巣 - みる会図書館


検索対象: よみがえれムサシトミヨ
90件見つかりました。

1. よみがえれムサシトミヨ

三びきめになって、やっと一びきのメスがその気になってくれたようです。 す 巣のはうに近づいてきます。 す オスは、メスによりそ、フよ、つにしながら、巣へとさそいます。 お す メスが巣のなかに頭をいれると、オスはメスの尾のつけねあたりを、さか たまご んにロでつつきはじめました。しげきをあたえて、メスに卵をうませようと しているのです。 たまヾこ す うなかされたメスは、巣のなかにはいり、卵をうみはしめました。 す あな はんたいがわ うみおわると、メスは入り口の穴とは反対側から、巣をつきやってでて いきました。 オスはそれを見とどけると、すぐ後をお、つようにして中にはいり、 す かけてでてきました。メスが巣にはいりオスかでてくるまで、わすか一、一 さんらんじゅせい 分。このあいだに、産卵と受精がおわったのです。 精芒 子し を 1 5

2. よみがえれムサシトミヨ

△巣づくりするオス すしゅうり 巣を修理するオス V メスを巣にさそう オス ( 左右とも )

3. よみがえれムサシトミヨ

たまご ちょっ 巣の入り口に、卵のつぶが、かたまりになって見えています。大きさは直 一ミリくらいの小さなものです 径か一、一 さんらん オスは産卵でこわれかけた巣を、つくったときとおなじようなやりかたで あな なおしました。入り口の穴は、前より小さくなっています。 あな すしゅうり 巣の修理がおわると、オスは穴の近くに立ちどまって、胸びれを前後には げしくふるわせはじめました。 これは、ファンニングといわれる行動です。卵に、しんせんな水をおくり さんそぶそく つづけて、巣のなかの卵が酸素不足になったり、高温になってしまうのをふ せいでいるのです。 びようかん オスは、二、三十秒間やってはすこし休み、またはしめるといったぐあ いに、ファンニングをくりかえします。 オスが、巣に近づいてくるほかの魚を、おつばらっています。 たまご むな

4. よみがえれムサシトミヨ

「おっと、巣があった」 大人の声がしました。 見ると、ひきあげられた水草に、ムサシトミョの巣がありました。 巣をこわさないよ、つに、そっととりはすし、ビーカーに、つつします。中に たまご 小さな卵がたくさんはいっています。 たちまち、子どもたちがとりかこみます。 さやだ さいたまけんくまがやし ここは、埼玉県熊谷市にある、佐谷田小学校のふれあい広場です。 いま、ふれあい広場の池で、去年 ( 一九九三年 ) の十月にはなしたムサシ えっかちょ、つさ トミョが、この一年間で、どれだけふえたかをしらべる越夏調査がおこなわ れています。 ムサシトミョは、トゲウォ科の魚で、水のなかで鳥のように巣をつくり、

5. よみがえれムサシトミヨ

ムサシトミョのオスは、自分の巣を中心にして、きまった広さのなわばり しゅうせい をつくる習性があります。そのなわばりに、ほかの生きものが近つくこと をゆるさないのです。 たとえ、自分の巣に、卵をうんでくれたメスであっても、おいはらわれま す。巣に近づくのを見つけると、体中のトゲをたて、ロを大きくあけながら かみつくようにして、戦いをいどんでいきます。そのすがたは、ふだんのお だやかなオスとはまるでちがって、とてもあらあらしいものです。 たまヾこ こうしてオスは、卵を守りながら、子どもか、フまれるまで、ファンニング をつづけるのです。 さんらん 産卵から十日目。 ちぎよ うまれたばかりの稚魚が、巣のまわりでじっとしているのが見つかりまし た。わすか三、四ミリくらいの大きさしかありません。 たまご

6. よみがえれムサシトミヨ

ミドロなどをまきつけていきます。こんどは、そこへ、こまかくちぎった水 草を、ロにくわえてはこんでくつつけていきます。 すこし形ができると、そのかたまりに体をおしつけるようにして、ぐるぐ るとおよぎまわります。 ねんえき おしりから、ねばりけのある粘液のようなものをだして、水草と水草をく せっちゃくざい つつけているのです。この粘液が接着剤のやくわりをはたし、巣をうまく かためるのです。 二回三回と回転しながらかためると、また水草をはこんでロでおしつけて かためます。 おなしような行動を、なんどもくりかえながら、二日間かけて、ようやく すかんせい ひとつの巣を完成させました。 あな 巣は、ピンポン玉くらいの大きさで、まん中に小さな穴がひとつあいてい 4

7. よみがえれムサシトミヨ

本や十一本あるのもいる ) 腹に二本、尾びれに一本もっています。 キ 6 ) いっ 体の色はふだん、オスもメスも、緑がかったうす茶色や灰色です。ところ が、親魚に成長したオスは、春がきて、恋の季節になって、巣づくりをはし こんいん めるころになると、体ぜんたいが、黒すんだ色にかわります。これは婚姻 色といわれます。 たまヾこ また、卵をうむのはメスですが、巣をつくり子育てをするのは、すべてオ しゅうせい きせつ スというめすらしい習性をもっています。巣づくりと子育ての季節は、春 先にはじまり、秋口までつづくと考えられています。 たまヾこ その一生を一年でおわる一年魚で、メスは卵をうむと、オスは子育てをお えると、ほとんどが死んでしまいます。 しよく はら

8. よみがえれムサシトミヨ

う卵のかたまりか、いくつかはいっている巣もあります。これは、おなじ巣 8 5 二、三びきのメスが卵をうむためではないかと考えられます。 す たまご 矢辺さんは、巣からとりだした卵を、ステンレス製の小さな網にいれて、 たまヾこ ふ化させる方法をとりました。とりだした卵はぜんで百五十っくらいあ ります。 たまヾこ その卵に、ほそいビニールホースで水を流してやります。オスのファンニ ングのかわりです。 いのち 人工ふ化のよいところは、卵のひとつぶひとつぶに、生命がめばえてい よ、つすか、手にとるよ、フにわかることです。 さんらん 産卵して五日め。 とうめいなうすい膜でおおわれた卵のなかに、 小さな黒いかたまりが見え はつがんらん はじめました。発眼卵です。あたらしい生命の誕生が、はっきりみえてき は、つ、つ たまご たまヾこ のちたんじよう あみ

9. よみがえれムサシトミヨ

ゃべとおる しいくたんと、つ ムサシトミョの飼育担当も、四年目になって、金沢さんから、矢辺徹さん へとひきつがれました。 じゅせい ムサ、ントミョの人工ふ化は、受精がおわった卵を、巣からとりだすことか らはじまりま亠 9 。 たまご 五月になって、三つの巣を開いてみると、卵は三十つぶぐらいから、多い のは七十っぐらいのかたまりになっています。なかには、すこし色のちが ねむれない日び たまヾこ かなざわ

10. よみがえれムサシトミヨ

たまご ます。この穴はメスか卵をうむときや、オスが卵を育てるときに必要な穴で すかんせい 巣を完成させたオスは、メスにむかって、プロポーズのジグザグダンスを するようになりました。 自分がつくった巣に、卵をうんでもらうために、メスの気をひいているの です。オスはいっしようけんめいです。メスのまわりをくるくるまわったり、 せなか メスの背中や腹のあたりを、ロでつついて気をひいています。 しかし、このメスは、フロポーズをうけいれる気がないようです。にげて しまいました。 こんどは、 した。 こうして、オスはつぎつぎに、メスたちにフロポーズをしていきました。 別なメスにむかって、おなじようにジグサグダンスをはじめま はら べっ たまご ひつよう