わたしたち - みる会図書館


検索対象: 花のいとなみ 花と虫たちの1年
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1. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

花には、どんな秘密があるのでしようか。花と虫、花と動物の友情とは、いったい、どのようなも のなのでしようか。花は、虫や動物たちとたすけあいながら、たねをつくり、子孫をのこしていき ます。そして、自然の中で、大きなやくわりをはたします。この絵本は、わたしたちに、花のふし ぎと、花にふれるよろこびをおしえてくれることでしよう。 ■既刊 地球のいとなみ 植物。動物とともに わたしたちの地球の一年 文と絵ウナ・ヤーコプス 訳塚原真里子 I S B N 4 ー 9 006 2 1 ー 0 ろー X C 8 09 7 P 1 8 0 0 E あむすく / 定価 1835 円 ( 本体 1748 円 )

2. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

おもてがどんなにさむくても、あたたかい部屋の中なら、 花をそだてることができます。部屋で、花をそだてるとき は、わたしたちが、せわをしてやらなければなりません。 ひりよう 水と肥料をやり、光にあて、ときどき葉をふいてやりまし ねったい よう。部屋でそだてる植物は、たいてい、熱帯の国からき ています。冬に花をさかせるシャコバサポテン⑦、はなや かな色と形のアマリリス⑩、どちらも部屋を明るくしてく れます。 クリスマスのころ、花屋さんにポインセチアがならんだ ら、よく観察してみましよう。赤や白の花びらのように見 えるもの⑧は、じつは、葉なのです。ポインセチアは、葉 が花のやくめをしているのですね。このような、にせもの ぎか の花のことを、偽花といいます。偽花のまんなかにある、 小さなめだたないもの⑨が、ほんものの花です。 このように、花はい年じゅう、わたしたちをたのしませ てくれます。けれども、花がきれいだったり、 いいかおり がしたりするのは、人間のためではありません。花粉をは こび、たねをつくるてつだいをする、虫たちのためです。 地球には、毎年くりかえし花がさき、たねがみのります。 それはみな、虫たちのこうしたはたらきのおかげなので

3. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

冬のたのしみ 冬になりました。花の季節もおわりです。でも、冬のあ いだも、花をたのしむ方法はあります。そのひとつは、夏 のうちに、花をかんそうさせて、とっておくことです。 ムギワラギクの花①の色と形は、かんそうさせてもほと んどかわりません。夏、花がさく少しまえに切りとり、か わいた暗い場所に、花を下にしてつるしておくと、秋には、 きれいなドライフラワーができます。バラのつばみ②やゼ ラニウム③、セイヨウノコギリソウ④なども、ドライフラ ほ ワーにむいています。ムギやイネの穂も、きれいです。 かんそうさせたバラやラベンダー⑤の花びらは、びんに いれて、ふたをしつかりしめておきましよう。 こうすれば、 ぬの かおりはいつまでもなくなりません。小さな布のふくろに いれて、たんすの引き出しにしまっておくと、中が、いい かおりになります。このかおりは、花が、虫をさそうため につくったものですが、わたしたちも、それをたのしませ てもらっているのです。 秋には、たねをあつめましよう。ヒマワリのたね、ノウ ゼンハレンのたね⑥、ほかにどんなたねがみつかりますか。 春になってたねをまけば、また花の一年を観察できます。

4. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

、木の実にくだもの。植物は、おなかをすかせた動物た 生きのびるために 植物は、自然のいとなみの中で、とても大きなやくわり ちのごちそうです。けれども、植物が食べつくされて、ぜ をはたしています。それは、ほかの生物のいのちをささえ んぶなくなってしまうことはありません。いったい、どう ることです。植物は、わたしたち人間や、動物たちの、大 してでしようか。 植物には、動物にはないふしぎな力があります。それは、 切なたべものですね。 まきばでは、ウシが一日じゅう、草をもぐもぐと食べて のびつづける力です。みなさんは、草むしりをしたことが います。庭や林では、カタッムリが、ひとばんのうちに ありますか。草は、むしっても、むしっても、またはえて やわらかな葉をなんまいも食べてしまいます。穀物に根っ きますね。これは、むしったのこりの茎や葉が、のびてく るからです。このとき、とくに大きなはたらきをするのが、 ①ノロジカ 葉の部分です。葉は、光をつかって、のびていくのに必要 ②ウシ ③ノウサギ な養分をつくりだします。このふしぎな力は、植物がかれ ④リス ⑤ハムスター るまで、なくなることはありません。 ⑥モリネズミ ほうほう 植物が生きのびるための、もうひとつの方法は、動物を おいはらうことです。動物をおいはらうには、いろいろな やり方があります。イラクサは、ひふをひりひりさせるし るを出します。ノバラやアザミは、はりやとげで身をまも イラクサ

5. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

とめて葉にためておきます。そして、秋に いらないものを、 なって、葉がちるときに 葉といっしょにすてるのです。 じっとしているように見えるタンポポも、 葉⑩を太陽の方に向けたり、花⑩をひらい たりとじたりして、うごいています。たね @も、とおくまでとんでいきます。けれど じゅう も植物は、動物のように自由にうごきまわ ることはできません。そこで、たねをつくる ときは、虫たち⑨にてつだってもらいます。 たねは、植物の赤ちゃんです。タンポポ のわたばうし@をよく見ると、中に、タン ポポのたねがたくさんあるのが、わかりま す。たねは、おかあさんタンポポから養分 をたっぷりもらい、それをつかって、そだ っていきます。ツバメのひな⑤が、親鳥か らえさをもらうのと、おなじです。 ところで、植物にできて、動物にできな ひかり いことが、ひとつあります。それは、光と、 くうき 空気と、土の中の水をつかって、養分をつ くることです。養分をつくっているのは、 ぶぶん 緑色の葉の部分です。ノウサギ⑦が、タン ポポの葉を食べると、葉の養分も、からだ の中にはいります。わたしたち人間も、野 菜や穀物やくだものを食べて、生きていま すね。植物は、動物や人問のいのちをささ える、大切なたべものなのです。 さいこハッカネズミ①を見てみまし よう。せっせとからだをなめて、きれいに しています。タンポポはそんなことをしな くてもいいのです。雨が、ほこりやよごれ をあらいながしてくれるのですから。かん たんで、いいですね。 みどりいろ さい

6. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

ミッパチは、花から 蜜と花粉をもらって、 なかまのえさにする 花は、 ミッパチに受粉 をてつだってもらい、 たねをつくって、なか まをふやす くして、カプセルのような実からこばれおちます。 たがいにたすけあう ミッパチにはこばれた花粉が、めしべの柱頭につくと、 花粉をはこんだミッパチは、おれいに、花から蜜とあま なにがおこるのでしようか。 った花粉をもらいます。そして、巣にもどると、のんだ蜜 まず、めしべの柱頭についた花粉から、細い管がのびて をはきだして、ほかのなかまに食べさせたり、冬にそなえ はいしゅ いちぶ きます。管が子房の中にある胚珠にとどくと、花粉の一部 て、巣の中にためたりします。これが、ハチミツです。 らんさいぼう じゅせい が、胚珠の中の卵細胞と、とけあいます。これを、受精と みなさんも、もう気がついたことでしよう。花とミッパ ひつよう いいます。このとき、花粉は男のやくわりを、卵細胞は女 チは、おたがいを必要とし、たすけあう、なかのいい友だ せいぶつがく ちです。このような、なかよしのかんけいを、生物学のこ のやくわりをしています。受精した卵細胞は、やがて胚に きようせい から そだちます。胚は、親から養分とかたい殻をもらって、た とばで、共生といっています。 ねになります。なかには、胚のまわりの子房がふくらんで 花とミッパチのかんけいは、自然の中でたいへん大きな はたらきをしています。毎年、花がさき、たねがみのるの いくものもあります。この部分は、たねがじゅくすころ、 くだものになります。 も、花とミッパチがなかよしだからです。そして、この友 じよう ヒナゲシの子房の中には、胚珠がたくさんありますから、 情のおかげで、わたしたちも、おいしいくだものやハチミ たねもたくさんできます。たねは、夏のおわりごろ、じゅ ツを食べることができるのです。 はい 柱頭 つばみ ヒナゲシの実 ナゲシを受粉させるミ ツノヾチ ヒナケ、、 たね

7. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

花がしおれていく季節 夏がおわると、ヒマワリの花①は、たねのおもみでうつ むきます。そして、花びらは、しおれてちっていきます。 花はいま、たねをつくるやくめをおえました。じゅくし たたねが、つぎつぎと外へ出ていきます。たねは、なかま をふやすために、親や兄弟とわかれて、とおくへちってい きます。このとき、動物や虫や風が、たねをはこびます。 かるいたねは、風がはこびます。タンポポのたね③は、 小さならっかさんをひらき、風にのってとんでいきます。 ケシの実④は、風にゆすられると、中からたねがこばれて おちます。 おもいたねは、動物や虫たちにはこんでもらいます。ヒ マワリのたねをはこぶのは、シジュウカラ②などの小鳥で す。小鳥は、たねを、あとで食べるためにはこぶのですが、 はこぶとちゅうで、ときどき、たねをうつかり地面に落と ばあい してしまいます。スミレのたね⑥の場合は、たねに、アリ の好きな、あまいあじの「おまけ」がついています。そし て、アリが「おまけ」をはこぶとちゅう、たねだけがはず れて、地面に落ちます。ゴボウのたね⑦は、かぎばりのよ うな毛で、わたしたちのくっしたや、動物のからだにつか まり、とおくまで旅をします。 なかには、じぶんのカでたねをばらまく植物もあります。 たとえば、じゅくしたツリフネソウの実⑤にかるくふれる と、実がいきおいよくはじけて、たねを何メートルもむこ うにとばします。 あちこちにばらまかれたたねは、地面のわれめやくほ、み はいりこみます。けれども、秋のうちは、いくらあた たかくても、たねは芽を出しません。それは、たねが、ま きゅうみん だねむっているからです。これを、たねの休眠といいま す。さむさで芽がかれないよう、冬のあいだは、芽が出な いしくみになっているのです。

8. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

訳者あとがき いつも、ふしぎに思うのは、花が、人間の目にもきれ いに見えることです。花がきれいなのは、人問のためで はなく、虫をよびよせて、花粉をはこんでもらうためな のに、本当にふしぎですね。また、花のかおりには、わ たしたちの気持をやさしくしたり、元気にしたりするは たらきもあるそうです。 むかしは、人問も、ほかの動物や虫たちとおなじよう に、花とたすけあって生きていたのかもしれません。で も、いまのわたしたちは、花からいろんなものをもらう だけで、花をたすけるのをわすれているような気がしま す。それでは、いったいどうすれば、花をたすけること ができるでしようか。その答えは、きっと、花をよく見 たり、せわをしたりしているうちに、花がおしえてくれ ることでしよう。 花のいとなみ 0 1995 Printed in Japan ISBN 4 ー 900621 ー 03- X ウナ・ヤーコプス (lJna Jacobs) 1934 年ドイツ北部バルト海に面したロストッ クに生まれる。ミュンヒェンの大学で、動物学、 植物学、地理学を学び、 1958 年理学博士の学位 をとる。後、数年間、家族とともにアメリカに 滞在。 1967 年ミュンヒェンに帰ってからは、生 物学の分野の書籍の翻訳、および児童向けの本 の執筆をおこなう。 1975 年からは絵も描きはじ め、 1978 年以降自然をテーマにした絵本の著作 にとりくんでいる。この Elle 「 mann 社発行 の lJh 「 en シリーズでもく太陽〉、く地球〉 ( あむ 1995 年 8 月 25 日初版発行 学部卒業。現在はドイツ語の翻訳に従事。 1959 年東京生まれ。 1982 年早稲田大学第一文 塚原真里子 ( つかはらまりこ ) すく既刊 ) 、く蝶〉などを担当している。 T EL03 ー 3 四 3 ー 8689 振替 00150 ー 6 ー 114525 〒 101 東京都千代田区神田小川町 3 ー 1 ト 2 ー 811 発行所ー ( 有 ) すく 発行者一竹村昌子 訳者一一一塚原真里子 著者 - ーーウナ・ヤーコプス 印刷・製本一株精興社

9. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

oa. ~ 人形のドレスになります。つぎに、人形の頭の部分をつく ります。頭になるのは、ヒナゲシの実②です。実から茎を 切りとり、そのあとに、えんびつの先で小さなあなをあけ ます。あなに、さっきのつばみの茎をさしこめば、人形の できあがりです。うまく立たないときは、赤いスカートの 下に、ねんどを少しつけてみてください。 雨がふっていて、外であそべない日は、おし葉やおし花 で、いろんな絵をつくってみましよう。ヒナギクやシロッ メクサで、小さなかんむりをつくったり、花びらでおひめ ざいりよう さまをつくったり。ます、材料をぜんぷひろげてみて、ど んな絵にするかをきめます。おし葉やおし花には、うすく て、水分の少ないものがむいています。細長い草や、シダ、 秋のモミジやイチョウもきれいですし、もちろん、よっぱ のクローバーがあれば、さいこうです。つんできた花や葉 は、紙にはさみ、おもしをのせ、 3 週間そのままにしておき ます。花びらや葉がかわいて、たいらになったら、そっと とりだし、小さなめんばうでのりをつけましよう。友だち におくる手紙にはったり、カードにして、プレゼントとい っしょにわたすのも、いいですね。

10. 花のいとなみ 花と虫たちの1年

花にまつわる話 ものがたり れきし 花の歴史や物語には、おもしろいも のがたくさんあります。たとえば、オ オバコ①は、むかしは、ヨーロッパに しかはえていませんでした。ところが、 ヨーロッパから北アメリカに、人びと がうつりすんだとき、オオバコのたね も、その人たちのふくやくつにくつつ いて、いっしょに海をわたりました オオバコのたねはじようぶで、ふまれ ても馬車のしやりんにひかれても、ヘ いきです。そのため、あっというまに アメリカじゅうにひろまりました。白 人がとおったあとにはえてきた草なの で、インディアンはオオバコのことを、 「白い男のあしあと」とよんでいます。 チューリップ②は、もとは西アジア たび の植物でした。あるとき、ひとりの旅 びと 人が、チューリップの球根をオランダ にもってきました。すると、人びとは たちまち、チューリップの花にむちゅ うになりました。なかには、たったひ ぜんざい とつの球根を手にいれるために、全財 産をなげだす人もいたそうです。 花の名前は、花の色や形をあらわし さん ていることがあります。たとえば、オ えし、ご ニュリ③は、英語でタイガーリリー といいますが、そのわけは、下の絵を 見るとよくわかりますね。 花の名前は、国によってちがいます。 おなじ花にいろんな名前がついている がくしや とふべんなので、学者は花をぶんるい せかいきようつう して、どの花にも世界共通のラテン 語の名前をつけることにしました。 * ・・・「タイガー」はトラ、「リリー」はユリという意味です 25