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検索対象: 学歴主義の発展構造
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1. 学歴主義の発展構造

一社会によって異なる地位の構造 特定の社会で、「地位」がどのように意識されているかは、、 しうまでもなく、それぞれの社会によ って異なっている。周知のように、 インドでは伝統的なカーストが、その基本的な枠組みをなしてき たし、ヨーロッパ諸国においても伝統的な階級ないし出身階層が、地位の構造と重要なかかわりをも ってきた。これにたいして、日本と同様に、伝統的なファクターからは比較的自由で、階層移動がは げしいといわれるアメリカの社会では、その人物の得る収入が、彼の社会的地位の決定に基本的な役 割を果たしていて、日本の場合とはきわめて異なる構造となっている。いま、現代日本の地位の構造 の特徴を浮彫りにするために、まず欧米社会の場合について若干検討しておくことにしよう。 まず、ドイツ、フランス、イギリスなどのヨーロツ。ハ諸国においては、社会的な階層移動が比較的 第六章現代日本における地位の構造 ー 42

2. 学歴主義の発展構造

四能力評価忌避の傾向 五日本的競争の性格 六日本的競争と大学入試 第六章現代日本における地位の構造 一社会によって異なる地位の構造 二所属による人間の分類 三集団の社会的威信と地位 四組織上の地位の重要性 五日本的出世の構造 第七章日本的経営の構造と学歴主義 一長期的雇用関係 一一組織の集団的編成 三年功的昇進制度 ー 82 1 汐ー 69 169 ー 64 ー 60 ー ) クー ) 2 ーイク 1 イク 工 42 ー 3 クー 29 V111

3. 学歴主義の発展構造

廃 , ではなく「教育の荒廃問題」としたのは、著者が世上教育の荒廃とされている諸現象を、単純に 「学歴主義のうみだす教育の荒廃ーとは考えて、よ、ゝ しオしカらである。この点について、ここで読者の注 意を喚起しておく。 本書においては、以下、第五章において日本型能力主義の構造について、第六章では現代日本にお ける地位の構造について、第七章では日本的経営の構造と学歴主義とのかかわりについて、第八章で は教育荒廃問題とその対応についての著者の見解をとりあっかうこととする。

4. 学歴主義の発展構造

五日本的出世の構造ーー節目をもっハンディキャップ競争 すでに指摘したように、戦前の日本では伝統的な階級である地主階級と官尊民卑の風潮のもとでの 官吏とが、重要な社会的身分を形成していた。しかし、有力企業の発展とその威信の向上によ「て、 古い地位の構造のなかに、しだいに新しい要素が導入されてい「た。さらに、第二次大戦後になると、 農地改革によ 0 て地主階級が崩壊する一方、戦後経済のたちなおりとともに、一流・優良企業の社会 的威信が大幅に向上してきた。その結果、才能に恵まれた多くの若者たちが優良企業をめざし、ある いははげしい昇進競争を展開するようにな「た。こうして、日本的経営のあり方は、日本の社会にお ける出世の構造と重要なかかわりをもつようになり、このことによって日本の教育にますます重要な インバクトをあたえるようになったと考えられる。 日本的な地位の構造が、所属集団の社会的威信と所属集団内部における組織上の地位によ「て構成 されていることから、日本的経営のあり方は、二つの局面で日本の教育とかかわってくる。すなわち、 集団への加入を規定する企業の採用方針と、組織上の地位を規定する昇進のあり方がそれである。 このようにみてくると、日本的地位の構造のもとでは、多くの日本人は、社会的上昇の節目ともな る、三度の機会をあたえられていることになる。すなわち、ます第一に、大学の入試に集約される、 きく関係している。 ー 6 イ

5. 学歴主義の発展構造

第 4 章日本型学歴主義の特徴 第 4 ー 2 図 偏差値能力アイデンティティ 向確立の重要性 社会的上昇 のノヾターン 教育への期待 ・求める人物 能力観 人間評価の仕組 ↓ 競争の性格 地位感覚 平等感覚 特徴的な学歴観 大学観の形成 受験戦争 日本的地位 の構造 日本型経営 組織の構造 教育の荒廃問題←ーー・一一一 - ・ さて、この特徴的な能力観の結果、日本の若者たちにとって、 り基さきにのべた「能力アイデンティティーの確立をきわめて重要な 会 社理ものとする。日本の社会にみられる極端な偏差値志向は、日本人 の能力襯とこの「能力アイデンティティーの確立が重要なかかわ りをもっていると考えることができる。しかも、これらの傾向は、 さきに検討した日本人に特徴的な大学襯・学歴観の形成を媒介と して、日本の社会における受験戦争のあり方に大きな特徴をもた らしているものと考えることができる。 他方、日本型経営組織の構造は、一方で日本的地位の構造を決 定づけることによって、日本の社会における社会的上昇のパター ンを大きく規定している。この社会的上昇のパターンは、さきに 示のべた偏差値志向とともに、日本的学歴観の形成に関与し、受験 戦争の性格を規定している。 関 定 規 日本型経営組織の構造はまた、教育にたいする期待やそのもと はめる人物像のいかんをつうじて、こんにち、教育の荒廃といわれ る現象と密接に関連してくる。これら諸要因の相互関連は、第 4 ー 2 図のようにあらわすことができよう。この図で、「教育の荒

6. 学歴主義の発展構造

第 5 章日木的能力主の構査 という傾向が、こんにち教育の荒廃といわれる現象とふかくかかわっていると考えられるのである。 このように、日本型の学歴社会についてみる場合、以上のような心理的基盤のあり方が、もっとも 基底的な意味をもっと考えられる。たしかに、つぎに分析する日本的な地位の構造や社会的上昇のパ ターンは無視しえない重要性をもっているが、これらを規定する日本的経営の構造自体、このような 心理的基盤のうえにたって、これをいかすかたちで構成されているからである。 日本の教育改革は、まずこういった日本人の価値襯、人間評価の仕組みにメスをいれること、教育 上の制度改革もこうした日本人の傾向をふまえたうえで、そのプラス面を助長し、マイナス面を最小 限におさえるような工夫がなされなければならないであろう。 つぎに、日本的な地位の構造、さらに社会的上昇のパターンについて検討する。

7. 学歴主義の発展構造

選書 日評選書 日評選書 学 学歴主義の発展構造 主 岩田龍子 の 近代社会にみられる学歴主義の 発展モデルをタテ軸とし それぞれの社会に特徴的な類型を ョコ軸とする座標のなかに 日本型学歴主義を 位置づけることによって はじめて その構造が明らかとなる 岩田龍子 日本評論社 定価 1400 円 日本評論社

8. 学歴主義の発展構造

また、部局にあたえられた業務の遂行がなによりも要求されるために、もし状況が要求すれば、一 いうまでもなく各 時自分の職務を停止してでも、応援態勢をとることが期待されている。この場合、 個人が分担する職務の内容は、一応規定されてはいる。しかし、その規定の仕方は、一般にきわめて 抽象的・包括的で、職務の構造にできるだけ柔軟性をもたせるように工夫されているのである。 こうして、日本の経営組織においては、個々の職務の範囲は現実にはかならずしも明確ではなく、 その職位にあるものの能力や、職場をとりまく状況のいかんによって、実際にする仕事の範囲はひろ くなったりせまくなったりする。また、この型の組織では、個々の職務の遂行よりも、職場単位にあ たえられた業務の達成がなによりも優先される。このため、個々の組織構成員がさしあたりする仕事 のない場合には、喫茶店で時間をつぶすことが許されたりするが、ある特定の業務の遂行が、職場集 団の業務の遂行にとって必要であるとなると、その特定業務は残業、仕事の持ち帰り、応援によって でも遂行されることがのぞましいと考えられる。 つまり、この型の組織にあっては、人びとは、ちょうどサッカー・チームの場合のように、大雑把 な役割分担のもとで、状況にあわせて協働しているのである。日本型の組織は、いうなれば、それぞ れがちょうどサッカー・チームのように協働し、状況にあわせて敏速に行動することのできる、さま ざまの部分集団によって構成されているとみることができる。 このような構造をもつ日本型の組織は、サッカー・チームの例から容易に推察しうるように、職務 構造の柔軟性がもたらす、独特のダイナミズムをはらんでいるとみることができる。 ー 80

9. 学歴主義の発展構造

学歴主義の発展構造

10. 学歴主義の発展構造

また、日本が他国に比して、ある面で先進性をもっていて、その結果いっそう問題が複雑なものと なっていることをヒ日 , 簡しこ、、 孑オ月池・渡辺両氏の指摘は、学歴社会問題を世界的な視野でとらえようと する点では、「日本だけ論」よりすすんでいるとみてよい。しかし、にもかかわらず、両氏の場合、 日本の先進性を主張していながら、その先進性についての把握はかなりあいまいである。その理由は、 両氏が学歴社会についての発展モデルを欠いたまま、ドーア教授の提唱した対応策を前提とし、これ を基準として、日本の先進性をとらえようとしていることにもとめることができる。このように、日 本が欧米と大差ないこと、あるいは欧米にくらべてむしろすすんでいることを指摘するだけでは、そ れこそ「真の問題の発見すらおばっかないーであろう。 この場合重要なことは、日本の社会に形成された学歴主義がどのような展開をみせ、かつまた、ど のような特徴的な構造を発展させてきたのかを、あきらかにすることではなかろうか。換言すれば、 学歴社会の世界史的な発展モデルのなかで日本の現状を位置づけるとともに、その特徴的な構造や成 立基盤をあきらかにすることにあるといってよい。学歴社会問題をめぐる多様な論点を、このような 枠組みのなかに位置づけることによってこそ、学歴社会問題の全体像を把握することができよう。 ここで、高等教育の構造Ⅱ歴史理論 (structural-historical "theory") いわば高等教育についての段 階論的発展モデルの展開をおこなった、マーチン・トロウの基本的な考え方についてみておこう。そ れがわれわれの当面する問題についての多くの示唆をふくんでいると考えられるからである。さてト ロウは、ます、従来別個のものとしてばらばらにあっかわれてきた高等教育の諸問題をひとつの枠組