oa. ~ 人形のドレスになります。つぎに、人形の頭の部分をつく ります。頭になるのは、ヒナゲシの実②です。実から茎を 切りとり、そのあとに、えんびつの先で小さなあなをあけ ます。あなに、さっきのつばみの茎をさしこめば、人形の できあがりです。うまく立たないときは、赤いスカートの 下に、ねんどを少しつけてみてください。 雨がふっていて、外であそべない日は、おし葉やおし花 で、いろんな絵をつくってみましよう。ヒナギクやシロッ メクサで、小さなかんむりをつくったり、花びらでおひめ ざいりよう さまをつくったり。ます、材料をぜんぷひろげてみて、ど んな絵にするかをきめます。おし葉やおし花には、うすく て、水分の少ないものがむいています。細長い草や、シダ、 秋のモミジやイチョウもきれいですし、もちろん、よっぱ のクローバーがあれば、さいこうです。つんできた花や葉 は、紙にはさみ、おもしをのせ、 3 週間そのままにしておき ます。花びらや葉がかわいて、たいらになったら、そっと とりだし、小さなめんばうでのりをつけましよう。友だち におくる手紙にはったり、カードにして、プレゼントとい っしょにわたすのも、いいですね。
人形づくりと花びらの絵 野原で花をつむのは、たのしいものです。でも、花をつ みすぎないように気をつけましよう。小さな花びんにいけ たり、虫めがねで花のしくみをしらべるためには、ほんの 少しの花でじゅうぶんです。花をつんだら、しめった紙に そっとつつみます。家にかえったら、もういちど根もとを 切って、花びんやコップにいけましよう。 野の花のなかには、数がたいへん少なくなってしまった ものがあります。そういう花は、けっして、とってはいけ ません。これいじよう、花の数がヘると、たねがつくれな くなり、ほろんでしまうからです。数が少なくなった植物 は、だいじに保護するきまりになっています。 けれども、たくさんはえている野草なら、 2 、 3 本つん で、家にもってかえってもだいじようぶです。タンポポや キンボウゲ、野原にさくヒナギク、野生のニンジンやヒナ ゲシ。ほかに、どんな花がみつかるでしようか。 では、ヒナゲシの花と実で、人形をつくってみましよう。 ヒナゲシのつばみ①の茎をみじかく切って、がくをそっと はがすと、まっかな花びらが出てきます。この花びらが、 カプセル 花びら
この本にのっていること 花と動物たち ているか、また、ちがうところは 植物と動物は、どんなところがに 春のめざめ きゅうこん はいしゅ う / ミッパチが花からもらうもの の受粉をてつだっているのだろ じゅふん ミッパチは、どのようにして、花 花粉をはこぶもの かふん ついて り / 虫のための小さな道しるべに くみと、それぞれの部分のやくわ ぶぶん 花の色とかおりについて / 花のし 胚珠をまもり、虫をさそう して春がきたことを知るのだろう が芽を出す / 球根は、どのように 春がくると、チューリップの球根 つ のようにたすけあっているのだろ 花と虫はなかよし / 花と虫は、 たがいにたすけあう そのとくちょう 風に花粉をはこんでもらう花と、 風にのってとぶ ど みつす 花の蜜を吸う ふんかん 虫の吻管の長さと、花の形のかん けい / 蜜の場所をおしえてくれる しんせつな花 / 蜜どろばうのこと 野生のサルビアのくふう 野生のサルビアの、おしべとめし べのはたらき / じようぶなたねを つくるために つかまったり、だまされたり アラムの花は、なぜ、いやなにお いをだすのだろう / 虫をだまして、 生きのびるために つかまえる植物 間のせいで、ほろびかけている植 ら身をまもっているのだろう / 人 植物は、どのようにして、動物か 花時計 物について / 花の上で、えものをねらうクモ 花には、いろんな虫がすんでいる 花の家 は、なぜか さいている時間がきまっているの 花がさく時間、しばむ時間 / 花が 花にまつわる話 花の歴史と物語 / 花の名前がつい せかいきようつう たわけ / 世界共通の名前について 花をぶんるいする 花にもしんせきがある / 花をぶん ほうほうひょうほん るいする方法 / 標本のつくりか たについて 人形づくりと花びらの絵 つんでいい花と、とってはいけな い花 / 花びらや実で、いろんなも のをつくってみよう あたらしい花をつくる そ バンジーができるまで / 野生の祖 せん 先について 花がしおれていく季節 花がちり、虫が死んでいく秋 / じ ゆくしたたねが、風や動物にはこ ばれて、あちこちにちらばってい く やせい きせつ 冬のたのしみ ドライフラワーのつくりかた / 花 のかおりをたのしむ / あたたかい 部屋の中で、花をそだてるには
いを とはちがい、しずかで、めだたないものです。こうした努 ります。とがった葉や、かたい毛や、ねばねばしたしるで、 力をつづけながら、植物は、何百万年もまえから、花をさ 動物を近づけないようにしている植物もあります。 また、あじがまずければ、食べられずにすみますね。び かせ、たねをつくって、子孫をのこしてきました。ところ が、いま、花の数はだんだんすくなくなり、きえてしまっ りびりしたあじゃ、にがいあじでは、食べる気になりませ た植物や、ほろびかけている植物もでてきました。それは、 ん。まきばでは、よく、キンボウゲの花だけが、ウシに食 人問が土や水や空気をよごしたり、野原に家や道路をつく べられずに、のこっていることがあります。それは、キン ったりして、植物のすむ場所をうばっているからなのです。 ボウゲに、にがいあじの毒があるからです。ほかにも、と がって食べにくい部分や、かたいすじがあったりすると、 ⑦ウタッグミ ⑧コウラクロナメクジ 動物は食べるのをやめて、もっと食べやすいほかの植物を ⑨モリマイマイ さがしにいきます。 ⑩コフキコガネ ⑩バッタ ところで、植物は、にがいあじゃ、びりびりしたあじを、 @コロラド甲虫 ⑩アオムシ どのようにつくっているのでしようか。 7 ページで、植物 はなし は、いらなくなったものを葉にためておく、という話をし ましたね。植物は、にがいあじをつくるために、 , のいら なくなったものを、うまくつかっているのです。 植物が生きのびるための努力は、動物どうしのたたかい ノ / ヾラ
花をぶんるいする 野原にさく、かわいいヒナギクの花は、どこの 国でも、どこの野原でも、おなじ形をしています。 それは、世界じゅうのヒナギクが、おなじ種類だ からです。 人間とおなじように、植物にもしんせきがあり ます。しんせきどうしは、とてもよくにています。 おなじしんせきの植物をひとまとめにしたものを、 か 科といいます。ヒナギクは、タンポポとおなじ、 キク科のなかまです。おなじ科の花を見てみると、 花のつくりがいっしよなのがわかります。キク科 の花は、小さな花がたくさんあつまってできてい ますし、キキョウ科の花は、どれもつりがね型を しています。こうした科がいくつもあつまって、 顕花植物 ( 花をつける植物 ) という、大きなグル ープをつくっています。 ひょうほん 花をつんだら、ノートにはって、標本をつくり しんぶんし ましよう。まず、花を、すいとり紙か新聞紙には さんで、おもしをのせます。そして、花がたいら になってから、ていねいにノートにはります。長 くとっておくためには、上からセロハンをかける と、いいでしよう。 ずかん 花の名前をしらべるときは、植物図鑑をつかい ます。図鑑には、植物の絵がのっていますから、 しらべたい植物とにている絵をさがします。だい じなのは、花だけでなく、植物全体を見ることで す。葉の形や花の色、茎ののびかた。植物がはえ ちゅうい ている場所にも注意しましよう。よく観察してい れば、みなさんもきっと、花にくわしくなれるで しよう。 セリ科 たくさんの花があつまって、 かさがひらいたように見える ⑩イワミッパ @野生のニンジン キンボウゲ みつけた日 円 87 年 5 月 25 日 みつけた場所日のあたるはらつば けんか
じなかまとは、ほんの少しちがった花 がさくことがあります。 ひょっとしたら、さいしよは、花が 好きで、よく観察している人が、ほか の花よりすこし大きい、野生のバンジ ーをみつけたのかもしれません。その 人は、大きめの野生のバンジーをもっ てかえり、庭にうえたのでしよう。や がてたねがみのり、そのたねをまくと、 おなじように大きめの花がさきます。 まちがったメッセージも、そのまま、 つぎのたねにうけつがれるからです。 花をつくる人は、このようにして時 間とてまをかけ、野生のバンジーのた ねに、あたらしいメッセージをいれて いきました。よくにたしんせきをかけ あわせたり、くすりをつかうこともあ りました。そのけっか、いろんな種類 の花が、たくさんうまれました。花を つくる人は、そのなかで、とくにうつ くしく、じようぶなものだけをそだて、 ねんげつ たねをつくり、長い年月をかけてバン ジーをつくりあげたのです。バンジー そせん に、野生のバンジーという祖先がある 、ほかの庭の花にも、みなこの ような「野生の祖先」があります。 あたらしい花をつくる 秋になりました。かだんや、べラン ダのうえきばちに ノヾンジーをうえる 季節です。さむさにつよいバンジーは、 冬でも、あちこちの庭や公園でみかけ ます。でも、野原にバンジーがさいて いるのは、見たことがありませんね。 野原にさいていないとすれば、庭や公 園のバンジーは、いったい、どこから やってきたのでしようか。 庭や公園にさいているバンジーは、 花の小さな野生のバンジーからっくっ たものです。けれども、タンポポのた ねからは、かならずタンポポがはえて くるように、野生のバンジーのたねか らは、野生のバンジーがはえてくるは ずです。それなのに、どうして、ちが うバンジーをつくることができたので しようか。 植物のたねの中には、親からもらっ たメッセージがはいっています。この メッセージは、たねに、どんな植物に 育ち、どんな花をさかせればいいのか を、おしえてくれます。ところが、 のメッセージも、ときどき、まちがえ ることがあります。そうすると、おな の 生 野 30
ミッパチは、花から 蜜と花粉をもらって、 なかまのえさにする 花は、 ミッパチに受粉 をてつだってもらい、 たねをつくって、なか まをふやす くして、カプセルのような実からこばれおちます。 たがいにたすけあう ミッパチにはこばれた花粉が、めしべの柱頭につくと、 花粉をはこんだミッパチは、おれいに、花から蜜とあま なにがおこるのでしようか。 った花粉をもらいます。そして、巣にもどると、のんだ蜜 まず、めしべの柱頭についた花粉から、細い管がのびて をはきだして、ほかのなかまに食べさせたり、冬にそなえ はいしゅ いちぶ きます。管が子房の中にある胚珠にとどくと、花粉の一部 て、巣の中にためたりします。これが、ハチミツです。 らんさいぼう じゅせい が、胚珠の中の卵細胞と、とけあいます。これを、受精と みなさんも、もう気がついたことでしよう。花とミッパ ひつよう いいます。このとき、花粉は男のやくわりを、卵細胞は女 チは、おたがいを必要とし、たすけあう、なかのいい友だ せいぶつがく ちです。このような、なかよしのかんけいを、生物学のこ のやくわりをしています。受精した卵細胞は、やがて胚に きようせい から そだちます。胚は、親から養分とかたい殻をもらって、た とばで、共生といっています。 ねになります。なかには、胚のまわりの子房がふくらんで 花とミッパチのかんけいは、自然の中でたいへん大きな はたらきをしています。毎年、花がさき、たねがみのるの いくものもあります。この部分は、たねがじゅくすころ、 くだものになります。 も、花とミッパチがなかよしだからです。そして、この友 じよう ヒナゲシの子房の中には、胚珠がたくさんありますから、 情のおかげで、わたしたちも、おいしいくだものやハチミ たねもたくさんできます。たねは、夏のおわりごろ、じゅ ツを食べることができるのです。 はい 柱頭 つばみ ヒナゲシの実 ナゲシを受粉させるミ ツノヾチ ヒナケ、、 たね
花がしおれていく季節 夏がおわると、ヒマワリの花①は、たねのおもみでうつ むきます。そして、花びらは、しおれてちっていきます。 花はいま、たねをつくるやくめをおえました。じゅくし たたねが、つぎつぎと外へ出ていきます。たねは、なかま をふやすために、親や兄弟とわかれて、とおくへちってい きます。このとき、動物や虫や風が、たねをはこびます。 かるいたねは、風がはこびます。タンポポのたね③は、 小さならっかさんをひらき、風にのってとんでいきます。 ケシの実④は、風にゆすられると、中からたねがこばれて おちます。 おもいたねは、動物や虫たちにはこんでもらいます。ヒ マワリのたねをはこぶのは、シジュウカラ②などの小鳥で す。小鳥は、たねを、あとで食べるためにはこぶのですが、 はこぶとちゅうで、ときどき、たねをうつかり地面に落と ばあい してしまいます。スミレのたね⑥の場合は、たねに、アリ の好きな、あまいあじの「おまけ」がついています。そし て、アリが「おまけ」をはこぶとちゅう、たねだけがはず れて、地面に落ちます。ゴボウのたね⑦は、かぎばりのよ うな毛で、わたしたちのくっしたや、動物のからだにつか まり、とおくまで旅をします。 なかには、じぶんのカでたねをばらまく植物もあります。 たとえば、じゅくしたツリフネソウの実⑤にかるくふれる と、実がいきおいよくはじけて、たねを何メートルもむこ うにとばします。 あちこちにばらまかれたたねは、地面のわれめやくほ、み はいりこみます。けれども、秋のうちは、いくらあた たかくても、たねは芽を出しません。それは、たねが、ま きゅうみん だねむっているからです。これを、たねの休眠といいま す。さむさで芽がかれないよう、冬のあいだは、芽が出な いしくみになっているのです。
花にまつわる話 ものがたり れきし 花の歴史や物語には、おもしろいも のがたくさんあります。たとえば、オ オバコ①は、むかしは、ヨーロッパに しかはえていませんでした。ところが、 ヨーロッパから北アメリカに、人びと がうつりすんだとき、オオバコのたね も、その人たちのふくやくつにくつつ いて、いっしょに海をわたりました オオバコのたねはじようぶで、ふまれ ても馬車のしやりんにひかれても、ヘ いきです。そのため、あっというまに アメリカじゅうにひろまりました。白 人がとおったあとにはえてきた草なの で、インディアンはオオバコのことを、 「白い男のあしあと」とよんでいます。 チューリップ②は、もとは西アジア たび の植物でした。あるとき、ひとりの旅 びと 人が、チューリップの球根をオランダ にもってきました。すると、人びとは たちまち、チューリップの花にむちゅ うになりました。なかには、たったひ ぜんざい とつの球根を手にいれるために、全財 産をなげだす人もいたそうです。 花の名前は、花の色や形をあらわし さん ていることがあります。たとえば、オ えし、ご ニュリ③は、英語でタイガーリリー といいますが、そのわけは、下の絵を 見るとよくわかりますね。 花の名前は、国によってちがいます。 おなじ花にいろんな名前がついている がくしや とふべんなので、学者は花をぶんるい せかいきようつう して、どの花にも世界共通のラテン 語の名前をつけることにしました。 * ・・・「タイガー」はトラ、「リリー」はユリという意味です 25
とめて葉にためておきます。そして、秋に いらないものを、 なって、葉がちるときに 葉といっしょにすてるのです。 じっとしているように見えるタンポポも、 葉⑩を太陽の方に向けたり、花⑩をひらい たりとじたりして、うごいています。たね @も、とおくまでとんでいきます。けれど じゅう も植物は、動物のように自由にうごきまわ ることはできません。そこで、たねをつくる ときは、虫たち⑨にてつだってもらいます。 たねは、植物の赤ちゃんです。タンポポ のわたばうし@をよく見ると、中に、タン ポポのたねがたくさんあるのが、わかりま す。たねは、おかあさんタンポポから養分 をたっぷりもらい、それをつかって、そだ っていきます。ツバメのひな⑤が、親鳥か らえさをもらうのと、おなじです。 ところで、植物にできて、動物にできな ひかり いことが、ひとつあります。それは、光と、 くうき 空気と、土の中の水をつかって、養分をつ くることです。養分をつくっているのは、 ぶぶん 緑色の葉の部分です。ノウサギ⑦が、タン ポポの葉を食べると、葉の養分も、からだ の中にはいります。わたしたち人間も、野 菜や穀物やくだものを食べて、生きていま すね。植物は、動物や人問のいのちをささ える、大切なたべものなのです。 さいこハッカネズミ①を見てみまし よう。せっせとからだをなめて、きれいに しています。タンポポはそんなことをしな くてもいいのです。雨が、ほこりやよごれ をあらいながしてくれるのですから。かん たんで、いいですね。 みどりいろ さい