カーライル - みる会図書館


検索対象: めざめれば魔女
50件見つかりました。

1. めざめれば魔女

リスが入ってきて、 「ローラ、 尸のところで待ってるのはきみのポーイフレンドかい ? 」ときいた。「人っても らうように言おうか。すまないが、もう一度、名まえなんていったつけ、ソロー ? 」 げんかん ー ! 」ローラはじれったそうに一一一口った。 「いいわ、あたしが玄関で声はりあげるか げんかん ローラは本当に玄関で大声をはりあげた。「あとで電話するから ! わかったー ? 」ソリー は親指を立ててオーケーのサインを送ってよこすと、 ( イクにまたがってキングズフォード通 りを遠ざかっていった。 かれ 「彼、なんだか気味が悪いな。」クリスはローラがもどってくるのを待って、言った。「どう してかわからないけど、そう思うんだ。」 「帰ってきた早々そんなこと言わないで。」ケートは頼んだ。「あれはただのソレンセン・カ ーライル。最近になって表に出てきたカーライル家のかげの人よ。」 かれ 「彼はたしかに、 この辺ではあまり見かけない中産階級の豊かさってものを感じさせるね。」 クリスは批評家めいたロのきき方をした。 ゅうふく 「そりや、だって、このあたり一帯にちらばる裕福な一族なんだもの : ケートはのんき たの 222

2. めざめれば魔女

しろ ったが、ほんとは、わたしといた時より、というつもりだった。夫は自分自身によく似たロー ラといるときには、いつだってすごく幸せそうな顔をしていたのだ。 ローラはつらい、面白くもない家族の思い出話にいつまでもかかすらわってはいなかった。 ・カーライルが 一年ちょっと前になるけど、ソリー 「その次に前ぶれがあったのはね、 転校してきたとき。」 「ソレンセン・カーライルですって ! 」ケートは言って、小さな笑い声をあげた。わざと面 白がっているふうだった。「あの子のことで、一体全体どうしてあんたが前ぶれなんか感じな きゃならないのよ ? それじゃ、まるで、オオカミのかわりに赤すきんちゃんがおそれられて かんとくせし るみたいじゃないの。だってあの子監督生なんでしょ ? 身ぎれいにはしてるし、物静かだし、 しゆみ ト , 良ったっ 勉強はよくするし、趣味といえば高級なカメラで小鳥を撮ってあるくことだし : しようしんしようめし て、もちろん女の子じゃない、正真正銘の羽のある鳥だし、ね。でも、正直いって、あんまり 面白くはないけど。」 ケートの言ったことは全部が全部あたっていたわけではないが、それはケートのせいではな かった。ケートはたた、日頃ローラの言っていることをうのみにしていただけだったのだ。 ソリーこと、ソレンセン・カーライルがガーデンディル高等中学校に姿をあらわしたのは、 おもしろ おもしろ と おも

3. めざめれば魔女

備された無人の土地が農場にとってかわり、その無人の土地が、こんどはたちまちのうちに、 住みごこちのよい住宅地にかわったというわけだった。 けれど、この住宅団地の中央には、小さな庭つきの家々ーーといっても、また、その庭はど なえぎ こもがらんとしていて、苗木の赤いラベルがいつ見てもふと秋かと思わせるように風にはため いけがを、 いていた にとりまかれて高い生垣がめぐり、その生垣を見おろすようにして、シラカスと しばふ むかし ポプラの木立ちが姿を見せていた。生垣はその昔、カーライル家の芝生と果樹園および野菜畑 とを仕切っていたもので、この生垣のむこうのこれら木立ちの中に、この古い一族の子孫で、 ーは学校 どもりのソリーことソレンセン・カーライルが母親と祖母の三人で住んでいた。ソリ いけがき いけがき に行くために、毎日この木立ちをぬけ、生垣を出て、二マイルの道を。 ( イクを走らせた。生垣 ーをひろげた は初夏には野。 ( ラが小さなビンクの花をいつばい咲かせ、おとぎ話のタビストリ ようになった。 門もついていたが、どちらも今 ーたちが住んでいる家にはちゃんとした名まえがあり、 はない農場のものだった。名まえはジャニ、ア・カエリといって、大きな門柱のひとつの石に やしき 深く刻みこまれていた。が、近所ではもつばら「古いカーライル屋敷」でとおっていた。 おもて 強い北西の風が吹いて、月の面を次々と雲がよぎっていった。まだ満月にはなっていなかっ 104

4. めざめれば魔女

とうちゃく 「ええ、ええ、もちろん、これでよかったんですよ。」ソリーとい 0 しょに到着したローラ を迎えて、若いほうのカーライル夫人は言 0 た。「お気の毒に。さそおつらか 0 たでしよう、 ギ」ようぎ あなたも、お母さまも。ソレンセンはきちんとお行儀よくできましたかしら。」 れいぎ : 。ただ、ちょ 0 とふにおちないところはありましたけど。、ロ 「とっても礼儀正しくて : こしよう 「ソリーったら、具合が悪いのは弟なのに、車でも故障したみたいな感じなん ーラは答えた。 とちゅう です。でも、ここにくる途中、ガーデンディル・シ「〉ビングセンターに連れて 0 てくれて、 ふたりで例の小さな店、のそいてみました。だけど、閉ま 0 てました。ソリーが言うには、す きまというすきまは全部ふさがれていて、ドアの下なんか目張りまでしてあ 0 たんです 0 て。 ソリーは弟の手についたしるしは、あたしがブラック自身に消させなきゃいけない 0 て一言うん ですけど、ソリーにもどうしたらあたしにそれができるか、わからないんです 0 て。ブラック 第七章カーライル家の魔女たち まじよ 159

5. めざめれば魔女

音楽とたいしてちがってやしないのにと思った。それで急いで、「そう悪くもないわよ。、と言 い足した。 「でも、なんだかひどそう。今のところでしよ、ケートが働いてるとこって。かわいそうな ジ = リアはっふやいた。 車はそのまま住宅団地の中を通りぬけ、数分後にはカーライル家の門の前までやってきた。 「いいタイミングだ。」スティ ブンが一 = ロった。ソリ ーが何か独自の勘でローラが来るのを 察知して、門を開けようとしていたからだ。 「あたし、ここで降りる。」ローラは急いで言った。「そしたら、車寄せまでわざわざ人って いかなくてすむでしよ。 ローラは自分の父親とジ = リアがジャニ、ア・カエリが気にいるだろうということはわかっ まほう ていたが、かといって、木立ちが続き、暗がりのひろがる魔法の輪の中にまでは人ってきてほ しくなかった。 「あの男の子は ? 」ジ、リアが小声でそっときいた。 「ソレンセン・カーライル。 ローラがつつけんどんに答えると、ふたりは声をあげて笑い おもしろ だした。それまでわからなかったことが今やっとわかって、面白がると同時に、ほっとしてい かん 239

6. めざめれば魔女

カーライル家は昔は町のはすれで農場を営んでいて、ガーデンディル・ヴ , リー ( も 0 とも、 カーライル家の人々は別の名で呼んでいた ) 全域を所有していた。が、その後町は外〈外〈と しよくしゅ ( はどんどんからだを大きくして、触手にふれるものをこと ひろがり、この働きもののア ごとく飲みこんでい 0 た。土地の評価額は変わり、再区分されて、老いた農場主が死ぬと、そ 馬や羊が草を食んでいた上地を細分して売り の弟たちはーー彼ら自身は町の人間だったが はら ーザーを人れた。ほんの少しの間あたり一帯はがらん 払い、乳牛や肉牛も追い払って、ブルド としたが、やがて道路ができ、街灯がいて、それから家が建「た。街灯は夜になると、だれ も住んでいない通りやたれも歩かない歩道に点《ととも 0 た。けれど、やがて、次《と宅地が 売れ、熱にうかされたように家が建 0 て、ガーデディ ~ 住宅団地はひろが 0 てい 0 た。敷地 ほっしん はどこもせまく、平たくならされた土地に建 0 色あざやかな家々は病気の発疹を思わせた。整 第五章ジャ = = ア・カエリ かれ 103

7. めざめれば魔女

ど、あたしは少なくとも本物の家で、本物の暮らしをしてますからね。高い生垣の奥のこんな 博物館みたいなところに閉じこも 0 てなんかいませんからね。そうよ、ここはまるで暇人の博 物館だわ。」 カーライル夫人やウインターおばあさんは脇においてソリーにだけ無礼を働くというのはで きない相談だった。 ちか 「ふん、本物の暮らしがなんた ! 」ソリ ーがはきすてるように言った。「やってみたが、誓 っていうね、あんなの、くだらないの一語につきらあ。」 「なら、あんたのほうきの柄はその倍くだらないわ。」〔ーラは低い声ではげしく言い返し た。「とげでもいつばい刺せ。よ、 「なんてことを ! 」ソリーはつぶやいて、ドアのひとっから出ていこうとした。が、しき のところでふと足を止め、なにか言おうと思「たのか、。ーラのほうを半分ふり返「てみた。 けれど、また思い返したらしく、そのままうしろ手にドアを閉めて行 0 てしま 0 た。 「ローラ、まあ、ともかく台所においで。」ウインター ・カーライルが言った。「どっちみち あの子、服替えなぎゃならないし、替えたら、台所の戸口にイク引「ば「てくるから。 〔ーラは言われるままに、ウインターおばあさんのあとから台所に人「てい 0 た。農場その わぎ 126

8. めざめれば魔女

くらやみ 度をとるために、この暗闇の中を半分魔法にかかったようになってでかけてきたわけではなか ったからだ。 ーの母親、ミリアム・カーライルが玄関に出てきた。ケートよりそんなに年上ではない はすなのに、髪はすっかり白くなっている。非常に背が高く、ひょっとしたら一八〇センチは ありそうた。顔ははっきりとは見えないが、ローラはよく記憶している。たいへん冷静でおだ やかで、いつも表情をくすしそうに見えて、その実、けっしてくすさない。 「すみません、こんなに遅く。」ローラはわびた。「ただ、ソリーとちょっとお話できたらと 思って。」 「ローラ・チャーントね ! 」ミリアム・カーライルに一言われて、ローラはびつくりした。す ぐにわかってもらえるとは思ってもいなかった。「さあ、お入りになって。いっかあなたがい らしてくださると、 しいって、わたくしどもすっと思っておりましたのよ。」 げんかん ローラは玄関ホールに足をふみいれた。花の香りがただよい、戸口にむかいあう大きなアー チからはあかりがやわらかく降りそそいで、あっと驚くような品々を浮かび上がらせていた。 ぞうげ ちょうこく しんじゅうずま 彫刻をほどこした櫃。表面に象牙と真珠が渦巻き模様にはめこんであるきやしゃな脚のついた あか かべ テーブル。さまざまな花を投げこんだ大きな花びん。中でもジギタリスは白い壁を背景に赤 かみ ひっ おそ げんかん かお 109

9. めざめれば魔女

第一章前ぶれ・ 第二章びつくりの男・ ゅうはん 第三章夕飯の客・ 、みよう 第四章奇妙な笑い 第五章ジャニ = ア・カエリ 第六章家族と別れて・ 第七章カーライル家の魔女たち・ 159 135 103

10. めざめれば魔女

その晩カーライル家にもどる前に、ローラはもう一度ジャッコを見舞うことができた。 「声をかけてやりなさい。好きなたけ声をかけてやりなさい。」あらかじめ医者はそう言っ ていた。 そこでローラはジャッコの上に身をかがめて、ささやいた。 聞いて、ジャッコ。あたしよ、ローラよ。もう行くけど、すぐまたもどって くるから。もうちょっとがまんして。そしたら、あたしが助けてあげる。いい子にしてて、ジ ャッコ。。、んばるのよ。」 ローラは心の目に焼きつけようとでもするように、しつかりとジャッコの顔を見つめた。焼 ぎつけておけば、離れていてもすぐ目の前にジャッコを見ていられる。ローラは表情を変えて ないつもりだったが、ケートはそう簡単にはたまされなかった。 第九章変身 みま 236