土 - みる会図書館


検索対象: 土の中の動物を調べよう
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1. 土の中の動物を調べよう

☆農業でのはたらき 土の中の動物は , 食べものを求めたり , 寒さをさけたりして , 土 の中を上下にも , 水平にもトンネルを掘って動いています。とくに こんちゅう 、ミズなどは , 地表から昆虫の死体や落ち葉など アリ , シロアリ , を地中深くへ運び , 反対に , 地中深くの土を地表へ運びだしていま す。これは , 土をひっくりかえし , 土と落ち葉をませあわせている ことになります。 これによって , 土の中深くまでトンネルが掘られ , すきまがたく さんでき , ここに空気や水が入ります。自分でトンネルを掘れない 動物も住めるようになります。より土がやわらかくなり , 深くまで 空気が入り , そこに水もたくわえられるということになるのです。 これによって , 植物はより深くまで , 根をはることができ , 養分を せいしつ きゅうしゅう 吸収できるのです。つまり , 土の中の動物が , 土の性質を , 植物や 作物が育ちやすいように , 改良してくれているともいえるわけです。 こんちゅう また , 地表の落ち葉や , 昆虫の死体などを , 土の中深くに運びこん でくれますので , 肥えた土にもなっています。 ひりよう これは , 土をたがやしていること , 肥料をやっていることといっ きゅうしゅう しょです。植物や作物は , より深くまで根をはり , 養分を吸収して , しゅうかく 生育がよくなり , 作物の収穫もあがるということになります。 この土の中の動物のはたらきに注目して , オーストラリアではミ 58

2. 土の中の動物を調べよう

当 o さえついていないものも , まだたくさんあります。 地上を歩いているもの , 土の中に住んでいるもののうち , 土と密 どじよう せっ 接な関係をもっている動物を , 「土壌動物」とよんでいますが , 土 の中の動物を研究している学者でも「土の中はわからんものでいっ ばいだ」といっています。そんな生きものの世界が , みなさんの足 もとの土の中にあるのです。昆虫博士の君たちでも , 「これでもム シだろうか」とおどろくようなものがきっと出てきます。 都会では , もう , 土の出ているところが少なくなりましたが , そ がいろじゅ れでも庭や公園 , そして , 街路樹のまわりには土があります。そん なところにも , きっとびつくりするような動物が住んでいます。ひ とにぎりの土でしゅうぶんですから , ぜひ , どんな動物がいるのか , 土の中には こんなへんてこな 動物もいるんた みつ こんらゆう ようたい フサヤスデ つ ようらルう ヒラタアシバエの幼虫 ケバエのさなぎ 7

3. 土の中の動物を調べよう

はじめに 都会では , どこもたくさんの建物がたち , 道路はアスファルトで ほそう 舗装されて , 土の出ているところが少なくなりましたが , それでも かだん がいろじゅ 庭や公園 , 学校の花壇 , そして , 街路樹のまわりには土があります。 陸上の生物 , 動物も植物も , みんな土の上で生活しています。土な しでのわたしたちの生活はとうてい考えられません。 ふとうめい 土の中は , 水や空気とちがい不透明で , わたしたちの目ではまっ びつくりするよう たくのぞけない世界です。でも , その土の中に な動物 , みたこともない , へんてこな動物が , たくさん住んでいる のです。 都会ではすいぶん 土が少なくなったけど こんな土の中にも 動物が住んでるんだ Ⅷ″Ⅷ川 4

4. 土の中の動物を調べよう

反対に大きな動物では , オダイショウやシマヘビ , 2 m 近くはあるでしよう。つまり , 土の中には , 数ミクロンの小さ トカゲやカナヘビがあります。ヘビなら 冬ごもりのために土の中に入ってくるア 30 トカゲ〔 15()mm 〕 せきつい どります。陸上で生活する動物は , みんな土と深い関係を持ってい 上を歩き , 土の上におりてきます。そして , 死ねば , 死体は土にも また , ゾウやトラにしても , ツルやカラスにしても , みんな土の 哺乳類までもの , はばひろい範囲の動物が住んでいるのです。 はんい ほにゆうるい らは高等な動物の哺乳類です。土の中には原生動物から脊椎動物の はにゆうるい ばれています。一方 , 土の中には , モグラやネズミもいます。これ アメーバやミドリムシは , もっとも下等な動物で , 原生動物とよ げんせい なものから , 2 m もの大きな動物までがいることになります。

5. 土の中の動物を調べよう

2 . 土の中の動物を調べるときの注意 土の中の動物 , 土壌動物を調べるとき , 注意しないといけないこ とが , いくつかあります。 じようたい ます第一は , 土の状態が同しようにみえるところで , となりあわ せに土をとっても , 出てくる虫の種類や数がいちしるしくちがう場 合があることです。 たとえば , アリの巣があったりすると , そこだけ大きな数になり ます。アリの巣があるのが , まえもってわかっていれば , そこをさ けて土をとりますが , それでも土の中で巣がのびていることもあり ます。また , アリの巣もなく , わたしたちには同しようにみえても , どじよう 0 0 4 いヾ 25

6. 土の中の動物を調べよう

4 . 調べてみたいこと 落ち葉や土の中にどんな虫がいるのか , 土のプランクトンとはど んなものかを調べるだけでしたら , 落ち葉や土をひとにぎり , ある いはひとふくろとってきただけでもいいのですが , この本では , 深 ようき さごとに土をとったり , 容器で土をとったりするようにしました。 どのくらいの面積の土を掘ったのか , どのくらいの体積になるかが わかるように土の試料をとったのです。 さいしゅう どじよう 、ミズ , ダンゴムシ , ャスデなど , 手で採集できた大形土壌動物 の数は , 1 m2 あたりに何びきいたのかを計算してみると , それは数 しりよう そうち そうち ようせき ツルグレン装置やべールマン装置で抽出しました。塩化ビニ ちゅうしゆっ 塩化ビニールバイプや空きカンなどで土をとり , 百個体 , ときには 1 , 000 個体を越えるはすです。 ノレノヾ この中の動物を 37 しめ ズでも数万 , ときにはもっと大きい数になるはすです。 出できた線虫も 1 m2 あたり数万 , ときには , 100 万個体 , ヒメミ しゆっ り数万 , ときには 10 万個体にもなるでしよう。べールマン装置で抽 ちゅう そうち ツルグレン装置で抽出したトビムシやダニは , 計算すると 1 m2 あた らゆうしゆっ そうち らいの数になるか計算してみましよう。すでに表で示したように した。これも 1 m2 あたり , そして , 掘りとった深さまでで , どのく イプや空きカンの容積もわかっています。土は深さごとにもとりま

7. 土の中の動物を調べよう

物 , それも一生を土の中で過ごすものは持っていません。 成虫になると地上・空中へ出ていくコガネムシ , ハンミョウなど は美しい色をしていますが , これも地上・空中での生活のためで , 土の中に住む幼虫の時代には , こんな色は必要ありません。また , 土の中の動物 , それも深いところに住む動物の多くは , 目がなかっ たり , あるいは退化しています。 土の中にはさまざまな動物がいますが , それだけにその生活もま たさまざまです。これらの動物を , その生活のちがいから , つぎの 三つにわけることができます。 一生を土の中で過ごすもの・・ ミズ , ダンゴムシ , ヒメフナムシ , ダニ , 線虫 , ヒメミミズなど。 ャスデ , ケラ , トビムシ , ようちゅう たいか ようらゆう セミの幼虫〔 20 ~ 45mm 〕 34

8. 土の中の動物を調べよう

ざら ~ 2 日かけて , ゆっくりとかわかします。ろうとの下に受け皿 ( び ん ) をおき , 中に少しアルコール液を入れておきます。この装置を そうち さいしゅう ツルグレン装置といい , 装置を使って小さな動物を追いだし , 採集 らゆうしゆっ することを抽出といいます。 土がかわいてくるにつれ , 小さな動物が土の中のすきまを通って にげだしてきて , 下の受け皿の中に落ちてきます。土がかわいてく ると , ポロポロとくすれてきますが , もし , あまりたくさんくすれ るようなら , もう 1 枚サランネットをしくといいでしよう。土はく ちゅうしゆっ すさないで , パイプやカンに入っていたかたちのまま抽出するほう が , うまく出てくるようです。 落ち葉の中には , もっともたくさんの動物がいます。落ち葉の中 だけ , あるいは , 表面の土の中だけの動物を調べるのでしたら , 上から土がかわき 温度が上がるので 小さな動物は 下ににげる。 そうち そうち ざら 7 6

9. 土の中の動物を調べよう

えんとうけい ☆からだは細長い円筒形 、 ) どう 土の中の小さなすきまを通って移動できるように , 土の中の動物 のからだは , 先に述べたように小さなものが多いのですが , それも 、ミズなどのように , 細長く , 円筒形のものか 線虫 , ヒメミミズ , 多いのです。長い脚も必要ありませんから , 脚もないか , あっても 短いものです。からだのまわりにでつばりやかざりを持っているも のも , まずありません。 ☆からだの色が白い 土の中は光が入らす , まっ暗です。光のない土の中での生活のた め , コガネムシやセミの幼虫などのように , からだの色は白っぱい ものが多いのです。チョウやトンボのような美しさは , 土の中の動 えんとうけい あし ようちゅう ようらゆう コガネムシの幼虫 〔 20 ~ 45mm 〕 33

10. 土の中の動物を調べよう

土の中にある植物の根のはりかたがちがっていたり , 石があったり こうぞう するというように , 土の構造が場所ごとにちがい , 出てくる動物の 種類や数が場所ごとでちがうのです。 ですから , 他のところの動物とくらべてみるときなどは , たった あな 1 か所だけ穴を掘ったり , 土をとっただけでは不十分です。できた ら , 数か所掘ったり , 土をとったりして , 出てきた動物の種類や数 のちがいを調べてみましよう。 そうち そうち 第二は , ツルグレン装置やべールマン装置を使うと , びつくりす さいしゅう ちゅうしゆっ るはどたくさんの動物が抽出できますが , しつはこの方法で採集し そうち ても , とても全部は出てきていないことです。装置のつくりかた , だんかい じようたい 土の状態 , 季節 , 動物の種類 , そして , 動物ごとの発育段階のちが そうち ようちゅうせいちゅう い ( 幼虫か成虫かといったこと ) などで異なりますが , 装置を使っ さいしゅう ちゅうしゆっ て採集・抽出しても , とても全部は出てきていないのです。 せんもん 専門の研究者がっくった装置でも , よくて 30 ~ 60 % しか出てきて ようちゅう わか 卵からかえったばかりの若い幼虫や いないといわれます。とくに 、、どう ようたい 幼体は , からだも弱く , あまり移動もできないので , ほとんど出て そうち 26 そうち 第三は , ツルグレン装置やべールマン装置を使っても , そうち きには , もっとたくさんの動物が土の中にいることになります 、ミズが出てきますが , 実際には , 出てきた数の 2 ~ 3 倍 , じっさい こないようです。土の中から , たくさんのトビムシやダニ , 線虫や 0 土の中に と