シャクトリムシやケムシ , あるいは , ノウサギやシカなど , 多く の動物は , 植物を食べて生きています。そのほかの動物 , たとえば , ちよくせっ ムカデ , クモ , カエル , クマタカ , キツネなどは , 直接 , 植物を食 べてはいませんが , 先に述べた植物を食べる動物を食べて生きてい かんせってき ます。間接的に植物を食べているともいえるわけです。このため , 植物が生産してくれたものを食べ , 使ってしまうという意味で , れらの動物を消費者とよんでいます。 えだ ところで , 地表には , この生産者がっくった植物の落ち葉や枝な ど , あるいは , 植物を食べているたくさんの動物の死体が落ちてき ます。もし , だれも , この落ち葉や昆虫の死体 , すなわち , 生産者 むきぶつ ぶんかい や消費者の死体を無機物 ( 養分 ) に分解してくれなかったら , どこ ぶんかいしや もし分解者か いなかったら 植物は育たない かもしれない こんらゆう . / を一◎彡 ④宅ーの 彡气 52
の時代を土の中で過ごしているのです。 こんちゅう 昆虫には , チョウやカプトムシのように , 卵ー幼虫ーさなぎー成 ようちゅう せいじゅく せいたい こんちゅう ようちゅう くは図鑑にも出ていなくて , 名前を調べるのもむすかしいし , 名前 ずかん みたこともない動物 , へんてこな虫といいましたが , それらの多 よんでいます。 では , 成熟していないものを「幼体」 , 成熟したものを「成体」と せいじゅく ようたい 変化がありません。そのため , 完全変態しない昆虫やその他の動物 へんたい こんちゅう カデ , ダンゴムシなど昆虫以外の動物では , はっきりしたかたちの 成虫でかたちがあまりかわらないものもあります。また , クモ , ム るものと , トビムシ , イシノミ ハサミムシなどのように , 幼虫と 虫と完全変態し , 発育段階ごとで , からだのかたちがまったくかわ へんたい だんかい 卵からかえったばかりの ようたい シマミミズの幼体は 長さ l()mm ぐらいだよ 6 6 ようなものができる。 環帯という , 首巻きの かんたい くびま 成体では 8()mm にもなり , ようたい 幼体 成体 かんたい 環帯
ハネカクシは動物の死体 , キノコバエやオオキノコムシなどはキノ コ , そして , ムカデ , クモ , カニムシ , ゴミムシなどは , 他の動物 どじよう をつかまえて食べています。土壌動物を , 食べもののちがいでわけ ると , つぎのようになります。 ・生きている植物の根などを食べるもの・・ カメムシ , ノヾッタ , ヨトウガ ・くさった植物の葉などを食べるもの・・ タ。ンゴムシ , ササラダニ トビムシ ・枯れた木・くさりかけた木・切りかぶなどを食べるもの・・ キクイムシ , タマムシ , シロアリ ・他の動物をつかまえて食べるもの・・ ・・ムカデ , ハネカクシ , オサムシ , マイマイカプリ , クモ , カニムシ , サトウムシ , ゴミムシ ・けものの糞などを食べるもの・・ ・・マグソコガネ , センチコガネ ・動物の死体を食べるもの・・ ・・シデムシ , ニクノヾ工 , ノ、ネカクシ ・キノコを食べるもの・・ ・・キノコバエ , オオキノコムシ , ゴミムシダマシ ・ほとんど何でも食べるもの・・ ・・コガネムシ , セミ ミズ , ャスデ , ふん ・・ノ、サミムシ 36
☆農業でのはたらき 土の中の動物は , 食べものを求めたり , 寒さをさけたりして , 土 の中を上下にも , 水平にもトンネルを掘って動いています。とくに こんちゅう 、ミズなどは , 地表から昆虫の死体や落ち葉など アリ , シロアリ , を地中深くへ運び , 反対に , 地中深くの土を地表へ運びだしていま す。これは , 土をひっくりかえし , 土と落ち葉をませあわせている ことになります。 これによって , 土の中深くまでトンネルが掘られ , すきまがたく さんでき , ここに空気や水が入ります。自分でトンネルを掘れない 動物も住めるようになります。より土がやわらかくなり , 深くまで 空気が入り , そこに水もたくわえられるということになるのです。 これによって , 植物はより深くまで , 根をはることができ , 養分を せいしつ きゅうしゅう 吸収できるのです。つまり , 土の中の動物が , 土の性質を , 植物や 作物が育ちやすいように , 改良してくれているともいえるわけです。 こんちゅう また , 地表の落ち葉や , 昆虫の死体などを , 土の中深くに運びこん でくれますので , 肥えた土にもなっています。 ひりよう これは , 土をたがやしていること , 肥料をやっていることといっ きゅうしゅう しょです。植物や作物は , より深くまで根をはり , 養分を吸収して , しゅうかく 生育がよくなり , 作物の収穫もあがるということになります。 この土の中の動物のはたらきに注目して , オーストラリアではミ 58
反対に大きな動物では , オダイショウやシマヘビ , 2 m 近くはあるでしよう。つまり , 土の中には , 数ミクロンの小さ トカゲやカナヘビがあります。ヘビなら 冬ごもりのために土の中に入ってくるア 30 トカゲ〔 15()mm 〕 せきつい どります。陸上で生活する動物は , みんな土と深い関係を持ってい 上を歩き , 土の上におりてきます。そして , 死ねば , 死体は土にも また , ゾウやトラにしても , ツルやカラスにしても , みんな土の 哺乳類までもの , はばひろい範囲の動物が住んでいるのです。 はんい ほにゆうるい らは高等な動物の哺乳類です。土の中には原生動物から脊椎動物の はにゆうるい ばれています。一方 , 土の中には , モグラやネズミもいます。これ アメーバやミドリムシは , もっとも下等な動物で , 原生動物とよ げんせい なものから , 2 m もの大きな動物までがいることになります。
イプやカンを使わす , 10cmX10cm, あるいは 20cmX20cm のわくの落 ち葉や土をとってみてもいいかもしれません。 1 日後 , あるいは 2 日後にみてみると , 受け皿のアルコール液の トビムシ , カニムシ , アリズカムシなど , たくさん 表面に , タ。ニ じったいけんびきよう つ の小さな虫が浮いているはすです。これを実体顕微鏡でのぞいてみ てください。びつくりするほどたくさんの , そして , さまざまな虫 のいること , また , 色の美しさ , かたちのかわったことに , きっと おどろかれることでしよう。 さいしゅう この方法で採集できるのは , 主として , ダニとトビムシですが , これにもたくさんの種類があることがわかるはすです。また , ダン ようたい ゴムシ , クモ , ムカデなどの大きな動物の幼体・幼虫もたくさん落 ちてきます。 ざら ようちゅう ナガコムシ カニムシ 5mm 〕 アリズカムシ 5mm 〕 、ネカクシ カマアシムシ 〔 5 〕 ~ 5mm 〕
もかしこも落ち葉でおおわれているかもしれませんし , また , 養分 きゅうしゅう が落ち葉の中にたくわえられ , 根から吸収する栄養がなくなって , 植物が育たないかもしれません。その地表にたまった落ち葉や地中 ぶんかい で枯れた根 , 動物の死体などを食べてくれるもの , すなわち , 分解 してくれるものが , 土の中の動物なのです。トビムシやダニ ズやャスデなどが , がんばって落ち葉を食べてくれるから , 植物も 芽を出し , 葉をひろげ , 大きくなれるのです。そのため , 土の中の 2 . 3 . そのしくみは , 動物を , 分解者というのです。 ぶんかいしや 、ミズやャスデなどの大きな動物が落ち葉を食べ , する。 こなごなに それを , トビムシやダニなどの小さな動物がさらに食べる。 さらに細かくなったものをカビやバクテリアが , 養分に分解し てくれている。 ぶんかい 53 もうーっ , よく野鳥が地表におりて , えさをあさっていますが , 物がいなくなると , たいへんなことになるのです。 にこの働きをかわってやってくれるものはありません。土の中の動 落ち葉が消えていくとも考えていいのです。この役割は大切で , 他 やくわり 毎年 , 落ちてくる落ち葉をせっせと食べてくれているからこそ , ということになります。
4 . 調べてみたいこと 落ち葉や土の中にどんな虫がいるのか , 土のプランクトンとはど んなものかを調べるだけでしたら , 落ち葉や土をひとにぎり , ある いはひとふくろとってきただけでもいいのですが , この本では , 深 ようき さごとに土をとったり , 容器で土をとったりするようにしました。 どのくらいの面積の土を掘ったのか , どのくらいの体積になるかが わかるように土の試料をとったのです。 さいしゅう どじよう 、ミズ , ダンゴムシ , ャスデなど , 手で採集できた大形土壌動物 の数は , 1 m2 あたりに何びきいたのかを計算してみると , それは数 しりよう そうち そうち ようせき ツルグレン装置やべールマン装置で抽出しました。塩化ビニ ちゅうしゆっ 塩化ビニールバイプや空きカンなどで土をとり , 百個体 , ときには 1 , 000 個体を越えるはすです。 ノレノヾ この中の動物を 37 しめ ズでも数万 , ときにはもっと大きい数になるはすです。 出できた線虫も 1 m2 あたり数万 , ときには , 100 万個体 , ヒメミ しゆっ り数万 , ときには 10 万個体にもなるでしよう。べールマン装置で抽 ちゅう そうち ツルグレン装置で抽出したトビムシやダニは , 計算すると 1 m2 あた らゆうしゆっ そうち らいの数になるか計算してみましよう。すでに表で示したように した。これも 1 m2 あたり , そして , 掘りとった深さまでで , どのく イプや空きカンの容積もわかっています。土は深さごとにもとりま
マイ ( カタッムリ ) 、ミズ , クモ , ケラ , コオロギ , アリなどで す。それに , セミ , コガネムシ , ガガンポなどの幼虫です。 さいしゅう これら , 手で採集できる大きな動物を「大形土壌動物」とよんで います。 掘りとった面積はわかっていますから , 1 m2 あたり何個体になる さいしゅう か計算してみてください ( わくの大きさが 50cm 四方だったら , 採集 しめ した動物の数を 4 倍すればいいですね ) 。下の表に示したように 1 m2 あたり数百個体 , ときには , 1 , 000 個体にもなるはすです。 どじよう 大形土壌動物の数い m , あたり・ススキ草原での例 ) 深さ 落ち葉層 0—10cm 10—20cm 20— 30cm 30—40cm 40—50cm 不重類 ようらゆう どじよう ほ 一三ロ -4 《 O っ 0 「 / ワ〕 11 ワ」イ強 1 亠ワ」っ 0 っ 0 1--O ワ」 11 っ 0 1 ー亠 11 1 上 11 1 3 -0 一 -8 一 11 尸 0 11 (C) っ 0 0 9 」ワ」 -4 ・ ャスデ イシムカデ ジムカデ ダンゴムシ カニムシ クモ ナミコムカデ ハネカクシ ゾウムシ コガネムシ コメッキムシ その他の甲虫 カメムシ 2 1 2 7 4 8 1 2 1 3 1 8 ワ」ワ」っ 0 ワ 3 1 亠 1 41 5 16 12 2 一三ロ 6 23 52 118 62 ノ 3
50 X 1 ()() X 100 X 1 () 2 . 5 X 2 . 5 X 3 . 14 X 5 #51()00 そうち らようされい ちゅうしゆっ ツルグレン装置で抽出できた動物の数の調査例 さいしゅう この方法で採集できるトビムシやタ、、ニなどの動物を「中形土壌動 ようせき 物」とよんでいます。とった土の容積・面積がわかっていますから , かんさん これも 1 m2 あたりに換算できます。計算すると , 1 m2 あたり , なん と数万 ~ 10 万個体にはなるはすです。 どじよう そうち かんさんほうれい 〔ツルグレン装置による動物の数の換算法の例〕 ちょっけい ひょうほん 直径 5 cm, 長さ 5 cm の管で , 深さ 10cm ごとに土の標本をとって , その中に 50 個休の らルうしゆっ ダニとトビムシが抽出できたとすると , ひょうほん 標本の個体数 x ( 1 m2 ・深さ l()cm の土の体積 ) 26 , 3()0 32 , 5()0 29 , 3()0 48 , 500 77 , 8()0 32 , 700 103,600 204 , 400 41 , 1()0 21 , 8()0 lm ' あたりの個体数 = ( 深さ 10cm ) 標本の土の体積 はえている植物・場所 モミ林・京都比叡山 スキ、林・ 広葉樹林・京都大文字山 アカマッ林・ シイ ( スタ。ジイ ) 林・東京教育園 オオシラビソ , コメッガ林・志賀高原 ブナ , ミズナラ林・京都芦生 モクマオウ林・石垣島 チガヤ草原・石垣島 7 8 掘りとった土壌の深さ 落ち葉層と土壌 0 ~ 10cm 落ち葉層と土壌 0 ~ 20cm どじよう 0 —l()cm 0 —l()cm 0 ~ 12cm 〃 ( 顕微鏡 ) 5 cm 抽出できた動物の数 ( lm ' あたり ) トビムシ 800 2 , 200 16 , 600 19 , 200 14 , 600 15 , 800 28 , ()00 14,000 9 , 600 16 , 500 8 , 100 24 , 700 15 , 200 84 , 800 57 , 800 17 , 800 3 , 0()0 その他 6()0 1 , 800 16,000 900 4 , 60() 2 , 0()0 1 , 400 900 1 , 200 ム 4 , 400 43 , 200 計