金沢 - みる会図書館


検索対象: よみがえれムサシトミヨ
6件見つかりました。

1. よみがえれムサシトミヨ

たんすいぎよ した日本ではめすらしい、淡水魚だけをあつめた水族館です。 しいく かなざわひかる ムサシトミョの飼育を受けもっことになったのは、金沢光さんです。 しいく さんこ、つ 金沢さんは、ムサシトミョの飼育について、参考になる資料をいろいろと さかしました。 しいく さんらんか ちぎよ しかし、ムサシトミョを飼育しながら産卵ふ化させ、稚魚から育てて成功 きろく しりよ、つ ちぎよ したという記録や資料はみつかりません。稚魚になにを食べさせればいいの ふあん かすらわからないのです。それだけに、不安でいつばいのスタートでした。 ムサシトミョのために、とくべつにつくられた水そうは、たて百八十セン チ、よこ五十センチ、ふかさ六十センチで、上下の二段になっていて、十五 じどうてき 度にひやされた水が、自動的に流れてくるようになっています。 上の水そうにムサシトミョをいれ、下の水そうには、水をきれいにするた そ、っち めの、ろか装置がつけてあります。 かなざわ しりよ、つ せいこ、つ

2. よみがえれムサシトミヨ

ゃべとおる しいくたんと、つ ムサシトミョの飼育担当も、四年目になって、金沢さんから、矢辺徹さん へとひきつがれました。 じゅせい ムサ、ントミョの人工ふ化は、受精がおわった卵を、巣からとりだすことか らはじまりま亠 9 。 たまご 五月になって、三つの巣を開いてみると、卵は三十つぶぐらいから、多い のは七十っぐらいのかたまりになっています。なかには、すこし色のちが ねむれない日び たまヾこ かなざわ

3. よみがえれムサシトミヨ

はんしよく しぜんはんしよく 金沢さんは繁殖の方法も、オスが卵をかえす自然繁殖をくりかえしなが ら、しよしょに人工ふ化にかえていきました。 ほ、つほ、つ たまご しぜんはんしよく 自然繁殖の方法では、卵がいくつうまれ、何びきふ化したのかよくわか りません。それに、ふ化のとちゅうで、オスが死んでしまったり、 世話をや す たまヾこ めてしまった巣では、メスなどか卵をぜんぶ食べてしまうこともあります。 ほ、つほ、つ じんこうてきたまご こうしたことをさけるために、人工的に卵をふ化させる方法をとることに したのです。 たまヾこ ( 0 5

4. よみがえれムサシトミヨ

びようげんきん つき、ロをばくばくさせているのもいます。どうも病原菌にやられている よ、つです。 びようげんきん こうした病原菌の多くは、外からもってくる、水草やえさなどといっし ょに、水そ、フのなかにはいってしまいます。 くまがや 熊谷からもってくる水も、日光のあたらない水そうのなかで、くりかえし びようげんきん 使っているうちに、病原菌がふえて、病気がひろがってしまいます。 さっきんそうち びようげんきん 金沢さんは、こうした病原菌をころすための殺菌装置を、水そうにとり ツ」、つカ つけることにしました。たしかに効果があります。死んでしまうムサシトミ ョかすくなくなりました。 さっきんそうち そして、この殺菌装置と、ろか装置を使って水をきれいにすると、水族館 の水でも、ムサシトミョが生きられることかわかりました。 ふ化した六十びきのうち二十びきが親魚へと成長しました。 かなざわ 5 LO

5. よみがえれムサシトミヨ

ふたたび、オス五ひきと、すでにお腹の大きくなったメス十びきを水そう にいれ、あらためて飼育のやりなおしです。 けいかいしん しぜん ところが、自然で育ったムサシトミョたちは、警戒心がつよく、水そうに 人が近づくと、さっと、水草にかくれてしまいます。 しいく ムサ、ントミョを飼育するためには、ますムサシトミョかどんなくらしぶり かんさっ をしているのかを、観察することからはじめなければならないのに、一、んな じようたい 状態では、とてもむりです。 かなざわ そこで、金沢さんは、ムサシトミョを警戒させないために、水そうのまわ あな かんさっ りを、黒い紙でおおって、一か所だけ小さなのぞき穴をあけ、そこから観察 をすることにしました。 つぎの日。黒っぱく、婚姻色になったオスが巣をつくりはじめました。 そこ 底から十センチくらいのところのエビモのくきに、水草のせんいや、アオ こんいんしよく なか

6. よみがえれムサシトミヨ

参考にした文献・論文 ( 順不動 ) 『環境汚染と生物』 ( 手塚泰彦 / 共立出版 ) 『淡水生物の生態と観察』 ( 水野寿彦 / 築地書館 ) 『日本の絶滅 のおそれのある野生生物』 ( 環境庁 ) 『日本の淡水魚類・その分布異変種分化をめぐって』 ( 水野信彦他 / 東海大学出版会 ) 『農薬毒性の辞典』 ( 植村振作他 / 三省堂 ) 『川と湖と生き物』 ( 高田啓介他 / 信濃毎日新 聞社 ) 『わだち』 ( 田倉米造 / 自費出版 ) 『ムサシトミョ保護活動報告書』 ( 熊谷市教育委員会 ) 『ムサシト ミョ生息地保存管理計画報告書』 ( 熊谷市教育委員会 ) 『ムサシトミョ保全計画書』 ( 埼玉県、日本野生生 物研究センター ) 『原色淡水魚類探索図鑑』 ( 中村守純 / 北隆館 ) 『荒川、荒川総合調査報告書』 ( 埼玉県 ) 『荒川上流改修六十年誌』 ( 建設省関東地方建設局荒川上流工事事務所 ) 「トゲウォ類、変異と分化をめぐ っ下 ( 田中晋 / 日本の生物一九八九 ) 「ムサシトミョの生態」 ( 岡崎成美 / 埼玉生物一九八三 ) 「埼玉県水 5 号」 ( 埼玉県水産試験場 ) 「ムサシトミョの保護と増殖」 ( 矢辺徹 / どうぶっと動 産試験場研究報告恥、 0 一九八四 ) 「危機に陥 物園一九九一年八月 ) 「ムサシトミョの人工増殖の報告」 ( 金沢光 / 動物と自殃凵 る最後のムサシトミョ」 ( 赤井裕他 / 淡水魚 8 号一九八一 I) 「ムサシトミョの種の保全に関する研究」 ( 埼 玉県水産試験場熊谷支場 ) 「さいたま水族館だより、一九八六年三月号他、 ( さいたま水族館 ) 「さいたま 水族館事業概要一九八三年度他」 ( さいたま水族館 ) 「第六回種保全委員会拡大会議資料一九九三、 ( 日本 動物園水族館協会 ) 『おさかな博士の遺言、末広恭雄の思い出』 ( 末広陽子 / 丸善 ) その他、埼玉新聞、朝 日新聞、東京新聞、毎日新聞、産経新聞、読売新聞。 119