天 - みる会図書館


検索対象: ダンテ神曲物語
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1. ダンテ神曲物語

ーチ , が出現する。ペアトリーチ = はダンテの怠慢を叱り、天使たちはダンテの弁護をする。 ダンテが罪の告白をすると、マテルダがダンテを頭までレーテ河に浸し、河の水を飲ますと過去 を忘れる。つぎに象徴的な樹木が現われるころ、ダンテは仮睡に陥り、その中で鷲、狐、竜など が山車を毀し、山車の一部が怪物に変化し、山車の上で遊女と巨人がたわむれるという幻想を見 る。ダンテはペアトリーチ = の予言をきかされ、またエウノエ河で浄められる。そして、すでに それ以前に任務の終わったヴィルジリオは姿を消している。 天堂界は、下から数えて第一天 ( 月天 ) 、第二天 ( 水星天 ) 、第三天 ( 金星天 ) 、第四天 ( 太陽 天 ) 、第五天 ( 火星天 ) 、第六天 ( 木星天 ) 、第七天 ( 土星天 ) 、第八天 ( 恒星天 ) 、第九天 ( 原動 曲 チェに伴われて、それらを一つ 鰰天 ) 、第十天 ( 至高天 ) に分かれているが、ダンテはペアトリー 一つ訪問しながら昇天する。まず月天には暴力のために誓願を全うすることのできなか 0 た魂が 住んでいたが、そこを訪問したとき、ダンテはついでに月の斑点についての説明もきく。水星天に は美名を求めて偉業をなしとげた魂が住んでいた。金星天には恋に燃えた魂が住んでいた。太陽 天には知識人の魂が住んでいたが、ダンテはその中で聖トーマスなどの魂と会話をする。知識人 の魂はたいそう活発で舞踏を見せ歌をうた 0 てきかせる。火星天には信仰のために戦 0 た者の魂 が住んでいるが、この天体は紅い光線をはなつので、い 0 しょに飛んでいるべアトリーチ , の顔 がま 0 かに見える。そこの魂たちは、マスゲームのように集ま 0 て十字架の形をつくってみせる。 そこでダンテは曾祖父カッチャグイダの魂と会い、自分の未来についての予言をきく。木星天に は地上で正義をおこな 0 た者の魂が住んでいるが、彼らはみな輝く光の姿をなしており、まるで。

2. ダンテ神曲物語

ってくるグリストの勝利の行列と会うとき、おん身の心ができるだけ喜ばしくなっているためで ある」 そういわれて、ダンテは目をもどして七つの天体を足下に眺め、ついでに地球の姿を眺めたが、 それがひどくみすばらしいのを見て微笑した。しかし、それを卑しいものと判断する心はいいこ とであるが、同時に諸天の事物へ心を向ける者は正直であるといえよう。 ついで、ダンテは月が、さきにその一部が粗で他の一部が密であると思わせた原因となったあ の影をもたずに輝いているのを眺めた。ダンテは飛びながら水星天と金星天が太陽の周囲で動い 篇ているのを見た。ついで、木星天が土星天と火星天の間の熱を調和してやわらげているのを見た。 そしてこの三つの天体が天における居場所を変えるのが明白になった。またこれら七つの天体は 堂 みな、大きさと速さと、その場所がたがいに隔たっているのを知った。ダンテは永遠の双生児と 天ともに回っているあいだに、人をひどく猛々しくする小さな地球が、その山と河の全貌とともに チェのほうをふり向いた。 目の前に現われた。そこでダンテはべアト ) ー 417

3. ダンテ神曲物語

第二十一歌 第七天 ( 土星天 ) ここには地上で黙想をおこなった者の魂たちが住んでいる。魂たちは至高 天へ通じる梯子を下りてくる、ピエトロ・ダミアーノ、ふたたび神の永遠の定めについて、聖 職者の贅沢にたいする非難。 ト丿ーチェの顔へそそがれ、目といっしょに心もそちらへ向 すでにダンテの目はふたたびべア けられ、他のいっさいのことから離れた。 チェは微笑することなくダンテにいった。 するとべアトリー 「もし、私がうつかり徴笑すると、おん身は女神ュノの恨みを受けたテー・ヘ王カドモスの娘セー メレのように顔から出た光輝で焼死するであろう。なぜならば、おん身がすでに眺めたごとく、 至高天へ達するこの天の階段を昇れば昇るほど、私はいっそう美しさを増し光り輝くであろうか ら、それを和らげなければ、あまり強い光を発して、人間であるおん身の視力は、雷電にうち砕 かれた小枝のように落ちるだろうから。 私たちはいま第七天つまり土星天の輝きの中を昇天している。この天は獅子座の下にあって、 その力とまじり合いながら下方を照らしている。おん身の目が、見えるものに注意を払い、あの 鏡の中にあらわれる姿が、おん身の目に映るように努めるがよい」

4. ダンテ神曲物語

第二十二歌 第七天 ( 土星天のつづき ) ここには地上で黙想をおこなった者の魂たちが住んでいる。聖ペ ネデット、マッカリオ、ロモアルド、聖職者の腐敗。第八天 ( 恒星天 ) ここには勝利に輝く 魂たちが住んでいる。双子宮、天と地とを俯瞰する。 篇驚異のあまり、ダンテはその案内者のほうへふり向いたが、そのありさまは、何事か起こると チェは、顔を つねにいちばん信頼する人へ走りよる稚児のようであった。そのとき、べアトリー あおざめて息をはずませている子の心を励ます母親のようにダンテにいった。 天「おん身が天にいることを忘れたのか。天はすべて聖であり、そこでなされることはみな熱い愛 から出ていることを知らないのか。私の叫び声さえおん身をかくも感動させるならば、歌と私の 笑いはおん身をどれほど変わらせることか、いまからおん身には推し量れるはずである。また、 あの叫び声の中の祈りを悟り得たなら、おん身がいずれは見るはずの神の復讐をば、死なないう ちに見たことになるのだ。すべて天上の剣は早すぎも遅すぎもせず斬るのである。それを望みま た恐れつつ待っている者には、そのように見えるのだ。だが、おん身はいま他の者のほうを向く がよい、そして私のいうとおりそちらへ目をめぐらすなら、多くの有名人の魂を見るであろう」 そこで彼女が望むごとく、 . 目をめぐらすと、白の小さな球がむらがってたがいに相手を照らし 413

5. ダンテ神曲物語

つつ、その三つのつくりだす三つの悦びの中で三つの妙音をひびかすのである。この階級の中に 三種の神の力があり、その第一は木星天の天使のもっ統治であり、つぎは火星天の天使のもっ有 能であり、三番目は太陽天の天使のもっ権威なのである。つぎに、最後から二番目に歓喜の舞い をするのは、金星天を司る主天使と水星天を司る大天使であり、いちばん最後に舞うのは普通の 天使である。これら各階級の者は、みな上方を眺めるが、彼らはまたその力を下方へ及ばすので、 みなは神のほうへ惹かれ、同じほど他を惹きつけるのである。さて「天上階級論』の作者ディ オニジオは、、いをこめてこれらのことを考え、私と同じように彼らを命名し分類した。だが、そ の後教皇グレゴリオ一世は彼とは別の意見をもった。そして天で目を開くやいなや、彼は自分自 身のことを笑ったのである。さて、たとえ死すべき人間が、かくのごとく隠された真理を述べた としても怪しむにあたらない、なぜならば、この天上でこれを見た聖パオロはこれらの輪に関す る多くの他の真理を彼にしめしたからである」

6. ダンテ神曲物語

の秩序は上でも下でも欠けるであろう。さあ、読者よ、私は諸君の前に食物を置いた。だから自 分で食べるがよいのだ。私の関心は天堂界の旅行記を書くことにあるのだから」 さて、自然の中でもっとも大きな影響力をもっており、天の力を人間世界に捺す太陽は、白羊 宮と合して、日一日とはやく姿をあらわすべく螺旋状の道に沿って回っていたが、ダンテ自身が すでにその中にはいっていたことにまだ気がっかなかったのである。 しかし、ペアトリー チェは一つの天からさらに高い天へとダンテを導いていたが、彼女は太陽 天の中にはいったときでさえ、色彩でなく光輝によって他と識別できるくらい輝いていた。 第四天つまり太陽天に住む魂たちの面前で、神はいかに気息を吹きこみ、聖霊の力を借りてい かに人間を創造するかその方法をやってみせた。 チ , 工十 - 、つこ 0 するとそのとき、・ヘアトリー 「感謝せよ、恩寵によりおん身を昇らせて、感じうる太陽にいたらせたもう神に感謝するがよ ダンテは心の底から神に感謝し、・ヘア ト丿ーチェのことをしばらく忘れたが、彼女はあいかわ らず微笑しつづけていた。 ダンテがふと見ると、太陽天の魂たちがべアトリー チ工とダンテをとり巻いて輪をつくって回 りだしたが、その様子は大気が水蒸気にみちたとき、帯状をなす月光をその中につつみこんで、 月をこのように閉ざすのに似ていた。さて、知識人の魂が二人のまわりを三度ばかり回ったとき ちょっと停まったが、それは婦人が舞踏をするとき、まだやめたわけではないが、新しく始まっ 356

7. ダンテ神曲物語

第十歌 第四天 ( 太陽天 ) ここには知識人の魂たちが住んでいる。最初の輪、聖トーマス、アルベル マーニョ、グラツィアーノ、ピエトロ・ロンパルド、サロモーネ、ディオニジ・アレオパ ジータ、パオロ・オロシオ、ポエッイオ、イシドロ・ダ・シヴィリア、ペーダ、リッカルド・ ダ・サン・ヴットーレ、シジェ さて、金星天から太陽天へ達する間に、ダンテは次のごとく読者へよびかけた。 堂 「神はわが子を二人のあいだに永遠の息をかよわす愛つまり聖霊とともにみまもり、見えないも 天のとじ 0 さいに空間にあ 0 て見えるものをみごとな秩序で創りたもうた。それゆえ、それを見る 者は、神の偉大さを味わわずにはいられないのである。 それゆえ読者よ、私とともに高い天体のかの黄道体と赤道のまじわるところへ、まっすぐ目を 向けて、喜んで主の技能を眺めるがよい、主は心の中でそれを深く愛したまい、け 0 して目を離 したもうことはないであろう。見たまえ、もろもろの星がささえている一つの獣帯が、星の助け を求める世人を満足させるために分かれ出ているのを。 もし獣帯が斜めでないならば、天のカの多くはむなしくなるであろうし、下界の生産力もとま 0 てしまうであろう。またそれと垂直線とのへだたりが、いまより多いか少ない場合には、宇宙

8. ダンテ神曲物語

を傾けて、いちばん大きな炎のほうに注意を 集中した。また、下界に秀でていたのと同じ 酌く、天上でも秀でているかの生きた星 ( 聖母 けマリア ) の性と量とが、ダンテの二つの目に 映ったとき、天の奥のほうから、冠のような デ形をした輪のような一つの光明 ( 天使ガプリ エル ) が下りてきて、この星 ( 聖母マリア ) ヴをとり巻き、その周囲をめぐった。下界でも ジっとも甘美な音色をだして、ひとの心を惹き つけるメロディでも、宝石のように鮮かに天 ス を飾るあの美しい碧玉の冠となっている竪琴 すの調べにくらべれば、雲を裂く雷鳴にすぎぬ 照 というべきであろう。 を の天使ガプリエルはつぎのように歌った。 聖「われこそは、われらの願望の目標を胎内に 宿し、またすべての崇高な喜悦の源の周囲を 天 めぐる天使の愛である。天の淑女よ、汝がお ん子のあとを追って、至高天にはいり、それ さがかさ ザフイロ

9. ダンテ神曲物語

チェは上空に目をやっていた 以上のようなことをダンテが述懐しているあいだに、ペアト ) ー が、ダンテはそのようなべアトリーチ ' を眺めていた。すると彼はまたたくうちに、ある不思議 な場所についた。 チェは、喜ばしそうな顔をダンテのほうに向けてい ダンテの心の作用をよみ取った・ヘアト ) ー 「私たちを第一番目の天、つまり月天とひきあわせたもうた神に感謝するがいい」 濃く、固く、磨きあげられた 月天はまるで太陽に照らされたダイアモンドのようこ輝、 ト丿ーチ工とダンテを包んでいた。そして、水が光線を受けいれてそれと一体になるよ 篇雲がべア うに、月天は二人をその中に受けいれた。一つの物体が他の物体の中にはいるのでなければ、一 堂 物体によ 0 て占められている空間が他の物体によ 0 て占められることは考えられないのだが、も 天しダンテが実体をも 0 ているなら、どうしてこんなことが可能になるのか、その理由を知りたい と思 0 たが、それは原始的真理としてありのままの姿で知るべきだと考えた。 そこでダンテはいっこ。 「マドンナ、人間社会からここへ私を移してくださ 0 たことにどんなに感謝したらよいでしよう。 しかし、教えてください、あの下界の人たちがカインの物語をつくりあげているこの月天にある 黒斑はなんなのですか」 ト ) ーチェはすこし徴笑していった。 「感覚で知る知識では、なにごとも説明できない現世で、人間が思い誤 0 たとしても、おん身が 315

10. ダンテ神曲物語

第十三歌 第四天 ( 太陽天のつづき ) ここには知識人の魂たちが住んでいる。魂たちは舞踏と歌をふた たびはじめる。サロモーネやアダモやグリストの知恵、人間の判断力の不確実性。 ダンテがいましがた見た二十四人の聖者の魂はどんなであるか理解しようと思う者は、濃い空 篇気にもうち勝つほど強い輝きをもっ十五の恒星や北半球の天に輝く大熊星の七つの星や車の形を した北斗七星などを心に描けばよいであろう。また第一の輪がその周囲を回る車軸の先端のとこ ろから始まる角笛の形に似ている小熊星をも想像するがよいであろう。これらの恒星十五、大熊 天星七、小熊星二、合計二十四の星がミノスの娘アリアドネが死の冷たさを感じたとき自分自身で つくったような二つの天象を天の中につくりあげ、またその一方は他の中にその光をたもち、そ の両方がともども回転するとき、一方が先に他がその後に従うのを想像するがよい。そうすれば 真実の星座とまたダンテがいた場所を回って回転する二重の舞踏とをおばろげに想像しうるであ ろう。それというのも、もろもろの天体の中でいちばん早い原動天は、キアナ河の速さをしのい でいるごとく、それらのものは現世の常識をはるかにこえている。 そこで賛美されるのは、パッコやペアナでなく、神性にみとめられる三位一体と人性と神性の 合体されるあの御托身の玄義である。