドレーヌ・ベルナー・コズマン博士 ニューヨーク市立大学で、中世お は、 よびルネサンス史の教鞭をとる女性教 授。家族とともにニューヨーク市近郊 の中世式の家に住み、中世風なハープ ・ガーデンを作っている。中世の衣裳 や料理、音楽や景観などを現代の生活 の中に再創造していこうという実践者 でもある。彼女の作品には、ヒ。ューリ ツツア賞とナショナル・ブック賞の候 補になったものもある。 うたけ 中世の宴と , グルメたち 0 マドレーヌ・・コズマン著房 加藤恭子 / 山Ⅲ毎了計原 0 原書房 . \ 0 原書房・定価 2 , 000 円 I S B N 4 ー 5 6 2 ー 0 1 8 5 9 ー 9 C 0 0 2 2 \ 2 0 0 0 E カバー・イラスト ⑥円田 by Madeleine pelner Cosman 日本語版装幀 : 田口良明