まず、前者の場合について考えてみよう。 「私もこの花の名前は知りません。調べてみましよう」 一番正直な受け答えだろう。一」こで、リーダーは植物図鑑と首 0 びきになる。すぐに見 を一い - つの一か ページを一生懸命めく 0 ているうちに、参加者は待ちきれなくな 0 て、興味が次の つかれま、 ものに移ってしまった、なんていう経験はないだろうか。 「いっしょにこの図鑑で調べてみませんか ? 」 と言ったらどうだろう。これなら、 「図鑑というのは、同じ仲間ごとに載 0 ているんですよね。じゃあ、この花は何の花に似ていると思 : タンポポに似てますか ? では、後ろの『さくいん』でタンポポを探して : ・・ : と、タ いますか ? ・ すンポポが載ってるべージの前後で見つけてみましよう」 え参加者と対話しながら、図鑑の引き方をさりげなく教えることができるだろう。 後者の場合はどうだろう ? これこそが、リーダーを経験するうちに何度も突き当たる壁だろう。 ッ コ というのも、参加者に簡単に教えてしまうと、参加者が簡単に興味を失 0 てしまうからだ。 の ダまた、名前ばかりにこだわ 0 ていると、いわゆるマ = アを生産しかねない。マ = アになると、より 人が見たこともないもの、珍しいものを探すことに夢中になり、あげくのはてに、昆虫の標本を高い 章 金を出して買うなんてことにもなりかねない。 第 かとい 0 て、ぼくは『名まえを教えること』を否定するつもりはない。名前を教えることによる効 185
ら不思議である。 ぼくはなんといっても、タンポポの花のてんぶらが好き。タンポポの花は、摘むとすぐにしおれて しまう。ところが、ころもをつけて油の中に落とすと、またさっと開く。まるで油の海に花が咲いた ようだ。これが楽しくて、わざわざ花のてんぶらをするわけだが、たんぽぽは花だけでなく、葉や茎 もてんぶらにできる。 大学時代、四月というと教科書をたくさん買わなければならないので、経済的なピンチに陥る。こ んな時、ぼくはタンポポを摘んできててんぶらにしては、腹の足しにしていた。タンポポのほろ苦さ を味わうと、その頃のことを思い出す。 さてさて、ここでさらに脱線して、一編のエッセイを紹介したい。書いたのは岡敬之君 ( 当時高校 観一年生 ) 。ぼくら・やまなしナチュラリストの会が、年に四度を目標に発行している会誌『雑木林』に 然 自投稿してくれたものだ。 し っ ( : : : 前略 ) この春、小学二年生になった弟は、半ば自然児といった感じで、夕暮れまで外をかけ 見まわり、時々、野の花束を持ちかえったりする。四月の日曜日、その弟が母と共に『野草を食べる会』 おとかに参加し、目を輝かせて帰ってきた。母の話によると、いたどり、よもぎ、はこべ、ひめおどり 章 こそう、等何種類もの野草をゆでたり 、いためたり、揚げ物にしたりして、皆で試食したのだという。 第 中でも弟のお気に入りは、たんぽぼの天ぶらで、近所の腕白仲間と二人で、地べたにべッタリ腰をお
第 3 章お花見といっしょに自然観察 雑木林の足元を探してみると、こんなかわいい花を見つけることができます。これがカタクリです。 カタクリの花びらは、こんなにそりかえっています。なぜだと思います ? ( 図 2 ) じつは ( と言いながら、針金の先にアプの絵が書いてあるのを取り出す ) 、カタクリの花の蜜を吸お うと、アプやハチが訪れるのですが、花びらがそりかえっているので、花びらには止まれず、仕方が ないので、おしべやめしべの束に止まるのです。そうすると、虫の体におしべの花粉がたくさん付い て、それが確実にめしべに運ばれるというわけです。 ( 図 ) さて、夏になるとカタクリの花は枯れて、たねを落とします。たとえば、タンポポのたねにはパラ
毒を持っている草は、そんなに多くありません。タンポポもオオイヌノフグリも食べられます。さっ きの所にもどって、正しい道を行ってください。 〔もんだい 4 〕 少し前まで、この木にはピンクの花がたくさん付いていました。七 5 八月には、それはそれはあま— みずみずしい実がみのります。さて、どんなくだものがみのるのでしようか。 国リンゴ 国モモ 回ブドウ 〔もんだい 5 〕 観これは「チャ」の木です。この木の新芽を摘んで加工すると、いろいろなお茶ができます。 それではどのお茶ができるのでしようか。次の中からできるものをすべて選べ。 よ 国日本茶 し っ 国紅茶 見 回コーヒー 花 お 国ゥーロン茶 章 コプ茶 第 まわりを見てください。さっきまで畑にあった草花が、全然見あたりませんね。 ■
さあ " 】スタートです。カードは全部で三十五枚。ぬかさないように、まわりを見ながらゆっ くり進みましよう。 ■ 1 左に進め。車に注意 , ・ 2 〔もんだい 1 〕 これはみんなもよく知っているツクシです。ックシは花なのですが、では、葉はどこにあるのでしょ 国そんなものはない。 国冬にしかないので、今はない。 回近くにあるスギナがツクシの葉である。 ■ 3 野菜だって花が咲く。この黄色いのはハクサイ、左 の白いのはダイコンの花。どちらも菜の花に似た形の花だ ね。 ■ 4 タンポポは大きく分けて二種類あります。見分け方 ・ ( さし絵を見てください ) ー 5 アケビ、食べたことあるかな秋においしい実を 付けます。その花が咲いているんだよ。 タこホは人きく分 2 種類ム印 見分ヴ方ほ 当ネ , ド
・〔もんだい 9 〕 さ 5 て、また出たぞ。このタンポポは 国セイヨウタンポポに決まっているでしょー 国ニホンタンポポなのさ。 団どちらともいえないね、これは。 ・ ? ( のカードは行方不明になってしまったーーー植原 ) ■別れ道クイズだよー 「今年の春は昨年よりもおそい」 〇と思う人は右。 >< と思う人は左に進んでね。 察 ■間違った道を選んだ人には・ 然 今年はいつもより春が早いよ。このまま進むとまいごに よなるよ。さっきの所までもどって、左に進んでね。 っ ■ 実物登場 " 】くさもちのみどり色。これは、もちに、 見このヨモギの葉をすりつぶして混ぜて作ったものなんだよ ! お■ 0 〔もんだい川〕 章 この強そうな草は、オオバコといいます。どっかでよく 第 見かけるね。 こ 物登場 / / のどリ はもち t9 に の桑 すリフヾて尨セ ~ 作なんたよク
■ 6 ヤマプキです。クレョンや絵の具にある『やまぶき色』のやまぶきは、この木の花の色からき ました。 ■ 7 ここからしばらく、大きい道を道なりに進んで下さい。わき道に入ると『まいご』で—す。大 きい方の道を行くざんす。 ■わき道には : この道は『まいご』への道です。さっきの所にもどって、正しい道を行ってね。 ■ 8 この青い小さな花は、オオイヌノフグリです。明治になってから日本にやって来ましたが、わ ずか百年の間に、日本中で普通に見られるようになりました。 ■ 9 これはノボロギクといいます。シュンギクに似た葉をしていますね。食用として今から百五十 観年前にヨーロッパからやって来ましたが、今では帰化してごらんの通りです。 然 川〔問題 2 〕 よ さて、ここにあるタンポポは : し っ セイヨウタンポポでーす。 AJ 見 国ニホンタンポポだよ—ん。 花 お 回どちらも半々あるもんね。 章 天下分け目の、別れ道クイズだよ , 第 「畑や田んぼで見られる草は、大昔から日本にあったものが多い」 ■
土广ンア 7 のネの絵、人間の絵、・ : ・ : 様々だ。 ャ さて、遊び方だが、『実』カードと『方法』カードは レ 別々に、トランプの神経衰弱ゲームのように、裏返し プ て並べる。プレーヤーは『実』カードの一枚と『方法』 かカードの一枚をめくる。もし、タンポポのカードと風 し のカードのように、『実』カードと『方法』カードの組 せみ合わせが正しかったら、その二枚はプレーヤーのも みのとなり、もう一回、カードをめくることができる。 組 のもし、組み合わせが正しくなかったら、次のプレーヤー の番になる。 カ っ このゲームのおもしろい所は、組み合わせが決して め 一つではないところだ。たとえば、キツネのカードは、 センダングサなど、ひつつき型のたねとも組み合わせ カ られるし、アケビが好物なので、アケビのカード ( ア 実 草をケビは他人任せ型 ) との組み合わせも可能なのである。 実に観察会の最後の活動として、終わりの会の直前にや のの 木も れば、盛り上がることこの上ないし、遊びながら、観 118
ろし、かたわらの正油をつけては夢中で食べていたとか。 それ以来、弟は家に来客があると、ビニール袋をさげてどこか ( 出かけ、黄色や白のたんぽぽを集 めてくるようになった。この花を天ぶらにして、お客さんに出すことが、今の彼にとって最高のもて なしらしい。だが、残念なことに、たんぽぼの花は夕方にはしぼんでしまうので、母は、そのために、 いつも弟からせかされるはめになるのだけど : 先日、僕も大勢の客で賑わう席で天ぶらをおすそわけにあずかった。 それは、春そのもののようにやわらかく、甘く、そしてどこかほろ苦かった。 こんな文章を読むと、すぐに野に飛び出し、タンポポの花を取ってきたくなるのだが、いかがだろ 話をもとに戻そう。 ハコペは油いためにも合う。玉子を落とせば、ハコペ入りの玉子焼きができる ( べーコンを細かく 切って入れると、なお、おいしい ) 。 できた料理をビニールシートの上に並べた。そして、お皿に番号を書いた。食べる前に、料理長 ( ? ) から料理の紹介をしてもらった。作った人が、材料は何か、どんな調理をしたのかなどを、みんなの 前で発表するわけだ。そして、いよいよ試食となる。 ことわっておくが、今の日本は飽食の時代。おいしいものが、ちまたにあふれている ( そんなのは、
と、いろいろあって興味深かった。 日取後に、 「じつは、こんな分け方もあるんですよ」 と、散布方法の違いによる分類法を紹介した。 「たとえば、タンポポは綿毛が風に乗って、それでたねを飛ばしますよね。これはパラシュート型の たねと言えるでしよう。また、オナモミは動物の毛や人間の服に付いて運ばれますから、ひつつき型 ガマズミなどの実は鳥に食べられてしまいますが、たねの部分は消化されずにふんといっしょに出て きますから、これは他人任せ型と言えるでしよう。これも立派なたねを広める方法です。こんなふう に、たねを広める方法に注目して、実を種類分けする方法もあるんですよ」 説明した後で、実際にこの方法で再度分類し直してもらった。 の や 実木の実・草の実力ードで遊ぼう ぼくらは『木の実・草の実力ード』という自然観察会グッズを作った。一枚の大きさはちょうど文 の 恵庫本くらい。『実』カードと『方法』カードの二種類があり、それそれが二十枚くらいずつある。 山『実』カードには草の実・木の実のイラストが書いてある。イラストがうまく書けないぼく ( ら ) は、本のイラストを写して、もっともらしく色えんびつで色を付けた。 第 『方法』カードには、たねの広まる方法のイラストを書いた。鳥の絵、風の絵、タヌキの絵、キッ 117