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検索対象: ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち
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1. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

主賓席上の儀式用の品物ーー塩入れと″アクワマニー この塩人れは奇抜なものでなくてはなりません。現代のすばらしい塩人れは、つまら ない材料からでも再生することができます。たとえば子供のおもちゃ箱にある、ちょっ とこった船のモデルを使えば、フランス語で中世の船を意味するネフ (nef) と呼ばれ る船形の塩人れを作ることもできます。金色に塗れば、たかがおもちゃの出とは思えな いくらい重々しく見えることでしよう。こった飾りの花びん、大きく、とてつもなく飾 り立てたふたっきのキャンデイ人れなども、それにふさわしいでしよう。 塩人れを見つけるのに良い場所は、古道具屋か古美術商、または古くて使いものにな らない贈答品をしまっておく地下室や屋根裏部屋です。人目を惹くだけの大きさがあり、 しかもふだんに使うには奇抜すぎ装飾過剰のものが、良い塩人れになります。とにかく 現 これは単なる塩人れではなく、″威厳〃を表わすものなのです。前にも出てきたように、再 宴席で最も重要な人たちが″塩の上手〃に坐り、他のすべての人びとが″塩の下手〃に 坐ります。必要とあらば、古くてばかばかしいようなものでも、かくもすばらしい中世世 中 の儀式用品に変身させることができるのです。 章 手洗いの儀式に使うアクワマニールは、簡単な水差しでけっこうです。大きなものを 第 ハープか花びらをちぎったものを浮か 使い、中に三分の一ほど湯を人れて、甘い香りの べて下さい。客人の手に注いだ水を受けるために、大きくて浅いボウルも必要です。長

2. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

・をに 楽人たちが演奏中、給士たちが、 王、王妃、客人に、おおいがして ある三つの料理を出している。 (). Drach, Spiegel der Menschen BehaItniss, German, 15th century. MetropoIitan Museum of Art, ロ、 Harris Brisbane Dick Fund, 1931 ) トウエルフス・ケーキ 主賓席には、非常に大きく少し平らな丸いケーキがあります。フ一フンス語では " 王た ちのケーキ〃 (gåteau des rois) といいます。ふつうは、二つのまったく同じトウエル祭 フス・ケーキがあります。最初のケーキの中には、大きな乾燥した豆を一つ人れて焼き前 あげてあります。最も高級な調理場では、ケーキを焼く人が高価な金か陶製、または割日 れないガラスでできた豆を人れておきます。ケーキは注意深く切り分けられ、男性の客什 人それぞれに小さな一切れが供されます。配られた自分のケーキの中に豆をみつけた人 イ・ ナ は、豆の王様、トウエルフス・ナイトの長となるのです。 御婦人方だけに配られる二つ目のケーキの中にも、大きな乾燥した豆を人れて焼いてフ ル あります。ぜいたくなケーキを焼くときは、豆に似せた小さな宝石とか、それを象どっ工 た。ハーティの記念となる物とかを人れて焼きます。自分に配られたトウエルフス・ケー 章 キの中にこの豆をみつけた御婦人は、いんげん豆の王妃、あるいはえんどう豆の王妃と 第 呼ばれます。 王と王妃が選び出され、儀典官がトウエルフス・ナイトの主人と女主人を主賓席に案 者が座るというわけではないのです。最大の敬意を捧げられる客人とは、豆の王様と王 妃様なのです。トウエルフス・ケーキの助けをかりて、まずその人たちを選ばなくては ならないのです。

3. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

この本はヨーロツ。ハ中世の祝祭典という、実は厖大な主題を扱っています。 ″中世〃とはどの時期を指すのかにしても、もし西口ーマ帝国の崩壊からルネッサン スまでと大きくとれば、一千年に近いものとなりますし、狭くとっても数百年は含まれ ることになります。場所にしても、主にイギリスを中心にしてはいますが、他の地域が 人ってこないわけではありません。また、今日の私たちが抱く″国家〃の観念が、その まま通用するわけではありません。 これだけの時間的、地理的ひろがりをもった主題を一つにまとめることは、もし学問 的正確さを要求するならば、無理な話です。政治的社会的にも大きな変動がありました。 本文に出てくるマミング一つをとっても、民衆劇から宮廷へ、そしてまた旅芸人 ( と時 代によって変化していきますし、ケルトの聖職者ドルイドにしても、シーザーなどの報 告から築き上げられた奇想天外な伝説を排し、歴史のかなたに実体を探ろうとすれば、に わ 迷路に踏み人ってしまうことになるのです。 お でも、もし発想を変え、とらわれない眼で著者の描く世界を眺めるとすれば、これは一 まあ、なんという魅力的な世界でしようか。 おわりに

4. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

すばらしい五月祭のさまざまなならわしや衣裳、飾りつけに踊り、そしてすてきな緑 色のごちそうが、季節の変化を告げてくれます。多くの五月祭の儀式は、この世に今一 度春を戻ってこさせようと、異教徒たちがあれこれ努めたことの名残りです。踊り手た ポちは、大地を目覚めさせようと足を踏みならし、五月の角笛や高らかな五月のロ笛を吹 イ メ きならします。そして五月の鈴はチリンチリンと鳴りながら、眠っている野原や森の精 たちに、季節の移り変わりを知らせてまわるのです。 飲んだり歌ったりの大にぎわいの中心には五月柱がありますが、それは丈の高い丈夫 な柱のようなもので、頂上にさまざまな葉や花の冠が飾ってあり、あざやかな色のつい たリポンがぐるりと巻きつけられています。いわば一本の大きな木のようで、 " 五月の 女王〃はそのかたわらで冠を戴くと、周囲をぐるぐると囲んで踊る円い踊りの輪の先頭 に立ちます。 五月柱競技のゲームでは、最も強いか、背が高いか、速いか、かわいらしいか、勇敢 カ小さいか、声が大きいなどの秀れた者たちを選びますが、これら五月祭の優勝者た ちは、五月柱の上に小さなベルをつけます。鈴の音や式典は、″木の守護者〃が実り豊 かにして下さるようにと、景気づけをするのです。 メイボール 106

5. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

ジャック・オ・ランタンというのは、アメリカ発見のかなり後まで、中世のヨーロツ。ハ では知られていませんでした。でも中世のハロウィーンを現代に再現して楽しむために は、かぼちゃもよいでしよう。 ) \ 主賓席近くに、大きくて明るい、中心となるような光が置かれます。六月のミドサマ ー・イヴ祝祭日の火のように、装飾は大燭台が屋内のかがり火として役立ちます。 ン ンクリスピン王と酒盛りをする人たちのプーツの肩帯 ラ か主賓席を支配するのは、クリスピン王に変装した客人です。 ク 王にふさわしい長い衣服を堂々と身にまとい、王冠をかぶり、笏を打ちふるい、首の ャ ジ まわりに重い鎖を巻きつけています。そして大きなプーツの片方のデザインがついた大 ス メダルをつけています。クリスピン王、つまり聖クリスピンは、コルドワイナー 。ヘイン産のコルド・ハ皮で靴やプーツを作る靴職人の守護聖人なのです。聖クリス。ヒンの 日は、ハロウィーンの少し前なので、この二つはしばしば一緒にされます。 客人たちは、各々普通の中世の衣裳を身につけてやってきます。仮面はつけません。 死者の霊になる七人の人たちだけが、後ほど祝宴で仮面をつけられるよう用意します。 小さな金のプーツや靴の絵や、縫いとりのある深紅色の肩帯を身につけることにより、 誰もがクリスピン王の宮廷の一員に扮するのです。

6. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

んご、あるいはあなたにとって重要な模様ーーかごでも熊でもかまいません。 5 、楯にこれらの図案を縫いつけるか、のりづけするかします。さらに旗のぼりにこの楯を のりづけるか縫いつけるかして下さい。 一枚の旗のぼりに二枚の楯を置くのも、もちろん自由です。または、紫色の一枚の旗 のぼりの上に大きな金色のライオンを置くことも、ライオンと一角獣が楯をささげ持っ 、 \ ような形に配置することもできます。思う存分工夫してみて下さい′・ここにデザイン のヒントをもう少しのせておきましよう。 時たま寝具売場や家庭用品売場で、精巧な壁掛け用の既成品が手に人ることがありま す。中世やルネサンス様式のくつきりとした幾何学模様のべッドカ・ハーなら、特に良い でしよう。房飾りや玉飾りもついていますし、べッド用から壁用に転用するためには、 、それらは役に立ちます。画びようでとめつけるか上端を縁縫いして、そこに長いカーテ 〔川・ン用の棒を差し込むか、石造の壁にはめこんである木の部分から簡単に吊り下げられる再 」ようにします。紋章の図案をポール紙や紙から切りぬいて、それにつけて下さい。 の 世 中 / な / ~ 広間の照明 第 ー。・ / を中世の雰囲気をかもし出そうとするには、ろうそくの光が理想的です。大きくて、ろ ーうのしたたらない、し 0 かりした受け皿のついたろうそくは、何本かまとめて大切な場

7. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

内している間に、楽人たちは威勢のよいマーチを演奏します。王と王妃は自分の仮面を はずし、小さな王冠と笏をそれぞれ受けとります。 さて、儀典官は、食塩、アツ。ハー ・クラスト、鑑識の杯、手洗盤などで二人に敬意を 表します。それから、例の心のこもる「乾杯 / 」を儀典官は大声で叫ぶのです。でも、 トウエルフス・ナイトでは、人びとは客人たちに乾杯するだけではなく、木々にも乾杯 をするのです。 木々に乾杯 目にも鮮やかな最初のごちそうの後、客人たちは木々に乾杯をしなければなりません。 農民や田舎の人たちは、コートやマントにくるまって、暖い部屋を後にして果樹園や 森へとくり出して行くのです。そこで最も大きな古い木か、その年に一番たくさん実を つけた木のまわりで、人びとは乾杯の儀式をとり行なうのでした。 しかし、屋外で行なう人たちとは別に、広間で乾杯する人たちもいました。大きな造 りもののりんごに乾杯するのですが、木はのりと紙を混ぜ合わせた。ハピエ・マッシェで できていたり、またはマジ。ハンの食べられる木であったりしました。時には、ちょうど 今日のクリスマス・トウリーと同じように、若い木を根元から引き抜き、屋内に持ちこ みました。その木は大きな桶の中に倒れないように植えられ、まわりでダンスをするス 。ヘースをとるために、部屋の中央に置かれます。

8. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

1 おしゃれな大鉢に、ちぎったレタス、ほ - フ ・レタス % 個は洗ってちぎって れん草、きざんだエンダイプ、フェンネル、 主 ・ほうれん草ポンド ( グラ を ( セリ、プラム、ぶどうを盛りつけて下さ ム ) は洗ってちぎっておく ・エンダイプの小房ー個はきざ 2 えんどう豆とプロッコリーの小一房を小なべ 野 む の に入れて、水をかぶる位に入れ三分間ゅて ・フェンネル 4 茎はきざむ て下さい し ・ハセリの小束ーっはきざむ 3 2 を水切りサルに上げて湯は捨てます。少 青ま ・グリーンゲージ・プラム 7 個 し冷ましてからサラダに加えて下さ、 のみ ( 金緑色の西洋すもも ) は種を 4 ライムの皮を細かくおろしてサラダにか 取ってたてにうすく切る ます。 ・緑色の種なしぶどうーカップ ニ合 は一つすっ 4 っ切りにする 5 大きなスプーン二本か両手て、サラダをす ・新鮮なえんどう豆ーカップ くうように混ぜ、緑の野菜の材料が全部よ ・プロッコリー % 個は先ってト く混ざるよ - フにして下さ 野 房に分ける ラ類 6 ホウルにバ「レッシンクを作り↓ 6 す・。リコッ と ・大きめのライムー個 タ・チーズの中にライムジ、ースを入れて 混ぜて下さい ドレッシング 7 も - フひとつのホウルにはサワークリームか ・リコッタ・チーズ % カップ し ・ライム・ジュース大さじ 2 ヨーグルトを入れて辛子とバジルを加えよ ・サワークリームかヨーグルト く溶かして下さ、 ーカップ 86 と 7 を混ぜ合わせます。もし色が感じの ・ト一フィ・スイート・ 良い淡いグリーンになれば結構てす。色が 典色 よく山山ないよ , フ′ししたら、すてきなクリ ~ 祭緑・辛子大さし 2 ( 好みで多くし ても ) の ンのドレッシングになるように天然着色料 を加えて下さい ・緑色の天然着色料 5 滴 ( 前 ( 触れた中世のやり方で、ほう 9 テープルに出す ~ 則にサラタ全体にドレッシ れん草から作る ) ングをかけ、すく , フよ - フに旧せて下さ 新体 ・◆◆◆・ 264

9. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

ヘーゼル・ナツツ りんごの皮むきとアップル・ポビング もう一つの愛情占いは″りんごの皮むき〃です。りんご丸ごと一個と、ト / さなナイフ を使います。客人はそれぞれ、りんごの皮を長い渦巻き状のリポンにむき、それを左肩 るいは両方の木の実が大きな音で割れたなら、それは見込みがある愛の証なのです。も しも木の実がただ燃えてしまったら、その愛は束の間に炎と化して燃え上がり、でもす ぐに消え去ることでしよう。一組の男女が木の実を見守っている間に、一つの詩が吟唱 されます。 もしあの方が私を愛しているのなら、 はねて、とんでおくれ。 もしあの方が私をお気に召さないのなら、横になって死んでおくれ。 大きなハロウィーンの集まりでは、木の実割りはテープルのゲームです。くるみとく るみ割りを使い、男女の客人のそれぞれの組が、自分たちの未来を予一言するために、木 の実を割ります。実を取り出す間に、もし殻の半分以上がそのままの形で残れば、その 愛は完全で真実なもの。もし殻の半分以上が粉々に砕けたならば、その愛情も同じよう にもろくはかないのです。

10. ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち

2 食べたり、くわえたりするりんご 大きなりんごを磨いて水平に半分に切りますと、その種は " 五角形。と呼ばれる、星 型に並んだ状態に見えます。その五辺からなるとぎれのない模様は、季節がとぎれなく 巡ってくることのあらわれであり、季節がどこで始まり、どこで終わるということがな いのです。 客人たちはそこに出されただけのりんごを食べたい放題食べますが、食べる前にその 半分は五人毎に一緒に使う塩水の人ったボウルに人れなくてはなりません。その塩水は、 聖スウイズンの涙を記念するものなのです。残りの半分の方は、黄金色の泡立てたクリ ームにつけられます。これはサフランかたんぼぼで味をつけ、色づけされています。 客人たちは、五人で一つのボウルを使います。黄金色は、りんごの五角形と同じく、 永遠を表わします。決して変色も変質することもなく、黄金色は完全であり、永遠なの です。このような象徴的な食べ物を食べるということは、長寿を願うことになります。 ″アップル・ポビング〃は、往々にしてひどく面白いものです。なみなみと水の人った 大きなたらいの上にりんごが浮かべられており、客人たちは、たらいのまわりにひざま ずくと、手を背中でつなぎます。 どの客も、りんごを口でくわえて取らなくてはなりません。りんごの方へ体を倒し、 自分の歯でくわえるのです。歯は指ほどにしなやかではありませんから、自信家の " 取 148